現代世界とヨーロッパ―見直される政治・経済・文化
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- 本の紹介
- 近年のグローバル化を牽引してきたヨーロッパに大きな揺り戻しが起きている。ヨーロッパ的な価値や制度に何が起きているのか、その意義を政治・経済・文化の視点から解明。
- 担当編集者コメント
- 本書は、関西学院大学産業研究所の共同研究の成果を1冊にまとめたものです。
今日の世界は、政治・経済・文化のあらゆる面でヨーロッパの影響を強く受けています。
「ヨーロッパ的な価値や制度」が共有されることでグローバル化を遂げた現代世界ですが、近年その流れの先頭にいたヨーロッパ自身がさまざまな問題を抱えています。
もっともピンとくるものでいえば、イギリスのEU離脱をめぐる問題でしょうか。
2016年6月23日に実施された国民投票で、離脱派が残留派を上回ったことは、まだ記憶に新しいかもしれません。
イギリスでは、国民の多くが離脱を支持するいっぽうで、残留派とのわだかまり、煩雑な離脱の手続き、自由な域内貿易の制限など、EU離脱に付随する問題が山積しています。
また、イギリスが離脱しようとしているEUのなかでも、多くの問題が見られるようになりました。エネルギー危機をはじめ、テロ事件にみられるようなイスラーム過激派の脅威も目立ちます。EUの基本理念「人・物・資本・サービスの移動の自由」は、国民の生活を豊かにするいっぽうで、多くの難民・移民も生んでいます。
このように、グローバル化に寄与した「ヨーロッパ的な価値や制度」が、グローバル化が進展するなかで大きな壁にぶつかっているのです。
「ヨーロッパとは何者なのか」
本書の全体を通したテーマは、これに尽きると思います。
世界に共有されたはずの「ヨ―ロッパ的なもの」を改めて問い直す、これが本書のもとになった共同研究の目的です。
本書で、ヨーロッパ自身、そしてヨーロッパが影響を与えた現代世界のあり方を考えてみませんか?
ぜひ、ご一読ください。
<目次>
第1章 EUエネルギー同盟の政治過程―2014年3月から9月を中心として―
第2章 欧州移民危機への国連の対応―ソフィア作戦における安保理決議の意義―
第3章 ハンガリー現代史と人の移動―1956年,1989年,2015年―
第4章 イスラームがヨーロッパ社会に与える影響
第5章 EUの将来とわが国産業の対欧戦略
第6章 公共サービスの再生―ベルリン水道公社の再公営化―
第7章 インフラ産業のグローバル化―
第8章 過渡期ポーランドの自画像―ポーランド・EU関係と消費の情熱―
Chapter9 Internationalisation of Polish Universities under the EU ERASMUS Programme: The case of the University of Lodz and the Faculty of International and Political Studies
<編著者紹介(刊行時点)>
藤井 和夫
関西学院大学経済学部教授 経済学博士(関西学院大学)
1950年生まれ。関西学院大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得満期退学。関西学院大学助手、専任講師、助教授を経て現職。社会経済史学会理事、経営史学会理事・常任理事。日本ポーランド協会関西センター代表。
<主要業績>
『ポーランド近代経済史』日本評論社、1989年