会計制度の解明―ドイツとの比較による日本のグランドデザイン
- 本の紹介
- 法と会計両面から全容が究明されていなかった日本の会計制度を、その範となったドイツ制度をひもとき商業帳簿の法の適用局面と会計技術の組立の局面から整理し、本質を果敢に提示する渾身作。
目次
会計制度の解明
―ドイツとの比較による日本のグランドデザイン
目次
序 章 研究の意義と方法
第1節 研究の意義
第2節 アプローチの方法
第Ⅰ部 ドイツ:商業帳簿(帳簿)制度の発展
第1章 中世都市法典から1794年プロシア一般国法まで
第1節 はじめに
第2節 「秩序正しい記帳」と商業帳簿
第3節 1794年プロシア一般国法
第4節 おわりに
第2章 1861年一般ドイツ商法典とその各種草案
第1節 はじめに
第2節 1839年ヴュルテンベルク王国の商法典草案
第3節 1849年帝国法務省草案
第4節 プロシア第1草案と第2草案
第5節 ニュルンベルク立法会議
第6節 1861年一般ドイツ商法典
第7節 おわりに
補 節 独仏で相違する,商業帳簿の証拠力に係る
「正規の簿記(帳簿)」概念
第3章 1897年ドイツ商法典
第1節 はじめに
第2節 1897年HGB 制定当時の商業帳簿規定
第3節 1976年7月29日HGB 改正までの経緯
第4節 HGB とAO の帳簿規定の調和
第5節 会計指令法(Bilanzrichtlinien-Gesetz)
第6節 おわりに
補 節 商業帳簿規定の主目的は何か―クルーゼとレフソンの論争
第4章 ドイツ租税法の帳簿書類制度
第1節 はじめに
第2節 プロシア上級行政裁判所判決
第3節 1919年ライヒ国税通則法(RAO)
第4節 国税通則法(AO)草案
第5節 1977年国税通則法(AO)
第6節 おわりに
補 節 租税法上の「正規の簿記」概念
第5章 「簿記の正規性」の基準となる一般的な「正規の簿記の
諸原則」
第1節 はじめに
第2節 「簿記の正規性の基準となる一般的なGoB」概念の展開
第3節 狭義のGoB
第4節 正規の貸借対照表作成の諸原則(GoBi)
第5節 おわりに
補 節 「正規の簿記の原則」(日本)と「正規の簿記の諸原則」
(ドイツ)
第Ⅱ部 ドイツ:GoB の「商業帳簿(帳簿)の法の適用局面」に
おける機能
第6章 「正規の簿記」と租税法上の簿記の証拠力
第1節 はじめに
第2節 正規の簿記と表見証明
第3節 正規の簿記と「法律上の推定」
第4節 正規の簿記と推計課税
第5節 おわりに
補 節 米国租税法における証明責任
第7章 「正規の簿記」と租税優遇措置
第1節 はじめに
第2節 1950年以前の諸判決と1950年所得税準則
第3節 1951年以後のBFH 判決の傾向
第4節 おわりに
第8章 「正規の簿記」と電子的データ処理簿記
第1節 はじめに
第2節 EDV 簿記をめぐる法的な仕組み
第3節 1995年GoBS と「その他の規範」
第4節 法規範と「簿記の正規性」の展開
第5節 おわりに
補 節 米国のコンピュータ会計法規
第9章 「正規の簿記」と「自己報告」・「破産防止」
第1節 はじめに
第2節 1673年フランス・商事勅令から1861年ADHGB まで
第3節 1851年プロシア刑法典から1877年破産法まで
第4節 1976年「経済犯罪防止第1法律(1WiGK.)」
第5節 「自己報告による健全経営の遂行」に係る「実箱である
GoB」
第6節 おわりに
第Ⅲ部 ドイツ:GoB 概念の解明―特に「GoB の簿記(会計)
技術の組立の局面」における機能に焦点を当てて
第10章 「正規の簿記の諸原則」概念をめぐるわが国の学説
第1節 はじめに
第2節 実務慣行白紙委任説と三重構造説
第3節 「空箱」・「実箱」理論と「相即の論理」
第4節 「実務慣行白紙委任説」と「三重構造説」の検討
第5節 おわりに
第11章「正規の簿記の諸原則」概念の構図
第1節 はじめに
第2節 「場の条件」と「正規の簿記の諸原則」
第3節 「企業の属性」と「税法を考慮した年度決算書」
第4節 おわりに
補 節 フランスと米国の会計制度管見
第12章 国際会計基準とドイツ商法会計規定
第1節 はじめに
第2節 IFRS への対応
第3節 会計法現代化法
第4節 IFRS とドイツ会計規定
第5節 おわりに
第Ⅳ部 わが国の会計制度:課題と提言
第13章 商法商業帳簿規定と会計制度
第1節 はじめに―問題提起―
第2節 明治23年商法とロエスレル草案
第3節 明治32年商法
第4節 2005(平成17)年商法改正・会社法創設
第5節 あるべき会計制度
第14章 会計制度の展開
第1節 はじめに―問題提起―
第2節 商業帳簿(帳簿)の法の適用局面
第3節 会計技術の組立の局面
補 節 米国における財務会計と税務会計の分離
第15章 税理士と会計制度
第1節 はじめに―問題提起―
第2節 月次巡回監査
第3節 税理士法の税務監査(書面添付)制度
第4節 会計参与と税理士
第5節 ドイツ税理士による決算書保証業務
第6節 税理士による保証業務
第16章 中小企業会計基準のあるべき編成方法
第1節 はじめに―問題提起―
第2節 「中小企業簿記要領」と「中小会社経営簿記要領」の
現代的意義
第3節 会計基準の基礎構造の設計
第4節 「中小企業の会計に関する研究会」報告書
第5節 「中小企業の会計に関する指針」の検討
第6節 あるべき中小企業会計基準
終 章 本研究のまとめと課題
第1節 本研究の3つの視点
第2節 本研究の貢献
第3節 本研究の課題
引用文献
索引
著者プロフィール
坂本 孝司(さかもと たかし)
税理士・米国公認会計士 博士(経営情報科学)愛知工業大学
1956年 静岡県浜松市生まれ
1978年 神戸大学経営学部卒業
1998年 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程満期退学
2011年 愛知工業大学大学院経営情報科学研究科博士後期課程修了,博士(愛知工業大学)
中小企業庁「中小企業の会計に関する研究会」(2002年)専門委員,経済産業省「中小企業政策審議会」臨時委員,経済産業省「財務管理サービス人材育成システム開発事業」委員,信州大学法科大学院非常勤講師,中小企業庁「中小企業の会計に関する研究会」委員(2010年)等を歴任。
現在,静岡理工科大学大学院客員教授,TKC 全国会中央研修所所長,TKC 全国政経研究会幹事長を務める。
[主な著書・論文]
『コンピュータ会計法概論』共著,中央経済社,1998年
『中小会社の会計』共著,中央経済社,2003年
『新会社法と中小会社会計』共著,中央経済社,2006年
『中小会社の会計指針』共著,中央経済社,2006年
『税理士業務における品質保証と品質管理』共訳,TKC,2007年
「租税法における記帳規定と簿記の証拠力―ドイツ1919年ライヒ国税通則法及び1977年国税通則法を中心として―」TKC 税研情報第7巻第5号・6号,1998年(第8回㈶租税資料館賞受賞)
- 担当編集者コメント
- 会計制度は、会計のみならず、法律その他さまざまな隣接分野を研究しなければ解明できないテーマです。
著者の坂本先生は、税理士としての実務をこなしながら、この壮大なテーマの学術研究を20年行い、本書はその成果をまとめたものです。
本書では、会計制度の解明を通じて「会計の本質とは何か?」「会計人の役割とは何か?」に関する著者の熱いメッセージがこめられています。
会計にかかわるすべての方に、この坂本先生のメッセージを感じ取っていただければと思います。