公共性志向の会計学

本の紹介

企業が社会的存在として承認されるためには、株主以外の利害関係者をも含めた企業価値の最大化が求められる。公共性志向の各種研究を網羅し、内外の社会関連会計の現段階を概観する。

公共性志向の会計学
目次

　はじめに

第?部　企業会計から社会関連会計への拡大
　第1章　ドイツの社会関連会計と日本への影響
　　1　ドイツ産業革命，ヴァイマル共和国，そしてナチス政権の時代
　　2　AEG テレフンケン社の営業報告書開示以降の
　　　　ゾチアルビランツ前史
　　3　ドイツにおける社会関連会計の研究と企業実践の歴史
　　4　日本の社会関連会計研究者への影響
　　5　日本企業への影響
　　［引用文献］
　　［参考文献］

　第2章　アメリカの社会関連会計と日本への影響
　　1　自発的な環境戦略を
　　2　社会関連会計の萌芽と展開：1940-1977
　　3　社会関連会計の衰退：1978-1986
　　4　社会関連会計に対する関心の復活：1987-1998
　　5　社会関連会計の再構築：1999 以降
　　6　企業の社会的インパクトとその認識・測定および報告の問題
　　7　日本における今後の課題
　　［参考文献］

　第3章　フランスの社会関連会計と日本への影響
　　1　経済計画と付加価値
　　2　社会政策と付加価値
　　3　生産性向上運動と付加価値会計
　　4　賃金交渉と付加価値会計
　　［参考文献］

　第4章　日本の社会関連会計の創生
　　1　「社会関連会計」の揺籃
　　2　「社会関連」と企業観
　　3　「社会関連会計」の社会
　　4　展　　望
　　［参考文献］

第?部　社会関連会計の重点移動
　第5章　付加価値会計の盛衰
　　1　会計再発見の歴史
　　2　会計・管理・財務の世界
　　3　付加価値会計の盛衰
　　4　付加価値会計・社会関連会計・環境会計
　　5　付加価値会計とBSC
　　6　これからの課題

　第6章　環境会計の発展と定着
　　1　環境会計の類型化
　　2　1990 年代前半― 環境管理システムの制度化と環境会計の
　　　　興隆
　　3　1990 年代半ばから後半― ISO14000 シリーズの発行と
　　　　環境会計の発展
　　4　1990 年代末から2000 年代初め― 各種ガイドラインの公表と
　　　　環境会計の定着
　　5　2000 年代前半― 環境会計のさらなる発展
　　6　環境会計の方向性
　　［参考文献］

　第7章　CSR と会計報告の課題
　　1　CSR の概念
　　2　世界標準指向のCSR
　　3　CSR 会計報告の課題
　　［参考文献］

　第8章　 地球温暖化に関する法令規則と自主開示の対抗軸
　　1　環境権と公共性の関連性
　　2　地球温暖化の問題と対策
　　3　環境と社会と会計構造の相互関連性
　　　　　― 写像から築像へのダイアローグ

第?部　市民の時代と非営利会計
　第9章　非営利会計の理念と領域
　　1　公益法人制度改革の概要
　　2　公益法人会計基準の改正
　　3　非営利会計の理念と領域
　　［参考文献］

　第10章　非営利組織の会計
　　1　非営利組織の位置づけ
　　2　公益法人改革と公益法人会計基準
　　3　非営利組織の会計
　　4　今後の展望
　　［参考文献］

　第11章　NPOの隆盛とNPO会計
　　1　非営利セクターの中のNPO 法人
　　2　NPO 法人の現況
　　3　NPO 法人と行政・企業との協働
　　4　NPO 法人会計の現状
　　5　有効性と信頼性の確保に迫られるNPO法人会計
　　［参考文献］

　第12章　病院経営の困難性と病院会計
　　1　病院と病院会計を取り巻く環境の変化
　　2　病院の会計基準の現状と課題
　　3　情報開示対象者の拡大
　　4　病院設置主体間の財務情報の比較可能性の確保
　　［参考文献］

　第13章　フランスにおける新しい政府会計制度
　　1　2001 年組織法律（LOLF）の全体像
　　2　予算・会計と公的管理
　　3　政府部門の監視
　　［参考文献］

　第14章　公共性志向の会計学の確立に向けて
　　1　公共性の概念
　　2　公共性の変遷
　　3　公共性向上への企業の責務
　　4　市民社会，共生社会，サスティナビリティ社会への価値転換
　　5　公共性重視の会計情報
　　［参考文献］

　■索　　引


著者プロフィール 《編著者紹介》
石崎　忠司（いしざき　ただし）
中央大学商学部教授
中央大学大学院商学研究科博士課程修了，博士（会計学）
日本社会関連会計学会会長
【主要業績】　
『企業の持続的成長性分析』（同文舘，1999 年），
『中小企業の現状とこれからの経営』（中央大学出版部，1999 年，共編著），
『環境マネジメントハンドブック』（日本工業新聞社，2005 年，編集代表），
『最新業績評価会計』（中央経済社，2006 年，共編著），
『コーポレート・ガバナンスと企業価値』（中央大学出版部，2007 年，共編著），その他論文等多数

黒川　保美（くろかわ　やすよし）
専修大学商学部教授
慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得修了，博士（商学）日本社会関連会計学会理事
【主要業績】　
『社会関連会計― フランスにおける社会関連会計論』（森山書店，1991 年），
『総解説　国際会計基準』（日本経済新聞社，1994 年，編著），
『政府／非営利組織体の経営・管理会計』（創成社，2000 年，共編著），
『会計学を面白く学ぶ〈第4 版〉』（中央経済社，2008 年，編著），その他論文等多数

石崎 忠司（いしざき ただし）

黒川 保美（くろかわ やすよし）