- 本の紹介
- 財務諸表と財務諸表外情報であるナラティブな情報について、その相互関係の形成や両者の関係の変化を、制度化をめぐる国際的動向に焦点を当てながら詳細に検討している。
目次
統合財務報告制度の形成
目次
はしがき
序 章 本書の課題と方法
1 問題の所在
2 本書における論
3 本書の構成
第Ⅰ部 MC・OFR・MD&A開示制度の形成と展開
第1章 企業報告モデルの特徴とナラティブ報告の位置
1 はじめに
2 英米の企業報告モデルの特徴
3 財務諸表とナラティブな情報の相互関係
4 おわりに
第2章 財務報告の体系の再編成
―IASB実務意見書「経営者による説明」 からの接近―
1 はじめに
2 財務報告の範囲とMCの位置
3 実務意見書における表示のフレームワーク
4 MCをめぐる議論に対する利害関係者の反応
5 おわりに
補論 ナラティブな情報の開示規制に係る国際的動向
第3章 英国OFR開示制度の導入経緯
―財務諸表の補足・補完情報の変容⑴―
1 はじめに
2 英国版MD&A―OFR―の導入の意義と背景
3 1993年OFR意見書の特徴
4 2003年改訂意見書の主要論点と評価
5 OFR開示における「業績」概念
6 財務報告の概念的枠組みとOFR開示
7 おわりに
第4章 英国会社法改正とOFR開示モデルの構造
―財務諸表の補足・補完情報の変容⑵―
1 はじめに
2 報告意見書「営業・財務概況」のフレームワーク
3 事業概況の開示規定
4 IASBにおけるMCをめぐる議論の行方
5 おわりに
第5章 オフバランス取引と公正価値測定のMD&A開示問題
1 はじめに
2 オフバランス取引に係るMD&A開示制度
3 SFAS第157号における認識と注記
4 公正価値測定を補足するMD&A開示
5 MD&Aの信頼性に係る保証
6 おわりに
第Ⅱ部 財務報告の境界問題と統合財務報告制度の課題
第6章 開示プロセスの階層構造と財務報告制度
―米国における非GAAP測度の開示規制―
1 はじめに
2 SECによる非GAAP測度の開示規制に至る経緯
3 Regulation GとMD&A開示
4 非GAAP測度をめぐる実証研究
5 おわりに
補論 開示プロセスの会計規制の捉え方
第7章 欧州市場におけるGAAP測度と代替的業績測度の共存関係
1 はじめに
2 EU市場における代替的業績測度の開示実態
3 代替的業績測度をめぐるヨーロッパ証券規制当局委員会の勧告
4 おわりに
第8章 ナラティブ報告に係る概念フレームワークの形成と論点
1 はじめに
2 ナラティブな情報の開示に係る枠組みの形成
3 ナラティブな情報の質的特性
4 注記情報とナラティブな情報の境界をめぐる論点
5 おわりに
第9章 ナラティブ報告の信頼性確保と保証問題
1 はじめに
2 監査人による取締役報告書の保証と手続
3 英国会社法改正論議とOFR監査をめぐる論点
4 ナラティブ報告の作成プロセスに係る保証の確保
5 おわりに
第10章 ビジネス・モデルを基礎とする統合財務報告制度の枠組み
1 はじめに
2 英国のガバナンス・コードとビジネス・モデル・ディスクロージャー
3 ビジネス・モデル・ディスクロージャーと財務報告制度の現在
4 おわりに
終 章 統合財務報告制度の論点
1 統合財務報告制度を論じるための視点
2 統合財務報告制度とナラティブな情報の位置
参考文献
索 引
著者プロフィール
古庄 修(ふるしょう おさむ)
1963年生まれ。
1986年青山学院大学経営学部卒業,
1991年青山学院大学大学院経営学研究科経営学専攻博士後期課程満期退学。
1989年鹿児島県立短期大学専任講師,
以後,亜細亜大学短期大学部専任講師,助教授,教授,関東学院大学経済学部教授を経て,
現在,日本大学経済学部教授(財務会計論担当)。
[主要著書]
『財務諸表外情報の開示と保証―ナラティブ・リポーティングの保証―』(共著,同文舘出版,2010年),
『会計基準のグローバリゼーション―IFRSの浸透化と各国の対応―』(共訳,同文舘出版,2010年),
『政府監査基準の構造』(共著,同文舘出版,2005年),
『四半期財務情報の作成・開示ガイドブック』(共著,中央経済社,2004年),
『非営利組織体の会計』(共著,中央経済社,2002年),
『コーポレート・ガバナンス―英国の企業改革―』(共訳著,商事法務研究会,2001年)
- 担当編集者コメント
- ここ数年耳にすることが多くなった「統合報告」。本書は米国のMD&Aや英国のOFRなどにみられるナラティブ情報(財務諸表外情報)が財務諸表とどう関係し変化してきたかをまとめた研究書です。今後さらに注目されると思われる「統合報告」に関する先駆的1冊。