- 本の紹介
- 「包括利益」および「純利益」と経済的所得概念との関係性を詳細に検討した上で、IASB概念フレームワークの諸問題について会計利益の基礎概念との関係で考察する研究書。
目次
序 章 研究の目的と構成
第1部 包括利益と経済的所得の概念
第1章 包括利益の「理論的根拠」
第2章 包括利益と経済的所得の中心概念
第3章 事前・事後の概念と会社の所得
第2部 純利益と経済的所得の概念
第4章 純利益と所得No.2
第5章 ウィンドフォールの認識
第6章 自己創設のれんとウィンドフォール
第3部 財務報告に関する概念フレームワーク
第7章 概念フレームワークの目的と利益概念
第8章 質的特性におけるトレードオフと測定の不確実性
第9章 測定基礎の選択
第10章 リサイクリングと測定基礎
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終 章 財務報告の概念フレームワークにおける利益概念
- 担当編集者コメント
- 本書は、会計利益の基礎概念に照らして、国際会計基準審議会(IASB)の「財務報告に関する概念フレームワーク」の問題点を考察するものです。
本書の目的と特徴は、次のとおりです。
①包括利益と純利益という異なる観点に基づく利益概念としてとらえられることの多い2つの会計利益について、経済的所得の概念という共通尺度を用いて相対化し、これに近似する包括利益は理論的に優れているという認識が誤りであることを、経済的所得の概念および純利益の測定構造に照らしてあきらかにしています。それにより、IASB等の認識に対する先行研究の不足点を補足しています。
②IASBの概念FWが誤った認識に基づいて策定されているとみると、多くの問題点に共通する説明を付すことができることを示しています。そのうえで、利益の定義や測定基礎の選択、リサイクリングの判断基準の規定について不十分な内容であるために、概念FWとしての機能を果たしていないことを指摘しています。
本質に遡って考えることの重要性をあらためて認識できる研究書です。
また、大変緻密で、深い分析・考察は研究者の皆様にも参考になるハズ。
ぜひご覧ください!