- 本の紹介
- 実証的なアプローチにより、会計や関連諸制度の社会・経済的な役割、さらにそれらが関係者(=ヒト)の行動や経済的厚生に及ぼす影響とその本質を解説するテキスト。
目次
はじめに 会計や関連する諸制度の本質とはどのようなものだろうか
第1章 経済学的・実証的な視角・アプローチとは
第2章 わが国の企業会計制度ないし財務報告規制
第3章 企業会計制度ないし財務報告規制の必要性に関する議論―経済学的検討
第4章 「市場の失敗」がもたらす会計情報の過少供給
第5章 経済的意思決定に有用な会計情報
第6章 会社・経営者による自発的な情報開示(ディスクロージャー)
第7章 利益マネジメントと不正な財務報告
第8章 公認会計士・監査法人による監査—経済実験による説明
第9章 法人税を巡る会社の行動
第10章 会計基準のコンバージェンスの諸問題
第11章 業績評価と経営者の動機づけの装置としての会計
第12章 制度会計の政治的側面
あとがき 本書のまとめ
- 担当編集者コメント
- なぜ会計制度が必要なのか?
また会計制度は利害関係者にどのような影響を及ぼすか?
実証的なアプローチから会計や諸制度の本質を考えるテキスト!
〇本書のねらい
本書は、大学生と一般のかたに向けた、制度会計、言い換えると会計関連の諸制度および会計基準に関するテキストです。とはいえ、「制度会計(論)」を標榜する類書とは異なり、わが国の現行の会計関連諸制度や会計基準自体の解説の分量は少なく、その代わりに、それらの社会・経済的な役割、さらにそれらが関係者(=ヒト)の行動や経済的厚生に及ぼす影響について主たる論点として取り扱ってきました。筆者の上枝先生としては、会計関連の諸制度や会計基準の制改訂が継続的になされる状況にある今、少なくとも短期的には、また恐らくは中期的にさえも、変わらない企業会計の構造なり本質なりを説明したいと考えたからです。
短期的・中期的に変わらぬ制度会計の基本的な構造や本質の理解はまた、現行のものから別のものへと変えるとしたら、あるいは仮に今と異なるものであれば、社会・経済はどのようなものとなるかを問うための端緒ともなりえるでしょう。
このように、従来の財務会計のテキストとは一線を画した内容になっています。
特に、「会計=資格試験の内容の勉強」と思っている皆さんに、ぜひ自分の学んでいる会計・監査制度等の本質がどのようなものか考えるよい教材と思います。
少しレベルは高めですので、学部高学年や大学院生、一通り学習経験のあるビジネスパーソンにオススメです!