日本のバイアウト・ファンド

野瀬 義明

定価(紙 版):4,180円(税込)

発行日:2022/03/10
A5判 / 172頁
ISBN:978-4-502-42381-9

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本の紹介
バイアウト・ファンドは、日本の株式市場に巣くうハゲタカか、それとも市場に新しい秩序や価値をもたらす変革者か。未知なるその機能に迫る、日本で初めての本格的実証分析。

目次

はしがき
第1 章■ はじめに
1.1 研究目的と貢献
  1.1.1 本研究の目的
1.1.2 本研究の貢献
  1.1.3 本研究の主要な発見
1.2 本論文の構成

第2 章■ 関連する研究
2.1 はじめに
2.2 バイアウト・ファンドの機能に関する主要仮説
  2.2.1 バリューアップ(株主価値増大)仮説
  2.2.2 アンダーバリュー解消仮説
  2.2.3 価値の移転仮説
2.3 仮説の実証分析
  2.3.1 買収時の株価効果研究
  2.3.2 買収前の被買収企業の特徴
  2.3.3 買収後の被買収企業のパフォーマンス
  2.3.4 公開維持型バイアウトの研究
  2.3.5 日本におけるバイアウト・ファンドの研究
2.4 まとめ
  2.4.1 先行研究の分析結果
  2.4.2 先行研究から抽出された課題
  2.4.3 本書と上記課題との関連

第3 章■ バイアウト・ファンドによる買収のインパクトに関する分析
3.1 はじめに
  3.1.1 本章の目的
  3.1.2 本章の意義
  3.1.3 主たる発見
  3.1.4 本章の構成
3.2  バイアウト・ファンドがもたらす効果に関する先行研究
  3.2.1 買収のアナウンスメント効果
  3.2.2 超過リターンの源泉
  3.2.3 非上場化型と公開維持型の相違
3.3 検証仮説と変数
3.4 データと分析方法
  3.4.1 データ
  3.4.2 分析方法
3.5 分析結果
  3.5.1 アナウンスメントがもたらす株価効果
  3.5.2 非上場化型と公開維持型の判断要因
  3.5.3 アナウンスメント効果の要因
3.6 まとめ

第4 章■ 株式非上場化の実施要因
4.1 はじめに
  4.1.1 本章の目的
  4.1.2 本章の意義
  4.1.3 主たる発見
  4.1.4 本章の構成
4.2 先行研究
  4.2.1 海外の先行研究
  4.2.2 日本企業を対象とした研究
4.3 検証仮説
4.4 データと分析方法
  4.4.1 データ
  4.4.2 傾向スコアマッチング
  4.4.3 分析方法
4.5 株式非上場化企業の特徴
  4.5.1 財務・株価面での特徴
  4.5.2 株式非上場化の決定要因
  4.5.3 バイアウト・ファンド参画の要件
4.6 価値の移転はみられるか
4.7 まとめ

第5 章■ アナリストカバレッジと日本企業の株式非上場化(financial visibility仮説の検証)
5.1 はじめに
5.2 先行研究
  5.2.1 financial visibility仮説
  5.2.2 非上場化研究
  5.2.3 アナリストカバレッジ研究
  5.2.4 先行研究の示唆と課題
5.3 データと分析方法
  5.3.1 データ
  5.3.2 分析方法
5.4 結 果
5.5 結 論

第6 章■ 公開維持型バイアウト企業の長期パフォーマンス
6.1 はじめに
  6.1.1 本章の目的
  6.1.2 本章の意義
  6.1.3 本章の構成
6.2 関連研究
6.3 検証仮説
6.4 データと分析方法
  6.4.1 データ
  6.4.2 傾向スコアマッチング
  6.4.3 分析方法
    6.4.3.1  財務パフォーマンス(Difference in Difference分析)
    6.4.3.2 価値の移転
    6.4.3.3 株式長期パフォーマンス
6.5 買収後の財務パフォーマンス
  6.5.1 被買収企業はバリューアップしたか
  6.5.2 従業員からの価値移転はなかったか
6.6 被買収企業の株式長期パフォーマンス
  6.6.1 株式リターンの長期時系列推移
  6.6.2 株式パフォーマンスの要因
6.7 まとめ

第7 章■ 再上場企業の成功要因
7.1 増えつつある再上場企業
7.2 先行研究
7.3 分析方法
  7.3.1 ROEのデュポンシステム分析
  7.3.2 ROICツリー分析
  7.3.3 IRR分析
7.4 結 果
  7.4.1 再上場企業の財務パフォーマンス
  7.4.2 再上場企業の株式パフォーマンス
7.5 まとめ

第8 章■ 結 論
8.1 本研究の成果
8.2 今後の研究課題

関連文献リスト

著者紹介

野瀬 義明(のせ よしあき)
[プロフィール]
同志社大学大学院ビジネス研究科准教授
1997年神戸大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了,2011年筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士後期課程修了。博士(経営学)。
1997年大和総研入社。大和SMBCキャピタル(現大和企業投資),桃山学院大学を経て,2016年より現職。

[主な著作]
【論文】
"How do firms attract the attention of individual investors? Shareholder perks and financial visibility", Journal of Behavioral and Experimental Finance
"Equity crowdfunding and financial literacy of individual investors in Japan", Journal of Capital Markets Studies
「バイアウト・ファンドによる買収のインパクトに関する分析」『現代ファイナンス』