不動産ファイナンスの法務と契約実務

植松 貴史

定価(紙 版):4,950円(税込)

発行日:2022/06/14
A5判 / 412頁
ISBN:978-4-502-39251-1

送料について
本の紹介
不動産ファイナンス法務を網羅的に解説した1冊。GK-TK、TMK、REIT等のスキームにおける対象資産ごとの法的関係から契約における条項の作り込みまでが理解できる。

目次

はじめに 

第1章 不動産ファイナンスの意義と仕組み 
1 不動産ファイナンスの意義
 ⑴ デット・ファイナンス
 ●―コラム① レンダーのクラス分け〜シニア・レンダーとメザニン・レンダー
 ⑵ エクイティ・ファイナンス
 ●―コラム② 財務レバレッジ
2 主な当事者
 ⑴ 特別目的会社(Special Purpose Company(SPC))
 ⑵ 投資家(スポンサー)
 ⑶ アセット・マネジャー(資産運用会社)
 ⑷ 貸付人(レンダー)
 ⑸ 財務代理人
 ⑹ 売主(オリジネーター)
 ⑺ 信託受託者
 ⑻ プロパティ・マネジャー
 ●―コラム③ 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の制定
 ⑼ 事務管理会社
 ⑽ 議決権を有するエクイティ・ホルダー(一般社団法人等)
3 不動産ファンドの特徴
 ⑴ “投資ビークル”・“器”・“ペーパー・カンパニー”としてのSPC
 ⑵ SPCを用いる理由
 ●―コラム④ CMBS・RMBS
 ●―コラム⑤ 開発案件におけるレンダーのリスク
 ⑶ 不動産ファンドの導管性とペイ・スルー
4 ノン・リコース・ローン
 ⑴ 信用補完措置
 ⑵ 倒産隔離
 ●―コラム⑥ 海外投資家がスポンサーとなるケースの特殊性
5 不動産ファンドの分類とストラクチャー
 ⑴ GK-TKスキーム
 ⑵ TMKスキーム
 ●―コラム⑦ 税会不一致の発生と90%超配当要件との関係
 ⑶ REITスキーム
 ●―コラム⑧ J-REITにおける敵対的買収

第2章 不動産投資スキームの組成と法規制 
1 募集に対する規制
 ⑴ GK-TKスキーム
 ●―コラム⑨ 特例業務届出者に対する行為規制
 ⑵ TMKスキーム
 ⑶ REITスキーム
2 運用に対する規制
 ⑴ GK-TKスキーム
 ●―コラム⑩ 投資運用業の登録
 ●―コラム⑪ 適格投資家向け投資運用業(平成23年金商法改正)
 ●―コラム⑫ 外国投資運用業者・海外投資家等特例業務(令和3年5月26日公布,
        令和3年11月22日施行)
 ⑵ TMKスキーム
 ⑶ REITスキーム
 ⑷ 運用行為に対する法規制とスキーム選択
3 開示に係る規制
 ⑴ GK-TKスキーム
 ⑵ TMKスキーム
 ⑶ REITスキーム
4 行為規制
 ⑴ 金融商品取引法
 ⑵ 金融サービスの提供に関する法律(金融サービス提供法)
 ⑶ 不動産特定共同事業法
 ⑷ 宅地建物取引業法
 ⑸ 消費者契約法
5 クラウドファンディングの私募ファンドにおける活用と法規制
 ⑴ GK-TKスキームにおけるファンド型による場合
 ⑵ 二層構造スキームによる場合
6 セキュリティ・トークンの活用と開示規制:電子記録移転権利
 ⑴ 電子記録移転権利
 ⑵ 電子記録移転権利の預託を受ける行為

第3章 不動産ファイナンスにおける契約実務 
1 金銭消費貸借契約(ローン契約)
 ⑴ 資金使途
 ⑵ 消費税ローン
 ⑶ 貸付実行日
 ⑷ 貸付実行前提条件
 ⑸ 元本返済
 ⑹ 利息
 ⑺ 遅延損害金
 ⑻ 費用
 ⑼ 資金管理ルール(積立金勘定,キャッシュ・リザーブ勘定)と支払順序,
   キャッシュ・ウォーターフォール
 ⑽ 表明保証
 ⑾ コベナンツ(誓約(Covenants))
 ⑿ 財務制限条項(LTVテスト,DSCRテスト(アクチュアルDSCR,ストレスDSCR))
 ●―コラム⑬ 不動産鑑定評価
 ●―コラム⑭ 全返済期間の返済余力を図る指標
 ●―コラム⑮ 賃料減免によるDSCRへの影響
 ⒀ 期限の利益喪失事由
 ⒁ 潜在的期限の利益喪失事由
 ⒂ 貸付人による貸付債権の譲渡
 ⒃ 証券化・流動化への協力
 ⒄ 責任財産限定特約
 ⒅ 倒産手続不申立特約
 ⒆ 公正証書
2 出資契約
 ⑴ GK-TKスキーム:匿名組合契約
 ⑵ TMKスキーム:優先出資引受契約
3 プロジェクト契約
 ⑴ 総論
 ⑵ 出口戦略(エグジット戦略)
 ⑶ アセット・マネジャーに関する事項
 ⑷ プロパティ・マネジャーに関する事項
 ⑸ マスター・レッシーに関する事項
 ⑹ レンダー承諾事項
 ⑺ 証券化協力義務
4 貸付人間契約
 ⑴ 優先劣後
 ⑵ メザニン貸付人による買取請求
 ⑶ 意思結集事項
 ⑷ 回収金の引渡しに係る規定
 ⑸ 担保実行制限
5 出資者間契約
 ⑴ 出資比率と追加出資義務
 ⑵ 決議事項
 ⑶ 譲渡制限
6 担保関連契約
 ⑴ 抵当権設定契約
 ⑵ 不動産信託受益権質権設定契約
 ⑶ GK社員持分質権設定契約
 ⑷ 匿名組合追加出資請求権質権設定契約
 ⑸ 特定出資質権設定契約
 ⑹ 優先出資質権設定契約
 ⑺ 保険金請求権質権設定契約
 ⑻ 金利キャップ質権設定契約/金利スワップ質権設定契約
 ⑼ アセット・マネジメント契約上の損害賠償請求権に対する譲渡担保設定契約
7 スポンサー・レター
8 私募取扱業務委託契約
 ⑴ 適格機関投資家私募における告知義務
 ⑵ 少人数私募(第一項有価証券)における告知義務
 ⑶ 少人数向け勧誘(第二項有価証券)における告知義務

著者紹介

植松 貴史(うえまつ たかふみ)
[プロフィール]
弁護士(日本,米国カリフォルニア州),米国ワシントン州公認会計士,宅地建物取引士,不動産証券化協会認定マスター
2001年早稲田大学政治経済学部卒業,2004年第一東京弁護士会登録,渥美坂井法律事務所・外国法共同事業入所,2009年University of Pennsylvania Law School (LL.M.) 卒業2010年カリフォルニア州弁護士登録,2009年~2010年Norton Rose Fulbright Frankfurt Office。
主要分野は,不動産関連取引(不動産開発,取得,運用,処分,不動産ファイナンス,不動産証券化等),アクイジション・ファイナンス,アセット・ファイナンス,M&A,企業提携,国際取引,労務,その他一般企業法務。

[主な著作]
『不動産AM業に関わる法的対応マニュアル』 (綜合ユニコム株式会社,2021年)
「インベスコREITに対するスターウッドTOB不成立の背景」月刊プロパティマネジメント2021年8月号。