分析 利益情報の変容と監査

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黒川 行治
柴 健次
内藤 文雄
林 隆敏
浅野 敬志

定価(紙 版):3,520円(税込)

発行日:2011/03/18
A5判 / 248頁
ISBN:978-4-502-43560-7

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本の紹介
IFRSとのコンバージェンスにより、測定される企業の利益情報は変化するのか。公認会計士や証券アナリスト、日独上場企業に対するアンケート調査を通してその実態に迫る。

目次


分析 利益情報の変容と監査
目次

 はじめに
 本書の構成および各章の概要

第1章 利益情報の変容をもたらした要因は何か
      ―問題設定・背景と仮説―

 1 問題設定
 2 会計情報の供給プロセスと影響要素の仮説
  ⑴ 社会的選択
  ⑵ 私的選択 ……ほか
 3 会計基準の世界的統一化の概略
  ⑴ 国際会計基準委員会から国際会計基準審議会へ
  ⑵ 国際会計基準審議会の構成
 4 日本のコンバージェンスに関する取り組みと現状
 5 国際会計基準の特徴
  ⑴ 国際会計基準が想定する会計の役割や会計に対する期待の
     特徴
  ⑵ 公正価値評価志向をめぐる議論 ……ほか
 6 経済社会のグローバリゼーションがもたらした変化
  ⑴ グローバリゼーションとは
  ⑵ 資本主義社会の変化
 7 経済社会のグローバリゼーションと利益情報の変容についての
    仮説
  ⑴ 経済社会における主導権争いの一環としての会計基準の統一
     化の加速
  ⑵ 世界統一会計基準のメリット ……ほか
 8 上場企業に対する意識調査に対応する仮説への変換
 9 資本市場に関する諸仮説の背景
  ⑴ 資本市場の実態とファンダメンタル分析
  ⑵ ファンダメンタル分析と財務情報 ……ほか
 10 利益の質をめぐる諸概念
  ⑴ 会計規準(criteria)に関連するもの
  ⑵ 利益情報の有用性 ……ほか
 11 わが国の会計制度へのIFRSs の導入方法
 12 結  語

第2章 利益情報の変容に対してディスクロージャー・監査はどう
     対応すべきか
     ―研究の目的・課題設定・質問票調査の概要―

 1 目的・研究課題
  ⑴ 目  的
  ⑵ 研究課題
 2 研究の学術的背景
 3 研究方法
  ⑴ 利益情報の変容を具体的に裏づける事実ないし要因に関する
     実証的な証拠の入手
  ⑵ 利益情報の変容による情報価値の変動の認識・測定,および利
     益情報のよりよい解釈のために必要な非財務情報の開示
     ニーズの実証的な解明 ……ほか
 4 研究の実施状況と成果
  ⑴ 利益情報の変容を具体的に裏づける事実ないし要因に関する
     日独上場企業に対する2回の質問票調査
  ⑵ 利益情報の変容を具体的に裏づける事実ないし要因に関する
     公認会計士に対する質問票調査 ……ほか

第3章 グローバリゼーションが経済環境・事業環境・会計の
     役割に与えた影響は何か

 1 はじめに
 2 質問による意識調査の対象・方法
  ⑴ 質問の設定
  ⑵ アンケートの対象と方法の概要
 3 回答の一次集計結果と解釈
  ⑴ グローバリゼーションによって,経済環境・事業環境にいかなる
     変化が生じたのか
  ⑵ グローバリゼーションによって,事業戦略にいかなる変化が
     生じたのか ……ほか
 4 国際会計基準導入に関する見解に対して影響する要因
  ⑴ 経済環境・事業環境の実態に関する意識の違いによって,
     国際会計基準導入に関する見解が変わるのか
  ⑵ 事業戦略の実態に関する意識の違いによって,国際会計基準
     導入に関する見解が変わるのか
 5 利益情報の変容の経済環境・事業環境,事業戦略に与える影響
    の予想と国際会計基準導入に関する見解との関係
 6 製造業と非製造業との比較
 7 一部上場企業,二部上場企業,新興市場企業の比較
  ⑴ グローバリゼーションによって,経済環境・事業環境にいかなる
     変化が生じたのか
  ⑵ グローバリゼーションによって,事業戦略にいかなる変化が
     生じたのか ……ほか
 8 結  論
  ⑴ 一次集計結果から得られた知見
  ⑵ 国際会計基準導入に関する見解に対して影響する要因
   ……ほか

第4章 アナリストはグローバリゼーションが資本市場・事業戦略・
     会計の役割に与えた影響をどう見るのか

 1 はじめに
 2 質問による意識調査の対象・方法
  ⑴ アンケート調査の概要
  ⑵ インタビュー調査
 3 回答の一次集計結果と解釈
  ⑴ 資本市場の実態と機関投資家の役割はどのようなものか
  ⑵ 企業評価を行う場合に,どのような財務情報・非財務情報を
     重視しているのか ……ほか
 4 重視する利益の質概念と,会計の役割や会計に対する期待との
    間には関係があるのか
 5 国際会計基準導入に関する見解に対して,どのような要因が影響
    しているのか
  ⑴ 資本市場・機関投資家の実態に関する意識の違いによって,
     国際会計基準導入に関する見解が変わるのか
  ⑵ 会計の役割や会計に対する期待の内容しだいで,国際会計基
     準導入に関する見解が変わるのか ……ほか
 6 アナリストの属性(業務従事年数)によって,質問(仮説)に対する
    見解の違いがあるのか
  ⑴ 資本市場の実態と機関投資家の役割はどのようなものか
  ⑵ 企業評価を行う場合に,どのような財務情報・非財務情報を
     重視しているのか ……ほか
 7 結  論
  ⑴ 一次集計結果から得られた知見
  ⑵ 重視する利益の質概念と,会計の役割や会計に対する期待と
     の間の関係 ……ほか

第5章 日独の上場企業は利益情報の変容とその監査をどう
     捉えているか

 1 質問票による意識調査の目的・対象・方法
 2 回答の単純集計結果
  ⑴ 財務情報作成の目的と報告相手
  ⑵ 利益額と配当額または課税所得額の関係 ……ほか
 3 利益情報の変容と監査・保証業務の対応に関する調査結果の
    まとめ

第6章 公認会計士は利益情報の変容とその監査を
     どう捉えているか

 1 質問票による意識調査の目的・対象・方法
 2 回答者のプロフィール
 3 利益情報に関する回答結果
  ⑴ 資本調達と財務諸表の質
  ⑵ 算定・開示すべき利益 ……ほか
 4 会計基準に関する回答結果
  ⑴ 会計基準の弾力性
  ⑵ これまでのわが国の会計基準のグローバル化 ……ほか
 5 監査・保証業務に関する回答結果
  ⑴ 利益情報の性質・内容の変化と監査
  ⑵ 財務情報・非財務情報と監査・保証業務による信頼性の確保
   ……ほか
 6 経済環境の変化と利益情報の変容との関係に関する回答結果
 7 利益情報の変容と監査・保証業務の対応に関する調査結果の
   含意

第7章 利益情報の変容と監査・保証業務のあり方に関する
     研究課題

 1 問題意識
 2 監査・保証業務の概念的枠組み
  ⑴ 保証業務の概念と構成要素
  ⑵ 監査手続への影響 ……ほか
 3 アンケート調査結果からの知見
  ⑴ 利益情報の性質・内容の変化
  ⑵ 利益情報の性質・内容の変化と虚偽表示の可能性 ……ほか
 4 監査に対する社会のニーズと新たな監査・保証のあり方
  ⑴ これまでの推論のまとめ
  ⑵ 監査・保証制度のあり方を論ずる際の留意点 ……ほか

 索  引


著者プロフィール 黒川行治

柴 健次

内藤文雄

林 隆敏

浅野敬志























著者紹介

黒川 行治(くろかわ ゆきはる)
[プロフィール]
1952年生まれ
慶應義塾大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学
慶應義塾大学商学部教授
慶應義塾大学博士(商学)

[主な著作]
『企業の決算行動の科学』(共著,中央経済社,1994年)
『連結会計』(新世社,1998年)
『合併会計選択論』(中央経済社,1999年)
『日本の会計社会』(編著,中央経済社,2009年)
『分析 利益情報の変容と監査』(共著,中央経済社,2011年)
『政府と非営利組織の会計』(共編著,中央経済社,2012年)他

柴 健次(しば けんじ)
[プロフィール]
関西大学大学院会計研究科教授 博士(商学)
1982年神戸商科大学大学院経営学研究科博士後期課程退学,大阪府立大学経済学部助手,同教授を経て2006年4月より現職。税理士試験委員(2003-2005年),公認会計士試験(2006-2008年)等を歴任。現在,政府会計学会顧問,日本会計教育学会顧問,日本会計研究学会理事など。

[主な著作]
『外貨換算会計論』大阪府立大学,1987年
『テキスト金融情報会計』中央経済社,1999年
『自己株式とストック・オプションの会計』新世社,1999年
『市場化の会計学-市場経済における制度設計の諸相』中央経済社,2002年
『企業会計の計算構造』共編著,中央経済社,2012年 他

内藤 文雄(ないとう ふみお)
[プロフィール]
1981年神戸大学卒業。1986年同大学院単位修得退学。同年神戸大学経営学部助手,専任講師,助教授を経て,1995年博士(経営学)神戸大学を取得,l997年神戸大学経営学部教授,1999年同大学院経営学研究科教授,2006年神戸大学名誉教授,甲南大学経営学部教授となり,現在に至る。専攻は,企業会計論および監査論。
日本会計研究学会理事・評議員・学会賞等審査委員,日本監査研究学会理事,金融庁企業会計審議会臨時委員・公認会計士試験試験委員,日本学術振興会科研費国際共同研究加速基金審査委員・科研費審査委員(第一次),日本公認会計士協会品質管理審議会会長代理・監査業務モニター会議委員・資格審査委員,環境省環境報告書審査基準委員会委員,日産自動車株式会社ガバナンス改善特別委員会委員,日本内部監査協会青木賞審査委員などを歴任・現任。

[主な著作]
『監査の質に対する規制』(共著,国元書房,2021年)
『監査・保証業務の総合研究』(編者,中央経済社,2014年)
『財務情報等の監査・保証業務』(単著,中央経済社,2012年)
『分析 利益情報の変容と監査』(共著,中央経済社,2011年)
『財務諸表監査の考え方〔改訂版〕』(単著,税務経理協会,2011年)
『国際監査基準の完全解説』(共編著,中央経済社,2010年)
『財務諸表論―ミドルクラス―』(単著,税務経理協会,2005年)
『財務諸表監査の変革』(単著,税務経理協会,2003年)
『連結財務諸表監査』(単著,中央経済社,1999年)
『監査判断形成論』(単著,中央経済社,1995年)

林 隆敏(はやし たかとし)
[プロフィール]
関西学院大学商学部教授
1989年関西学院大学商学部卒業,1994年関西学院大学大学院商学研究科単位取得満期退学。
同年甲子園大学経営情報学部専任講師,1999年関西学院大学商学部助教授,2005年4月より現職。博士(商学)。
現在,日本監査研究学会理事,国際会計研究学会理事,日本経済会計学会理事,金融庁企業会計審議会委員。

[主な著作]
『継続企業監査論』中央経済社,2005年
『国際監査基準の完全解説』(共編著)中央経済社,2010年
『わが国監査報酬の実態と課題』(共著)日本公認会計協会出版局,2012年
「監査報告の変革―欧州企業のKAM事例分析―」(編著)中央経済社,2019年
『ベーシック監査論(9訂版)』(共著)同文舘出版,2022年

浅野 敬志(あさの たかし)