実態分析 日本の会計社会―市場の質と利益の質
- 書籍品切れ中
- 本の紹介
- 会計基準の国際化がもたらした会計・監査制度の変容と資本市場の質の関係を市場関係者へのインタビューやアンケート、実証分析、理論分析などにより、その影響度合いや変化の実態を考察。
目次
実態分析 日本の会計社会
目次
はじめに
序 章 会計・監査社会の変容のインプリケーション
? はじめに―会計・監査社会のビッグバン
1 会計情報の変容と会計基準の統一化問題
2 エンロンの会計不祥事以降の監査をめぐる規制の強化
3 問題の所在
? 会計情報の変容の要因
1 科学の進歩に応じた新たな要求―将来の可視化
2 企業価値の構成要素の変化
? 企業評価とイデオロギーの変化
1 企業価値の理論値と市場価値
2 会計とイデオロギー
3 社会的責任と会計(報告)の対応
? 監査社会の進展の含意
1 監査の進展の一つの解釈
2 監査の質と監査市場
3 監査の質の判定が不明確なままでの監査の拡大に伴う現象
? 会計プロフェッションの位置づけの変化
1 会計プロフェッションの消滅
2 プロフェッションの意義と特徴
3 会計プロフェッションの労働者化
? 結 語
第1章 機関投資家,資本市場の実態と会計情報
―インタビュー調査を踏まえて
? 問題の所在と仮説
1 国際会計基準の基本的考え方
2 変容する企業会計の特徴
3 問題提起―仮説
? 機関投資家と市場の効率性に関する諸仮説
1 投資関連業界(機関投資家・アナリスト等)の構造問題
2 市場の質をめぐる議論
3 ファンダメンタル分析に関する諸議論
4 行動ファイナンス理論と投資の心理学の仮説
? 機関投資家と市場の効率性に関するインタビュー調査
1 インタビュー調査の概要
2 インタビュー調査の内容
2-1 機関投資家・アナリストの実情
2-2 ファンダメンタル分析と資本市場
2-3 ファンダメンタル・アナリストと財務情報
? 暫定的結論
1 インタビュー調査から得られた知見
2 考 察
第2章 利益の質と非効率な市場
? はじめに
? 利益情報と株価との関係におけるファンダメンタル・モデル
1 割引配当評価モデル
2 割引超過利益評価モデル
? 会計情報の供給プロセスとその影響要素
1 社会的選択
2 私的選択
? 「利益の質」の概念(constructs)の再整理
1 社会的選択と利益の質
2 私的選択と利益の質
3 事業活動の評価と利益の質
? 非効率な市場と利益の質との関係
1 非効率な市場
2 ヒックス流の利益と非効率な市場―社会的選択
3 経営者の行動と市場の非効率―私的選択
4 利益の変動と会計操作のメリット
? 結 語
第3章 利益の質と会計発生高
? はじめに
? 定義と分類
1 定 義
2 分 類
? 会計発生高・利益マネジメントと利益の質
1 定義と検討対象の範囲
2 会計発生高・利益マネジメントと利益の質―正の相関関係
3 会計発生高・利益マネジメントと利益の質―負の相関関係
? おわりに
第4章 新興市場における市場環境の変化と企業情報
―継続企業の前提に係る開示
? 本章のねらい
? 新興市場の環境変化
1 監査に関わる上場規制の緩和
2 市場環境の変化
? 市場からの退出における問題点
1 経営破綻と上場期間の問題
2 継続企業の前提に係る注記の導入との関係
3 粉飾決算と監査の問題
? 新興企業向け市場における開示情報の課題
1 時系列的な判断が可能な情報開示
2 財務情報と他の開示事項との関係強化
3 監査期間と情報担保
? 結 論
第5章 新興市場上場企業の財務報告に対する姿勢
? 本章のねらい
? アンケート回答企業の要約
? アンケートの集計結果と分析
1 経営上重視する業績指標
2 業績指標の目標値の決定
3 株主・投資家に重視してほしい業績指標
4 業績予想値の決定方法
5 業績目標値を達成することでのメリット
6 報告利益が業績予想値を下回りそうな場合の行動
7 株価形成に大きな影響を与えるグループ
8 重要な投資グループが自社に期待すること
? ま と め
第6章 新興市場上場企業のIR分析
? 新興市場における情報開示・IR制度
? 新興市場上場企業のIRの特徴
?−1 スタディグループが実施した「アンケート調査」と
日本IR協議会「IR活動の実態調査」の比較
1 IR活動の実施状況と組織・体制
2 IR活動の目標
3 IR活動の実際
4 ま と め
?−2 2004-2008年日本IR協議会「IR活動の実態調査」結果の
推移
1 IR活動の実施率・専任組織・個人投資家向けIR
2 IRツール・IRサイトの作成状況
3 IR活動の効果測定と課題
4 ま と め
? 新興市場上場企業のIRの特徴208
第7章 経営者の業績予想と市場の評価
? はじめに
? 業績予想開示の流れと定義
? 先行研究と仮説設計
? デ ー タ
1 サンプルと分析対象期間
2 利益マネジメントの算定
3 リスク調整済み累積超過リターンの算定方法
4 基本統計量と業績予想の特徴
? 分析結果
1 利益サプライズと市場の評価
2 利益サプライズにおける期待マネジメントと市場の評価
3 利益サプライズにおける利益マネジメントと市場の評価
? おわりに
第8章 IPO市場の価格形成と財務報告の信頼性
? はじめに
? 仮説と先行研究
? データ
1 サンプル
2 アクルーアル
? 実証結果
1 公開時の企業価値モデル
2 推計結果
? 結 論
第9章 組織文化から捉えたわが国監査法人の特質
? はじめに
? 組織文化の意義と組織文化プロファイル(組織文化の構成因子)
1 組織文化とは
2 組織文化の測定に関する先行研究
3 本調査におけるアンケート設計
? 監査法人および公認会計士の位置づけと個別問題意識の設定
1 インタビュー調査
2 わが国監査法人の組織文化に関する仮説
? アンケートの実施状況および分析手法
1 アンケートの発送方法と回収結果
2 分析手法
? 分析結果および仮説の検討
1 分析結果
2 仮説検証
? おわりに
第10章 公会計における変革の萌芽―会計社会の拡大
? 本章のねらい―公会計と「市場の論理」
? 地方公共団体における財務会計改革の背景
1 経済戦略会議による公会計改革の要請
2 夕張市の財政破綻と公会計改革
3 地方財政健全化法
4 会計社会の公会計への拡大
? 地方公共団体に対するアンケート調査の結果
1 アンケート調査の方法と意図
2 アンケート調査結果の概要
3 アンケート調査結果に関する考察
? 地方公共団体への財務諸表の導入
1 「総務省方式」における財務諸表の目的と機能
2 資金収支計算書と純資産変動計算書
3 今後の地方公共団体で作成されるべき財務諸表
4 実例に基づく財務情報の利用方法
5 地方公共団体で財務諸表が作成されることの意味
? 公会計と企業会計の相互発展に向けて
おわりに
索 引
著者プロフィール
《編著者紹介》
黒川 行治(くろかわ ゆきはる)
商学博士(慶應義塾大学)
1952年8月 神奈川県に生まれる
1975年3月 慶應義塾大学工学部管理工学科卒業
1977年3月 慶應義塾大学大学院工学研究科管理工学専攻修士課程修了
1979年3月 慶應義塾大学大学院工学研究科管理工学専攻博士課程中退
1979年4月 慶應義塾大学商学部助手
1982年3月 慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得
1983年4月 慶應義塾大学商学部助教授
1986年7月〜1988年6月 米国イリノイ大学訪問研究員
1992年4月 慶應義塾大学商学部教授,現在に至る
[著書]
『合併会計選択論』(中央経済社,1999年),
『連結会計』(新世社,1998年),
『合併会計をめぐる米国財務会計基準の動向』(共著,(財)企業財務制度研究会,1996年),
『現代企業評価論―企業評価をめぐる諸問題―』(共著,(財)日本証券経済研究所,1996年),
『オフバランス取引―実態と会計の対応―』(共著,(財)日本証券経済研究所,1995年),
『企業の決算行動の科学』(共著,中央経済社,1994年)