サプライチェーン契約の基本と書式

長谷川 俊明 編著

定価(紙 版):3,300円(税込)

発行日:2023/03/17
A5判 / 248頁
ISBN:978-4-502-44991-8

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本の紹介
国際的な環境変化で注目されるサプライチェーン。調達元に人権侵害で自社の責任が問われかねない時代となっている。下請法関連の身近な契約実務から最新の法状況までを扱う。

目次

はしがき

第1部 サプライチェーン契約の基礎知識
第1章 サプライチェーンをめぐる環境変化 

 1 サプライチェーンの意義 
  ◆サプライチェーンの定義
  ◆サプライチェーン契約
  ◆サプライチェーン契約の特徴
  ◆サプライチェーン・マネジメント(SCM)との関係
 2 サプライチェーンの強靭化 
  ◆サプライチェーンの強靭化はなぜ必要か
  ◆サプライチェーンの寸断はなぜ起こったか
  ◆サプライチェーン強靭化のための具体策
  ◆データ取引によるサプライチェーンの「強靭化」
  ◆クラウドの法的リスク
  ◆サプライチェーン・ロジスティクスによる「強靭化」
  ◆データの活用と一体となった書籍の流通システム
  ◆経済安全保障リスクに対応するための契約書の見直し
 3 経済安全保障推進法の制定とサプライチェーン
  ◆経済安全保障推進法の成立
  ◆「重要物資」のサプライチェーン
  ◆「ウクライナ侵攻」で必要となった重要物資7品目
  ◆企業のサプライチェーン修復に影響を与える経済安保法の制定と施行
  ◆政令による「特定重要物資」指定の意義
  ◆シームレスでクリーンなサプライチェーンをめざす
  ◆シームレスでサステナブルなサプライチェーンの阻害要因
 4 SDGs,ESGの要求に応えたグローバルサプライチェーンの構築 
  ◆グローバルルールに基づいたサプライチェーンの再構築
  ◆SDGsのGoal 12とサプライチェーン
  ◆サプライチェーンとバリューチェーンのクリーン化
  ◆SDGsを事業活動に生かしている企業例
  ◆ESGの視点に立ったバリューチェーンづくり
  ◆企業が進めるサステナブルな調達例

第2章 日本におけるサプライチェーンの特徴と法的課題
 1 日本企業のサプライチェーン 
  ◆日本企業のサプライチェーンと“ジャスト・イン・タイム”システム
  ◆「系列取引」とサプライチェーン
 2 独占禁止法・下請法による規制 
  ◆サプライチェーンにおける優越的地位の濫用
  ◆流通・取引慣行ガイドラインとサプライチェーン
  ◆下請系列的ネットワークの課題
  ◆下請法の概要
  ◆下請法の執行状況の変化とサプライチェーン
  ◆下請法ガイドライン2022年改正への対応

第2部 サプライチェーン契約の機能と条項例
第1章 契約の特徴と最新課題 

 1 サプライチェーン契約条項の特徴 
  ◆サプライチェーン契約の「前半部分」と「後半部分」
  ◆B to Bの「前半部分」,B to Cの「後半部分」
  ◆消費者契約法の下での免責条項の扱い
  ◆国内契約+国際契約の「シームレスチェーン」
 2 サプライチェーン強靭化に必要な契約条項 
  ◆人権尊重のサプライチェーン契約条項
  ◆情報セキュリティ体制整備を約束させる条項
  ◆「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」の公表
 3 国際認証,規格に適合するサプライチェーン
  ◆強靭なサプライチェーンは広義のコンプライアンスから
  ◆アニマルウェルフェアと食品サプライチェーンの“クリーン化”
  ◆「アニマルウェルフェア条項」の内容
  ◆ロシアとベラルーシの木材を「紛争木材」として認証から除外
  ◆人権に関する海外の法制度に対する理解の重要性

第2章 調達・製造段階の場合 
 1 デューデリジェンス条項 
  ◆デューデリジェンス条項とは何か
  ◆サプライチェーン契約におけるデューデリジェンスの特徴
  ◆サプライチェーンの人権デューデリジェンス条項の実際例
  ◆CSR活動を約する条項
 2 前文,目的条項 
  ◆民法(債権法)改正と契約前文
  ◆サプライチェーン契約と前文,目的条項
  ◆契約「目的」の明確化と契約不適合責任の追及
  ◆グローバルなサプライチェーン契約とウィーン国際物品売買条約
  ◆CISG35条と契約不適合の判断
 3 調達契約における品質管理に関する条項 
  ◆サプライチェーン契約と調達契約の関係
  ◆調達契約と取引基本契約の異同
 4 品質,規格,認証に関する規定 
  ◆品質,規格の維持に関する条項
  ◆調達者(買主)による検査権を規定する条項
  ◆「法的な品質」の規格,認証の維持・管理
 5 調達契約における“約束”条項
  ◆サプライチェーン契約における人権尊重
  ◆表明・保証条項の意義と機能・役割
  ◆誓約条項の機能と役割
 6 原材料などの納入時期と不安の抗弁(権)に関する条項 
  ◆納入時期に関する条項
  ◆不安の抗弁(権)に関する条項
 7 準拠法条項 
 8 紛争処理条項 
  ◆ADRとサプライチェーン
  ◆“司法ナショナリズム”を避けるための仲裁合意

第3章 流通・販売段階の場合 
 1 流通システムと契約 
  ◆サプライチェーンと流通チャネル
  ◆物流,商流,情流,金融
  ◆小売形態とチャネルリーダーの選択
  ◆販売代理店契約の意義と機能
  ◆販売店と代理店のちがい
  ◆販売店としての法的地位を明確にする契約条項
  ◆販売店契約の法的性格
  ◆サプライチェーン契約には販売店契約と代理店契約のいずれが向くか
  ◆最低購入量(額)保証条項の意義と役割
  ◆在庫管理に関する条項
  ◆在庫状況などについての報告義務を課す条項
  ◆販促活動に関する条項
  ◆年間マーケティング計画を活用する条項

第4章 データ提供契約の場合 
 1 データ・サプライチェーンのクリーン化
  ◆IoTによるデータ収集とサプライチェーン
  ◆「サプライチェーンの強靭化」とデータ・サプライチェーン
  ◆データ流通市場におけるデータ取引
  ◆データガバナンスのISO規格
 2 データ・サプライチェーン契約の主要条項
  ◆データ・サプライチェーン契約の流れ
  ◆データ移転の契約
  ◆ガイドライン「モデル契約書案」で問題となりうる法的論点と条項
  ◆サプライチェーンの拠点を狙うサイバー攻撃対策としての契約実務
  ◆ランサムウェアとサプライチェーン
  ◆サイバーハイジーンによるネットワーク防御

第5章 契約書式と条項へのコメント 
 1 原材料の調達契約の場合 
 2 販売店契約の場合 
 3 SCMによる下請契約と下請法3条書面の例 

第3部 契約書ひな型集
 1 仕入先向け取引基本契約書 
 2 製作物供給契約書 
 3 製作物供給取引基本契約書 
 4 品質保証契約書 
 5 製品等に関するアフターサービス協定書 
 6 クレーム補償に関する覚書 
 7 データの提供に関する契約書 
 8 販売店契約書 
 9 販売特約店契約書 
 10 エリア・フランチャイズ契約書 

著者紹介

長谷川 俊明(はせがわ としあき)
[プロフィール]
1973年早稲田大学法学部卒業。1977年弁護士登録。1978年米国ワシントン大学法学修士課程修了(比較法学)。元国土交通省航空局総合評価委員会委員,元司法試験考査委員(商法)。
現在,海外弁護士として,企業法務と共に国際金融取引や国際訴訟を扱う傍ら,企業の社外役員を務める。長谷川俊明法律事務所代表。

[主な著作]
『海外進出の法律実務』
『国際ビジネス判例の見方と活用』
『海外子会社の契約書管理』
『アクティビスト対応の株主総会準備』
『英文契約一般条項の基本原則』
『新しい取締役会の運営と経営判断原則(第2版)』
『データ取引契約の基本と書式』
『個人情報保護・管理の基本と書式(第2版)』
『サプライチェーン契約の基本と書式』(以上,中央経済社)
『株主代表訴訟対応マニュアル100ヵ条』
『訴訟社会』(訳書)(以上,保険毎日新聞社)
『ビジネス法律英語入門』
『リスクマネジメントの法律知識』(以上,日経文庫)
『紛争処理法務』
『国際法務』(以上,税務経理協会)
『実践 個人情報保護対策Q&A』
『マイナンバー時代の身近なコンプライアンス』
『国際商事法の事件簿』(以上,経済法令)
『個人情報保護法と企業の安全管理態勢』(金融財政事情研究会)
『ロ―ダス21最新法律英語辞典』(東京堂出版)
『改訂版 条項対訳英文契約リーディング』
『改訂版 法律英語の用法・用語』
『改訂版 法律英語と紛争処理』
『法律英語とガバナンス』(以上,第一法規)