日本的管理会計の変容

吉田 栄介 編著
森 浩気
桝谷 奎太
岩澤 佳太
徐 智銘
福島 一矩
妹尾 剛好

定価(紙 版):4,620円(税込)

発行日:2022/04/19
A5判 / 256頁
ISBN:978-4-502-41951-5

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本の紹介
組織ライフステージ(成長期、成熟期、再生期、衰退期)間の管理会計実践の変化と、最近10年間の原価企画・業績管理を対象にした変容に焦点を当てて実証的に分析。

目次

序章 日本的管理会計の変容の解明に向けて
  1 問題の所在
  2 日本的管理会計とは
  3 第1弾『日本的管理会計の探究』(2012年)の要約
  4 第2弾『日本的管理会計の深層』(2017年)の要約
  5 本書の研究課題と特徴
    5.1 本書の研究課題
    5.2 本書の構成

第1部 実態調査編
第1章 日本企業の管理会計利用実態
:2008年から2018年の実態調査研究の文献サーベイを中心として
  1 問題の所在
  2 研究方法
  3 日本企業の管理会計の利用実態
    3.1 原価計算
    3.2 原価管理
    3.3 業績管理
    3.4 予算管理
    3.5 設備投資予算
    3.6 環境管理会計
    3.7 ER P
  4 むすび

第2章 日本企業における管理会計の実態調査
:東証・名証一部上場企業
  1 実態調査の概要
    1.1 調査の目的
    1.2 調査の方法
  2 サンプルの特徴
  3 本社と事業部門の会計業務分担
  4 原価計算
    4.1 標準原価計算
    4.2 直接原価計算
    4.3 本社費・共通費・製造間接費の配賦計算
  5 原価管理
    5.1 原価・物量情報の活用
    5.2 原価企画
    5.3 品質コストマネジメント
    5.4 ミニ・プロフィットセンター
  6 利益計画の策定
  7 C VP 分析
  8 業績管理
    8.1 業績管理システム
    8.2 業績と報酬の関連性
  9 予算管理
  10 設備投資予算(設備投資案件の経済性評価)
  11 むすび

第3章 日本企業における管理会計の実態調査
:その他の上場企業
  1 実態調査の概要
    1.1 調査の目的
    1.2 調査の方法
  2 サンプルの特徴
  3 本社と事業部門の会計業務分担
  4 原価計算
    4.1 標準原価計算
    4.2 直接原価計算
    4.3 本社費・共通費・製造間接費の配賦計算
  5 原価管理
    5.1 原価・物量情報の活用
    5.2 原価企画
    5.3 品質コストマネジメント
    5.4 ミニ・プロフィットセンター
  6 利益計画の策定
  7 C VP 分析
  8 業績管理
    8.1 業績管理システム
    8.2 業績と報酬の関連性
  9 予算管理
  10 設備投資予算(設備投資案件の経済性評価)
  11 むすび

第2部 実証研究編
第4章 管理会計研究のための組織ライフサイクモデル

:提示と実証的検討
  1 はじめに
  2 Miller and Fries en(1984)のOLC モデル
    2.1 Miller and Fries en(1984)のOLC モデル構築の経緯
    2.2 Miller and Fries en(1984)のOLC モデルの特徴とOLC ステージの分類
    2.3 Miller and Fries en(1984)のOLC モデルを援用した管理会計研究におけるOLC ステージの分類方法
    2.4 Miller and Fries en(1984)のOLC モデルの限界と対策
    2.5 その他の留意点
  3 D ickins o n(2011)のOLC モデル
    3.1 D ickins o n(2011)のOLC モデル構築の経緯
    3.2 D ickins o n(2011)のOLC モデルの特徴とOLC ステージの分類
    3.3 D ickins o n(2011)のOLC モデルを援用した財務会計研究におけるOLC ステージの分類方法
    3.4 D ickins o n(2011)のOLC モデルの限界と対策
  4 管理会計研究のためのOLC モデルの提示
    4.1 OLC ステージ概念の整理と分類方法の提示
    4.2 OLC ステージ分類基準(指標と数値)の提示
    4.3 OLC ステージ分類と売上高推移の適合性の確認
  5 提示したOLC モデルの検証
    5.1 分類方法
    5.2 サンプル
    5.3 分析結果
  6 むすび

第5章 日本企業におけるコストマネジメントの変化と変容
:原価企画に関する5年毎3回の実態調査データに基づく分析と????察
  1 はじめに
  2 分析フレームワークとリサーチ・クエスチョン
    2.1 「組織コンテクストと原価企画活動モデル」への着目
    2.2 「組織コンテクストと原価企画活動モデル」の構成概念
    2.3 モデルの修正と本研究のリサーチ・クエスチョン
  3 研究方法
    3.1 データの収集
    3.2 変数の測定
  4 分析結果
    4.1 3回の調査間の差の検定
    4.2 全サンプルに基づく共分散構造分析
    4.3 3回の調査別の多母集団同時分析
  5 発見事項の????察
  6 おわりに

第6章 日本企業における業績管理の変化と変容
:5年毎3回の実態調査データに基づく分析と????察
  1 はじめに
  2 分析フレームワーク
  3 研究方法
    3.1 データの収集
    3.2 分析方法
  4 分析結果:データから示唆される実践の変化
    4.1 業績・予算管理
    4.2 利益計画策定技法
    4.3 設備投資予算
  5 ????察:実践の変化と????え方の変容
    5.1 変化・変容の要因
    5.2 業績管理の変化・変容の内容
    5.3 一部の企業群における投資マネジメントの変容
  6 おわりに

終章 結論と実務家へのメッセージ
  1 本書の要約と結論
  2 実務的インプリケーション

著者紹介

吉田 栄介(よしだ えいすけ)
[プロフィール]
慶応義塾大学商学部教授

[主な著作]
『持続的競争優位をもたらす原価企画能力』
『日本的管理会計の探求』
『日本的管理会計の深層』
『花王の経理パーソンになる』(いずれも中央経済社)

森 浩気(もり こうき)
[プロフィール]
千葉商科大学商経学部准教授

2018年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。千葉商科大学商経学部助教,専任講師を経て,現職。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科非常勤講師を兼務。

[主な著作]
「診断型コントロール・システムとインタラクティブ・コントロール・システム概念の操作化:経験的研究の回顧に基づく検討」『千葉商大論叢』第57巻第3号(2020年)
「日本企業におけるEVAの機能と課題:旭硝子株式会社のケースを中心に」『原価計算研究』第41巻第2号(2017年)
「組織ライフサイクル後期の企業におけるインタラクティブ・コントロールの役割」『管理会計学』第25巻第1号(2017年)

桝谷 奎太(ますや けいた)
[プロフィール]
高千穂大学商学部准教授

2021年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程修了,博士(商学)。高千穂大学商学部助教を経て,現職。

[主な著作]
"Multidimensional Performance Evaluation Styles: Budget Rigidity and Discretionary Adjustments", Pacific Accounting Review,33-1 (2021年,共著)
「予算管理における診断的コントロールの質:多様な効果の発生原理の探求」『管理会計学』第29巻第1号(2021年,日本管理会計学会・学会賞(奨励賞))
「資本コスト経営における管理会計実務の課題と処方箋:臨床的知識の形成」『高千穂論叢』第56巻第1号(2021年)
「事業環境の変化に対する目標の期中適応:ルースカップリング理論に基づく事例研究」『原価計算研究』第41巻第1号(2017年,日本原価計算研究学会・学会賞(奨励賞))
『花王の経理パーソンになる』中央経済社(2020年,共著)

岩澤 佳太(いわさわ けいた)
[プロフィール]
東京理科大学経営学部専任講師

2021年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程修了,博士(商学)。立教大学経済学部会計ファイナンス学科助教(常勤)を経て,現職。

[主な著作]
「活用される原価情報の品質:工場内アンケート調査に基づく考察」『会計プログレス』第21号(2020年,日本会計研究学会・学術奨励賞)
「ジャストインタイム生産方式の導入に伴うミニ・プロフィットセンター制の変化:水平的インタラクションの活性化に注目して」『管理会計学』第28巻1号(2020年,日本管理会計学会・学会賞(奨励賞))
「原価情報品質を構成する4つの品質次元:意思決定環境と利用目的による規定」『原価計算研究』第43巻2号(2019年,日本原価計算研究学会・学会賞(奨励賞))

徐 智銘(じょ ちめい)
[プロフィール]
Consultant, Ruder Finn Public Relations Consulting (Beijing) Co, Ltd, Shanghai Branch

2018年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学,秋田県立大学システム科学技術学部経営システム工学科助手を経て,現職。

[主な著作]
「間接費配賦計算の洗練度と品質管理の志向性が原価情報による改善効果におよぼす影響:製造業における探索的分析」『原価計算研究』第41巻第2号(2017年)
「在中国製造企業の品質・生産管理と関連する管理会計の実践:質問票調査に基づく考察」『慶應商学論集」第29巻第1号(2016年)
「日本自動車製造企業における品質コストマネジメントの実態調査:管理会計の視点からみる自動車製造企業17社の品質管理の現状」『横浜市立大学学生論集」第53巻第1分冊(2013年)
『日本的管理会計の深層』中央経済杜(2017年,共著)
『花王の経理パーソンになる』中央経済社(2020年,共著)

福島 一矩(ふくしま かづのり)
[プロフィール]
中央大学商学部教授

2009年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。西南学院大学商学部専任講師,准教授,中央大学商学部准教授を経て,現職。

[主な著作]
「管理会計によるイノベーションの促進:管理会計能力に基づく考察」『管理会計学』第25巻第1号(2017年,日本管理会計学会・学会賞(奨励賞))
「管理会計能力が管理会計と組織業績の関係に及ぼす影響:吸収能力と経験学習能力に基づく考察」『会計プログレス』第17号(2016年)
「管理会計能力が組織業績に与える影響:吸収能力の視点からの考察」『原価計算研究』第39巻第1号(2015年,日本原価計算研究学会・学会賞)
『日本的管理会計の深層』中央経済社(2017年,共著)
『日本的管理会計の探究』中央経済社(2012年,共著)

妹尾 剛好(せのお たけよし)
[プロフィール]
中央大学商学部准教授

2010年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。和歌山大学経済学部講師,准教授を経て,現職。

[主な著作]
「わが国マネジメント・コントロール研究の展開:51年間の文献調査に基づいて」『会計プログレス』第21号(2020年,共著)
「予算文化が利益目標のラチェッティングに与える影響:経営者利益予想による実証研究」『管理会計学』第28巻第1号(2020, 共著)
「日本企業の予算管理の類型と探索・深化との関連の分析:探索的研究」『原価計算研究』第41巻第1号(2017年,日本原価計算研究学会・学会賞)
「変革型リーダーシップが水平的インタラクティブ・ネットワークに与える影響についての予備的研究」『メルコ管理会計研究』第8巻第1号(2015年,共著)
『花王の経理パーソンになる』(2020年,共著)
『日本的管理会計の深層』中央経済社(2017年,共著)
『日本的管理会計の探究』中央経済社(2012年,共著)