コンプライアンス経営―バーナード/ドラッカーの理論と日本経団連の実践要請

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河野 大機

定価(紙 版):2,200円(税込)

発行日:2006/09/27
A5判 / 178頁
ISBN:978-4-502-38810-1

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本の紹介
バーナードの理論から倫理的存在としての人間と経営体の問題を、ドラッカーの理論から経営理念や社会的責任の問題を捉え、さらには日本経団連による実践要請を考察。

目次


コンプライアンス経営
目次

 序文

第1章 行動準則的(倫理的)存在としての人間と経営体
      ―バーナードとセルズニックの理論の場合―

 1 個人準則と組織準則
   ―バーナード自身による掲示例―
  (1)個人準則の具体例
   ?人間の全体的・個性的な心理的・倫理的な存在態様
   ?人間の論理的あるいは非論理的な行動形態
   ?人間行動の有効性・能率性・道徳性という評価形態
   ?人間の倫理的存在と道徳性行動評価に関わる個人準則の
     具体例

  (2)組織準則の具体例
   ?経営体の全体的・個別的な社会的・倫理的な存在態様
   ?経営体の論理的あるいは非論理的な行動形態
   ?経営体行動・組織の有効性・能率性・道徳性という評価形態
   ?経営体の倫理的存在と道徳性行動評価に関わる組織準則の
     具体例

 2 準則間の対立とその克服失敗による人格的問題や組織的管理的 
   問題の発生
  (1)準則間の対立とその克服失敗による人格的問題の発生

  (2)準則間の対立とその克服失敗による組織的管理的問題の発生
   ?経営体における準則間の対立―バーナード理論の場合―
   ?経営体における準則間の対立―セルズニック理論の場合―

 3 準則間対立克服(統合)と準則浸透と組織情熱
   ―管理職位の準則・倫理面と準則的・道徳的な創造―
  (1)管理職位の準則・倫理面

  (2)管理職位(とくに組織道徳的複雑性・活動性)と責任感(引責能
     力)と能力(道徳的指導力)の三位一体化

  (3)組織準則と個人準則の対立克服による管理者自身の個人的確
     信の必要性

  (4)準則対立克服・垂範浸透・組織情熱化という管理の責任と道徳
     的創造面
   ?準則対立の克服
   ?準則の垂範浸透
   ?行動準則とくにその浸透による組織情熱化

  (5)組織貢献者の個人的確信にもとづく組織情熱による倫理戦略 
     的行動準則の選択・創造の意思決定・行動の体系化および道
     徳的確信的な意思決定・行動の体系化

第2章 社会的・統治的・事業的・経済的制度としての経営体の理
     念―ドラッカー理論の場合―

 1 経営体の社会的制度面とその経営理念
  (1)経営体の社会的責任
     ―経営体の社会的制度面とその経営理念―
   ?経営体目的に付随して起こる社会的衝撃
   ?社会自身の原因(機能の不全・不十分)からおこる社会問題
   ?適切な新社会の萌芽への働きかけによる新社会の構築
   ?個別経営体の社会的責任の有限性―社会職能遂行能力・価値
     体系と権限を越える社会的引責要求に対する拒否権―
   ?社会の一員としての個別経営体に関する社会的責任の無限性

  (2)価値実現社会との関係についての経営体・経営者の社会的責
     任―地球環境保護―

  (3)多〔超〕国籍化社会との関係についての経営体・経営者の社会
     的責任―多国籍化・超国籍化や地域主義化や民族主義化に 
     対応して文明と文化の調和をめざした経営―

  (4)被傭者社会との関係についての経営体・経営者の社会的責任
   ?職場社会との関係
   ?被傭者投資家・長期被傭者との関係
   ?少子高齢化社会との関係

  (5)知識経済との関係についての経営体・経営者の社会的責任
   ?知識労働者との関係
   ?非知識労働者あるいはその組合すなわち労働組合(知識労働
     者の対抗勢力文化団体)との関係
   ?知識労働者の対抗勢力文化団体としてのサード・セクターとの
     関係
   ?知識労働者の経営体構成員的な倫理責任
   ?非学校による知識教育事業とこれら非学校・学校の教育的責任
   ?知識一般化という専門知識労働者の教育的責任
   ?知識社会の制度化・理論化・理念化

  (6)新多元社会(組織的多元社会ならびに政治的多元社会)との関
     係についての経営体・経営者の社会的責任
   ?経営体・経営者の組織的多元社会的構成員的な倫理責任
     ―双務的な義務とそれに伴う平等とに基づく互恵―
   ?経営体・経営者の組織的多元社会構成員的な政治責任
   ?経営者の組織的多元社会指導者集団的な倫理責任
     ―社会に対して故意に危害を加えないこと―
   ?政治的多元社会(すなわち偏執的な少数派利害集団の社会)と
     の関係についての経営体・経営者の社会的責任

  (7)新多元社会における政治や政府との関係についての経営体・
     経営者の社会的責任
   ?政治理念の再構築についての経営者の社会的責任
   ?軍備についての経営者の社会的責任
   ?政府事業についての経営者の社会的責任
   ?経営体政府間関係についての経営者・経営体の社会的責任
     ―問題の発生原因と再構築の指針―
   ?国際的・超国家的政治問題についての経営体・経営者の社会
     的責任

  (8)知識経済ならびに組織社会との関係についての経営体・経営
     者の社会的責任
      ―知識労働者的な世界と経営者的な世界の統合―

  (9)地域社会あるいは市民社会との関係についての経営体・経営
     者の社会的責任
   ?根無し草というコスモポリタン性をもった経営体と地域社会との
     関係
   ?市民性を回復させるサード・セクター(市民社会)との関係
   ?市民社会・地域社会・都市社会との関係

  (10)市場経済社会の確立との関係についての経営体・経営者の
      社会的責任
   ?資本主義経済よりも自由市場経済
   ?自由市場経済と非営利経営体・市民社会との両立

  (11)起業家社会との関係についての経営体・経営者の社会的
      責任

  (12)政府・企業・非政府非企業経営体で構成される知識社会との
      関係についての経営体・経営者の社会的責任―自由で機能
       し連帯・一体化する社会という価値実現をめざした経営―

 2 統治的・事業的・経済的な経営体面と組織や管理の理念

 3 経営体の良心(conscience)職能のための組織と管理

第3章 日本経済団体連合会の「企業行動憲章」
      ―コンプライアンス経営実践の要請―
 1 日本経団連:企業行動憲章の制定とその変遷
  (1)経団連の企業行動憲章の目的と経団連からの企業行動総点 
     検の要請

  (2)日本経団連の「企業行動憲章」の変遷

 2 日本経団連:企業行動憲章(平成16(2004)年5月18日改定)
   ?第1条「社会的に有用な製品・サービスを安全性や個人情報・ 
     顧客情報の保護に十分配慮して開発,提供し,消費者・顧客 
     の満足と信頼を獲得する。」
   ?第2条「公正,透明,自由な競争ならびに適正な取引を行う。ま
     た,政治,行政との健全かつ正常な関係を保つ。」
   ?第3条「株主はもとより,広く社会とのコミュニケーションを行い,
     企業情報を積極的かつ公正に開示する。」
   ?第4条「従業員の多様性,人格,個性を尊重するとともに,安全
     で働きやすい環境を確保し,ゆとりと豊かさを実現する。」
   ?第5条「環境問題への取り組みは人類共通の課題であり,企業
     の存在と活動に必須の要件であることを認識し,自主的,積極
     的に行動する。」
   ?第6条「『良き企業市民』として,積極的に社会貢献活動
     を行う。 」
   ?第7条「市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力
     および団体とは断固として対決する。」
   ?第8条「国際的な事業活動においては,国際ルールや現地の法
     律の遵守はもとより,現地の文化や習慣を尊重し,その発展に
     貢献する経営を行う。」
   ?第9条「経営トップは,本憲章の精神の実現が自らの役割であ
     ることを認識し,率先垂範の上,社内に徹底するとともに,グル
     ープ企業や取引先に周知させる。また,社内外の声を常時把
     握し,実効ある社内体制の整備を行うとともに,企業倫理の徹
     底を図る。」
   ?第10条「本憲章に反するような事態が発生したときには,経営
     トップ自らが問題解決にあたる姿勢を内外に明らかにし,原因
     究明,再発防止に努める。また,社会への迅速かつ的確な情
     報の公開と説明責任を遂行し,権限と責任を明確にした上,自
     らを含めて厳正な処分を行う。」

 結言


著者プロフィール 河野大機(こうの・だいき)
1942年12月 神奈川県小田原市に誕生
一橋大学商学部・商学研究科修士課程を経て
1971年7月 同博士課程を中退(下記採用内定のため)
1971年8月 福島大学に採用(9年8ヵ月在職)
その後,千葉大学(8年)・多摩大学(9年)に採用
1995年5月 博士(経済学)東北大学より授与
1998年4月 東北大学経済学部経営学科教授に採用
2006年3月 東北大学大学院経済学研究科を定年退職(名誉教授)
2006年4月 東洋大学経営学部経営学研究科教授に採用
担当授業科目経営学総論・コンプライアンス経営論・コーポレートガバナンス論

著書
『ドラッカー経営論の体系化―時代に適い状況を創る経営―(上)(下)』三嶺書房,1994・5年。
『経営・組織の科学と技能と倫理―バーナーディアン・コーオペレーション―』千倉書房,2003年。
『経営書読解の修業―バーナード『経営者の役割』をケースにして―』文眞堂,2004年。
『P. F. Drucker のソシオ・マネジメント論』文眞堂,2006年。
『経営体・経営者のガヴァナンス―ドラッカーの所論ならびに関連諸理論・実践とそれらの統合化―』文眞堂,2006年。



























著者紹介

河野 大機(こうの だいき)