税務会計と租税判例

末永 英男 編著

定価(紙 版):4,950円(税込)

発行日:2019/11/08
A5判 / 312頁
ISBN:978-4-502-32241-9

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本の紹介
「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に従って税務計算はなされるが、近年、法人税法独自の解釈が示される判例が出てきている。この間の問題を取り上げ検討する。

目次



税務会計と租税判例
目次

序章 判例研究の分析視点と評価方法
 1 はじめに
 2 研究の目的
 3 契機となった判例紹介
 4 先行研究
 5  研究事例紹介:判例研究の方向性
   ―ビックカメラ事件を題材にして
 6 おわりに

第1章 エスブイシー事件
(最高裁第三小法廷平成6年9月16日決定)
 1 はじめに
 2 所得税法における必要経費と法人税法における損金の相違点
 3 違法所得の益金性
 4 違法支出の損金性
 5 エスブイシー事件にみる脱税経費の損金性
 6 公正処理基準に税法的価値判断を組み込むことの是非
 7 おわりに

第2章 所有権移転外ファイナンスリース事件
(福岡地裁平成11年12月21日判決)
 1 問題の所在
 2 事実の概要と裁判所の判断
 3 所有権移転外ファイナンスリース取引の取扱い
 4 判決の視点
 5 法人税法22条4項の趣旨
 6 おわりに

第3章 プリペイドカード事件
(名古屋地裁平成13年7月16日判決)
 1 はじめに
 2 プリペイドカード事件
 3 公正処理基準該当性
 4 おわりに

第4章 興銀事件
(最高裁第二小法廷平成16年12月24日判決)
 1 はじめに
 2 事実の概要
 3 争点および当事者の主張
 4 判決要旨
 5 過去の判例の動向
 6 貸倒れに関する公正処理基準の解釈
 7 公正処理基準該当性の検討
 8 おわりに

第5章 中部電力事件
(東京地裁平成19年1月31日判決)
―法人税法第22条4項と有姿除却
 1 はじめに
 2 法人税法の趣旨目的
 3 法人税法上の公正処理基準
 4 会社法上の公正処理基準
 5 固定資産の除却
 6 東京地裁平成19年1月31日判決への当てはめ
 7 おわりに

第6章 オリックス銀行事件
(東京高裁平成26年8月29日判決)
―住宅ローン債権の流動化取引に係る劣後受益権の会計処理
 1 はじめに
 2 事実の概要
 3 判  旨
 4 検  討
 5 おわりに

第7章 弁護士報酬の着手金の収入計上時期
(最高裁第三小法廷平成21年4月28日決定)
―所得税法における権利確定主義の検討
 1 はじめに
 2 所得税法36条の解釈と権利確定主義の関係
 3 裁判例の検討
 4 所得税法における収入金額の認識についての検討
 5 おわりに

第8章 弁護士会役員交際費事件
― 所得税法上の家事関連費における必要経費との区分要件
(合理性と客観性を中心として)
 1 はじめに
 2 整備答申における所得税法の理念と収益および費用の基本的
   理解
 3 家事費と家事関連費
 4 必要経費の判断に客観性要件を用いた家事関連費に関する
   判例裁決事例
 5 弁護士会役員交際費事件にみる家事関連費における必要
   経費性の判断
6 おわりに

第9章 法人所得課税と減価償却⑴
―日本郵船株式会社を中心として
 1 はじめに
 2 日本郵船株式会社創設期からの船舶減価引除金の取扱い
 3 明治35年頃までの企業会計および商法における減価償却の
   取扱い
 4 おわりに

第10章 法人所得課税と減価償却⑵
―日本郵船株式会社を中心として
 1 はじめに
 2 明治35年頃までの法人所得課税における減価償却の取扱い
 3 日本郵船株式会社対東京税務監督局長
   「所得金額決定不服ノ訴」事件
 4 おわりに

総括 税務会計研究の再検討
 1 はじめに
 2 税務会計における所得の定義
 3 判例分析の視点と評価方法
 4 企業利益と法人所得
 5 税務会計の特殊な位置づけ
 6 税務会計の特徴



著者プロフィール
末永 英男(すえなが ひでお)
博士(経済学・九州大学)
1950年4月長崎県生まれ。
1979年  西南学院大学大学院商学研究科博士後期課程満期退学。
西日本短期大学講師・助教授,麻生福岡短期大学助教授・教授,近畿大学教授,熊本学園大学教授を経て,
2009年 熊本学園大学大学院会計専門職研究科教授。

(研究業績)
『税務会計研究の基礎』(単著,九州大学出版会,1994年)
『法人税法会計論』(単著,中央経済社,初版1998年,第8版2016年)
『連結経営と組織再編』(編著,税務経理協会,2002年)
『租税特別措置の総合分析』(編著,中央経済社,2012年)
「最高裁判決『長崎年金二重課税事件』」(『税務弘報』第58巻第11号,2010年)
「寄附金税制の現状と問題点」(『税研』第26巻第6号,2011年)
「会計基準と公正処理基準の乖離」(『税経通信』第70巻第7号,2015年)
「租税判例にみる企業会計に対する無理解」(『税研』第31巻第4号,2015年)
「会計学の視点からみた租税法律主義と租税公平主義」(『税研』第34巻第1号,2018年)


著者紹介

末永 英男(すえなが ひでお)
[プロフィール]
1950年4月長崎県生まれ
博士(経済学・九州大学)

1979年  西南学院大学大学院商学研究科博士後期課程満期退学
西日本短期大学講師・助教授,麻生福岡短期大学助教授・教授,近畿大学教授,熊本学園大学教授を経て,
2009年 熊本学園大学大学院会計専門職研究科 教授
2021年 同 シニア客員教授
2005年 税務会計研究学会理事
2005年 税理士登録(九州北部税理士会所属)

[主な著作]
『税務会計研究の基礎』(単著,九州大学出版会,1994年)(第4回租税資料館賞受賞)
『法人税法会計論[第1版~第8版]』(単著,中央経済社,1998年〜2016年)
『法人税法会計論[第9版]』(編著,中央経済社,2023年)
『連結経営と組織再編』(編著,税務経理協会,2002年)
『租税特別措置の総合分析』(編著,中央経済社,2012年)
『税務会計と租税判例』(編著,中央経済社,2019年)