CFOポリシー〈第3版〉―財務・非財務戦略による価値創造
- 本の紹介
- 「CFОは企業価値の番人であれ、企業価値を創造する者であれ」は、真のCFОを定義する言葉。第3版では、ESGの定量化と、インパクト加重会計の項目を大幅に加筆修正。
目次
はじめに
第1章 日本企業の価値創造に係る資本市場の視座の変遷
:グローバル投資家サーベイ時系列分析(2007-2022)
1 一般に日本企業のコーポレートガバナンスに満足しているか
2 一般に日本企業の ROE に満足しているか
3 一般に日本株にはどれくらいの株主資本コストを想定するか
4 エクイティ・スプレッド(=ROE-株主資本コスト)
が価値創造の代理変数として「伊藤レポート(2014年8月)」
でも紹介されているが,資本コストを上回るROE の
啓発のためにこのエクイティ・スプレッドをアニュアル
レポートや東証の決算短信で自主的に開示・議論するという
提案を支持するか
5 一般論で日本企業の保有する現金・有価証券の水準を
どう思うか
6 バリュエーション(PBR)から勘案して帳尻を合わせると,
現在の日本企業の保有する現金,有価証券100円を
いくらぐらいで価値評価すると適切か
7 一般に日本企業の配当政策で一番大事なことは何か
8 日本企業の ES G(非財務資本)および統合報告による
その開示についてはどう쬠えるか
9 日本企業の ES G(非財務資本)の価値とバリュエーション
(P B R)の長期的関係についてはどう쬠えるか
第2章 近年の世界の投資家の声
:2018年コメントと2022年速報
第1節 世界の投資家サーベイ2018のコメント
1 日本企業のコーポレートガバナンスに対する満足度
2 日本企業の ROE に対する満足度
3 日本企業の保有する現金・有価証券の水準の妥当性
4 日本企業の保有する現金・有価証券の価値
5 日本株投資に係る株主資本コスト
:投資家の最低要求リターン
6 エクイティ・スプレッド(ROE-株主資本コスト)の支持率
7 日本企業の ES G とその開示についての投資家意見
8 日本企業の ES G を企業価値評価(P B R)に織り込むべきか
第2節 世界の投資家サーベイ2022の速報
1 日本企業のコーポレートガバナンスへの満足度
2 ROE の投資家満足度
3 日本企業は過剰資本・過剰現金保有か
4 日本企業が保有する現金100円はいくらの価値があるか
5 配当政策の要諦
6 株主資本コストのコンセンサス
7 エクイティ・スプレッドの支持率
8 日本企業の ES G への要望
9 ES G を P B R(株価純資産倍率)に織り込むか
第3章 不都合な真実
:日本企業の保有現金100円は50円
第1節 日本企業のバランスシートに積み上がる現金・有価証券
第2節 ガバナンスディスカウントの定性的証拠
:「日本企業の保有現金100円の価値は50円」
1 日本企業の保有現金の価値評価に係る投資家サーベイ結果
2 現金の価値に係るグローバル投資家の主要コメント
:事例
第3節 ガバナンスディスカウントの定量的証拠
1 先行研究
2 柳・上崎(2017)の評価項目と重回帰分析モデルの設定
3 柳・上崎(2017)の重回帰分析の結果
第4章 企業価値を高める C FO ポリシー
:財務戦略マップ
第1節 C FO の受託者責任と財務戦略マップ
第2節 現場に落とし込む C FO の日本型 ROE 経営
:管理会計とのつながり
1 ROE のデュポン展開による全社への浸透
2 現場にカスケードダウンする日本型 ROE 経営と管理会計
第3節 価値を創造するための高度な投資採択基準を쬠える
第4節 最適資本構成に基づく最適配当政策
第5章 ROE 経営とエクイティ・スプレッド
第1節 中長期的な ROE 経営の重要性
第2節 ROE 経営に係る C FO の留意点
:「良い ROE」と「悪い ROE」
第3節 株主資本コスト=最低要求 ROE 8%の根拠
第4節 価値創造の代理指標としてのエクイティ・スプレッド
第5節 エクイティ・スプレッドとパフォーマンスに係る定量分析
第6章 企業価値創造する投資採択基準(VC IC )
第1節 資本支出予算における投資採択基準の日米比較
:資本コストの意識が問われている
第2節 C FO ポリシーとしての価値創造の投資採択基準(VC IC )
第3節 M&A における C FO の受託者責任
第4節 株式持ち合いの検証における C FO の受託者責任
第7章 最適資本構成に依拠した最適配当政策
第1節 配当パズルと日本企業の誤謬
第2節 決算短信分析に見る日本企業の横並び意識と投資家とのギャップ
第3節 C FO ポリシーとしての「最適資本構成に基づく最適配当政策」
第8章 C FO の非財務戦略としての「柳モデル」の提言
第1節 拡大する非財務資本の価値と ES G 投資の急増
第2節 研究開発の価値(知的資本)にフォーカスした
「Intrins ic Value モデル」の追求
第3節 IIR C -P B R モデル(P B R 仮設)
第4節 「非財務資本とエクイティ・スプレッドの同期化モデル」
(柳モデル)の提言
第5節 「柳モデル」を示唆する定性的なエビデンス
1 エーザイの事例(エーザイの統合報告書2019)
2 独 S AP 社の事例(S AP 社の2015年統合報告書より)
3 NY 州退職年金基金の ES G 統合とエンゲージメントの事例
第6節 良好な ES G が株主資本コストを低減する
第9章 「柳モデル」の定量的エビデンス
第1節 IIR C の5つの非財務資本と P B R の相関関係
第2節 研究開発投資の ROE,株価への遅延浸透効果
第3節 市場付加価値(P B R1倍超の部分)と「人的資本」,「知的資本」の相関関係
第4節 P B R と「自然資本」の関係性
第5節 グローバル医薬品セクターの ES G マテリアリティ
第6節 「柳モデル」のエーザイにおける実証
第7節 「柳モデル」は日本企業全体に適用可能か
1 柳モデルによる人件費・研究開発費と企業価値の関係
2 柳モデルによる特許情報と企業価値の関係
3 女性の登用は企業価値を高めるのか
第8節 「柳モデル」の個別企業へのさらなる展開
第10章 インパクト加重会計(IWA)による定量化
第1節 IWAI日本第1号としての「雇用インパクト会計」の開示
第2節 顧みられない熱帯病治療薬の無償配布の「製品インパクト会計」
1 世界初のグローバルヘルスの製品インパクト会計
2 5年間の D EC 錠無償提供は7兆円の社会的インパクトを創出
3 製品インパクト会計ではエーザイの EB ITD A は2倍になる
第3節 まとめ:C FO の財務・非財務戦略が国富の最大化へ貢献する