データで変える病院経営

後藤 隆久 編著
原 広司 編著
田中 利樹 編著
黒木 淳 編著
今中 雄一 編著

定価(紙 版):3,740円(税込)

発行日:2022/03/29
A5判 / 308頁
ISBN:978-4-502-41921-8

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本の紹介
質の高い医療を効率的に提供するための知見をまとめている。医業務管理、目標管理、経営戦略の3つから病院経営を整理し、データ・サイエンスのアプローチを踏まえて解説。

目次

はしがき

 序 章 データに基づく病院経営の時代へ
  1.病院経営への注目 
  2.経営学からみた医療の特徴とは 
  3.病院経営概念の変遷:
    病院管理からデータに基づく経営へ 
  4.ケースから病院経営を理解する 
  ◆ Exercise

第Ⅰ部 病院の未来をデータで変える
 第1章 経営戦略を立案する

  1.医療組織の経営戦略 
  2.医療組織の経営分析と戦略策定 
  3.経営戦略の立案・共有の実践例―
   「魅力発信経営プロジェクト」による多職種協働力
    と組織把握力の醸成 
  4.ケースから経営戦略の立案を理解する 
  ◆ Exercise

 第2章 医療の質を測る
  1.医療の質と医療経営 
  2.医療の質指標―Quality Indicator― 
  3.医療の質の改善とマネジメント 
  4.医療の質の外部評価 
  5.ケースから医療の質を理解する 
  ◆ Exercise

 第3章 医療政策と医療技術評価を利用する
  1.医療資源と医療技術評価(HTA) 
  2.国民皆保険と薬価へのハードル 
  3.費用対効果と計算法 
  4.HTAの政策応用 
  5.費用対効果とくすりの価値(value) 
  6.フォーミュラリーと費用対効果評価 
  7.ケースから医療技術評価を理解する 
  ◆ Exercise

 第4章 マーケティングで病院を変える
  1.マーケティングとは何か 
  2.STP 
  3.サービスの4つの特徴 
  4.マーケティング・ミックスの7P 
  5.患者満足度 
  6.ケースからマーケティングを理解する 
  ◆ Exercise

第Ⅱ部 データに基づき経営管理する
 第5章 経営管理を革新する

  1.病院経営における経営管理(マネジメント・コントロール)の必要性 
  2.経営管理(マネジメント・コントロール)とは 
  3.医療機関へのマネジメント・コントロールの導入 
  4.医療機関におけるマネジメント・コントロールの導入状況と効果 
  5.ケースからマネジメント・コントロールを理解する 
  ◆ Exercise

 第6章 「医師の働き方改革」を正しく理解する
  1.なぜ「医師の働き方改革」なのか 
  2.労働法規の基礎 
  3.「医師の働き方改革」の概要 
  4.「納得解」の必要性 
  5.ケースから医師の働き方改革を理解する 
  ◆ Exercise

 第7章 財務・非財務情報を活用する
  1.財務・非財務情報への注目 
  2.医療機関の類型と特徴 
  3.医療機関における財務情報とは 
  4.医療機関における非財務情報とは 
  5.ケースから財務・非財務情報の活用を理解する 
  ◆ Exercise

 第8章 ビッグデータを活用する
  1.ビッグデータ活用の潮流 
  2.医療機関におけるビッグデータの利活用 
  3.医療データ分析の実際 
  4.ケースから病院データ分析を理解する 
  ◆ Exercise

第Ⅲ部 緊急事態にそなえ,対応する
 第9章 リスクをコントロールする

  1.安全マネジメントとシステムアプローチ 
  2.レジリエント・ヘルスケア 
  3.リスクを管理するモデル 
  4.実践例から紐解く医療のレジリエンス 
  5.ケースからリスク・コントロールを理解する 
  ◆ Exercise

 第10章 クライシスをマネジメントする
  1.病院クライシスの分類 
  2.病院クライシスを乗り越えるカギは優先順位をつけること 
  3.地域医療クライシスへのマネジメント 
  4.BCPと病院クライシス 
  5.ケースから病院のクライシス対応を理解する 
  ◆ Exercise

 第11章 リーダーシップを発揮する
  1.リーダーシップとは 
  2.1980・90年代のリーダーシップ 
  3.シェアード・リーダーシップの台頭 
  4.SBGを率いる孫正義氏のリーダーシップに学ぶ 
  5.ケースからリーダーシップを理解する 
  ◆ Exercise

 第12章 ガバナンスを強化する
  1.ガバナンスとは 
  2.ガバナンス理解のためのわが国の医療の特徴 
  3.医療機関におけるガバナンス 
  4.ガバナンスの強化 
  5.COVID-19蔓延下の医療ガバナンス 
  6.ケースからガバナンスを理解する 
  ◆ Exercise

第Ⅳ部 データの活用方法
 第13章 データに基づく将来予想と意思決定

  1.病院経営におけるデータを用いた組織の意思決定 
  2.意思決定者の特徴と情報の必要性 
  3.将来の医療需要推計の基礎 
  4.競争状況に関する分析 
  5.公立さくら病院におけるデータ分析事例 
  ◆ Exercise

 第14章 データ活用によるDPC・原価管理
  1.病院経営におけるデータ活用 
  2.DPCによる管理 
  3.原価情報を用いた経営管理 
  4.データ分析の基礎的方法とその適用事例 
  5.活用可能なデータの紹介 
  6.ケースから病院のデータ活用を理解する 
  ◆ Exercise

 第15章 アンケート調査の活用
  1.アンケート調査を活用する 
  2.明らかにしたいものは何か(調査設計) 
  3.調査項目の信頼性と妥当性 
  4.調査方法と分析 
  5.ケースからアンケート調査の活用を理解する 
  ◆ Exercise

第Ⅴ部 ケースで考える
 第16章 民間中小病院の経営改善事例

  1.はじめに 
  2.ケースの説明 
  3.黒字経営を目指す目的 
  4.増収対策 
  5.支出削減対策 
  6.利益の投資 
  ◆ Exercise

 第17章 大学病院の経営改善
     (ケース・メソッド教材)
  1.ケース:横浜大学メディカルセンター(仮称)の経営改革 
  2.考えるヒント 
  ◆ Exercise

著者紹介

後藤 隆久(ごとう たかひさ)
[プロフィール]
横浜市立大学附属病院病院長,同大学麻酔科学教室主任教授。医学博士(東京大学)。
文部科学省課題解決型高度医療人材養成プログラム(病院経営支援) 『都市型地域医療を先導する病院変革人材育成プログラム』の代表者を務める。

原 広司(はら こうじ)
[プロフィール]
横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科准教,京都大学大学院医学研究科客員研究員。社会健康医学博士(京都大学),経営学修士(大阪市立大学)。

[主な著作]
Visualizing Organizational Culture in Old People's Homes and Hospitals in Japan: Human Interaction in the IoT Era. HCII2019 (co-authored by Nakabe T., Naka T., Tanaka M.,Imanaka Y.), Future projection of the physician workforce and its geographical equity in Japan: a cohort-component model, BMJ Open (2018) (co-authored by Kunisawa S., Sasaki N.,Imanaka Y.)

田中 利樹(たなか りき)
[プロフィール]
横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科特任講師,ハイズ株式会社取締役。医療管理学 修士(東京医科歯科大学)。
令和元年度および令和2年度の厚生労働科学特別研究事業「医療機関の医師の労拗時間短縮の取組状況の評価に関する研究」の分担研究員を務める.

黒木 淳(くろき まこと)
[プロフィール]
横浜市立大学大学院データサイエンス研究科准教授。経営学修士(大阪市立大学)。

[主な著作]
【著書】
『非営利組織会計の実証分析』(単著,中央経済社,2018年)

【論文】
Budget Ratcheting and Debtholders' Monitoring: Evidence from Private Colleges and Universities , Journal of Management Accounting Research (2021) (co-authored by Akinobu Shuto), Impact of Depreciation Information on Capital Budgeting among Local Governments: A Survey Experiment, Australian Accounting Review. (2021)

今中 雄一(いまなか ゆういち)
[プロフィール]
京都大学大学院医学研究科社会医学系専攻 専攻長,同大学院医療経済学分野教授,京都大学超高齢社会デザイン価値創造ユニット ユニット長。医学博士(東京大学), MPH(ミシガン大学),Ph.D(ミシガン大学)。

[主な著作]
『「病院」の教科書 知っておきたい組織と機能』 (編著,医学書院,2010年)
『医療制度・医療政策・医療経済』(大日康史との責任績集,丸善出版2013年)
「日本医療経営機構の医療経営人材育成プログラム-幹部の経営力強化と経営企画スタッフの育成」『病院』77巻10号
「次世代の医療経営人材に求められる経営力強化の方策」(田中将之との共著)『病院』80巻9号

担当編集者コメント
本書は横浜市立大学附属病院病院長の後藤隆久先生を筆頭に、計5人の専門家によって編まれた病院経営のテキストです。
そのほか、執筆者として11人の専門家が参画しています。

特徴はなんといっても、病院経営に関する各分野の専門家が、専門領域について解説をしていることです。
1つのお店にいながらにして、日本料理、フランス料理、中華料理など、その分野の一流シェフの料理が、アラカルトで味わえるようなものです。

また、各章でケースを取り入れているため、実際に現場で運用する際のイメージがつきやすいのも、もう1つの大きな特徴です。

序章から通読すれば、病院経営の全体を学ぶことがもちろんできますし、気になるテーマの章から読み進めても理解できる構成になっています。

現在、病院経営に携わっている方はもちろん、将来、そのような職に就くことを希望する方や、大学生・大学院生にオススメです。

◆主な目次
 序 章 データに基づく病院経営の時代へ
第Ⅰ部 病院の未来をデータで変える
 第1章 経営戦略を立案する
 第2章 医療の質を測る
 第3章 医療政策と医療技術評価を利用する
 第4章 マーケティングで病院を変える
第Ⅱ部 データに基づき経営管理する
 第5章 経営管理を革新する
 第6章 「医師の働き方改革」を正しく理解する
 第7章 財務・非財務情報を活用する
 第8章 ビッグデータを活用する
第Ⅲ部 緊急事態にそなえ、対応する
 第9章 リスクをコントロールする
 第10章 クライシスをマネジメントする
 第11章 リーダーシップを発揮する
 第12章 ガバナンスを強化する
第Ⅳ部 データの活用方法
 第13章 データに基づく将来予想と意思決定
 第14章 データ活用によるDPC・原価管理
 第15章 アンケート調査の活用
第Ⅴ部 ケースで考える
 第16章 ケースで考える①:民間中小病院の経営改善事例
 第17章 ケースで考える②:大学病院の経営改善(ケース・メソッド教材)