暗号資産の法律〈第2版〉

増島 雅和 編著
堀 天子 編著

定価(紙 版):4,290円(税込)

発行日:2023/09/28
A5判 / 428頁
ISBN:978-4-502-47321-0

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本の紹介
デジタルトークンの領域における制度と実務の現状を、網羅的かつ最新の内容で情報提供する。第2版では、NFTについて新章を設けるなど、構成面からも大きく見直しを行う。

目次

凡  例
本書における用語について

第1章 デジタルアセットとブロックチェーン技術
1 ブロックチェーンの概要
⑴ ブロックチェーンの定義
⑵ ブロックチェーンの応用可能性
2 ブロックチェーンと暗号資産の関係
⑴ 暗号資産とは
⑵ ブロックチェーンとの関係
⑶ 暗号資産/ブロックチェーンの社会的費用
3 ブロックチェーンと金融取引
⑴ デジタル帳簿技術としてのブロックチェーン
⑵ 自動契約執行技術としてのブロックチェーン
4 デジタルアセットとデジタル化されたアセット
5 MiCAにおける分類

第2章 暗号資産と民事法・刑事法
1 前  説
2 暗号資産と民事法
⑴ 暗号資産の私法上の性質をめぐる議論
⑵ 暗号資産の「占有」とその移転
⑶ 暗号資産の「発行」
⑷ 暗号資産による「支払」の法律関係
⑸ 暗号資産の信託
⑹ 暗号資産の預託における法律関係(暗号資産交換業者と利用者の間の法律関係)
⑺ 暗号資産の不正送信における法律関係
⑻ 暗号資産と強制執行
⑼ 暗号資産と倒産
⑽ 暗号資産に対する担保権設定
⑾ 暗号資産の譲渡の対抗要件
3 暗号資産と刑事法
⑴ 暗号資産の侵害に関する罪
⑵ 暗号資産の没収
4 デジタルトークン移転の対抗要件
⑴ 課題と現行法の対応状況
⑵ ファンジブルトークンの法理
⑶ いわゆる消滅・発生構成と新制度の立案

第3章 暗号資産と取引
1 暗号資産交換業者の取引(管理・売買・交換)
⑴ 暗号資産の管理
⑵ 暗号資産の売買と交換
⑶ 規制との関係
2 暗号資産の貸付け・借入れ
⑴ 暗号資産の貸付けや借入れを行う事業者が現れている背景
⑵ 規制との関係
3 暗号資産のステーキング
⑴ ステーキングが注目される背景
⑵ 規制との関係
4 暗号資産と決済
⑴ 暗号資産による決済に仲介者が必要となる背景
⑵ 暗号資産による決済サービス
5 暗号資産と前払式支払手段,資金移動
⑴ 概  要
⑵ 暗号資産の定義
⑶ 前払式支払手段との相違
⑷ 為替取引(資金移動)との相違
6 ステーブルコインの実務
⑴ 概  要
⑵ ステーブルコイン
⑶ 中央銀行デジタル通貨(CBDC)
7 暗号資産ファンド(トークンへの投資)の実務
⑴ 暗号資産ファンドの組成
⑵ 暗号資産ファンドのスキーム
8 暗号資産による資金調達(ICO・IEO,トークンを用いた資金調達)
⑴ ICO ・IEOの概要
⑵ Web3とトークンによる資金調達
⑶ 現物暗号資産を用いた資金調達に関わる事業者に求められる規律
9 デジタル証券の実務
⑴ 有価証券のデジタルトークン化と有価証券に分類されるデジタルアセット
⑵ 有価証券表示権利をトークン化した場合の規律
⑶ 電子記録移転権利に該当する場合の規律
⑷ 電子記録移転権利から除かれるものに該当する場合の規律
⑸ 電子記録移転権利に該当するセキュリティトークンの設計
10 暗号資産のデリバティブ取引
⑴ ユースケース
⑵ 2019年改正前の位置づけ
⑶ 2019年改正後の位置づけ

第4章 暗号資産と金融法
1 暗号資産交換業に関する規制
⑴ 暗号資産交換業の業務
⑵ マネー・ローンダリング/テロ資金供与/拡散金融対策
⑶ 利用者保護規制
⑷ 不公正取引規制
⑸ 暗号資産交換業者に求められる体制等
⑹ 暗号資産交換業者のM&A
2 暗号資産デリバティブ取引に関する規制
⑴ 暗号資産デリバティブ取引の位置づけ
⑵ 暗号資産デリバティブの取引業者に求められる体制等
⑶ 行為規制
⑷ 説明義務・誤認表示の禁止
⑸ 信用取引
3 暗号資産ファンドに関する規制
⑴ 投資対象に対する制限
⑵ 集団投資スキーム持分に該当する場合に検討すべき金融規制
⑶ 暗号資産によるファンドへの出資
4 暗号資産を用いたICOに関する規制
⑴ JVCEAによる規制
⑵  取扱暗号資産の事前届出

第5章 ステーブルコインと法
1 ステーブルコインに関する法制度
⑴ ステーブルコインの分類
⑵ 「電子決済手段」の定義
⑶ ステーブルコインの発行形態
⑷ 「発行者」と「仲介者」の分離による規律のあり方
⑸ 海外事業者の発行するステーブルコインの取扱い
⑹ 第三者対抗要件
2 ステーブルコインの発行者に関する規制
⑴ 銀行によるステーブルコインの発行に関する規制
⑵ 資金移動業者によるステーブルコインの発行に関する規制
⑶ 信託会社・信託銀行等による電子決済手段の発行に関する規制
3 ステーブルコインによる取引の仲介者に関する規制
⑴ 電子決済手段等取引業者に関する規制
⑵ 電子決済等取扱業者に関する規制
4 マネー・ローンダリング/テロ資金供与/拡散金融対策
⑴ 電子決済手段取引のマネー・ローンダリング/テロ資金供与/拡散金融リスク
⑵ 電子決済手段取引において求められる対策

第6章 デジタル証券と法
1 セキュリティトークンの金商法上の位置づけ
⑴ 金商法に照らしたセキュリティトークンの分類
⑵ 「トークン化」の意味
2 セキュリティトークンの発行に関する規制
⑴ 発行開示規制
⑵ 継続開示規制
⑶ セキュリティトークンの発行・販売に関する金融商品取引業者等に係る規制
3 セキュリティトークンの二次流通に関する規制
⑴ 開示規制
⑵  セキュリティトークンの二次流通に関する金融商品取引業者等に係る規制
⑶ 不公正取引規制
4 セキュリティトークンの預託に関する規制
⑴ 概  要
⑵ セキュリティトークンの保護預りに関する規制
⑶ 分別管理義務
⑷ セキュリティトークンのウォレット構成に与える示唆
5 セキュリティトークンオファリングの具体的なスキーム
⑴ 概  要
⑵ 社  債
⑶ 匿名組合出資持分(TK持分)
⑷ 信託受益権(受益証券発行信託)

第7章 NFTと法
1 NFTとは
2 NFTの暗号資産該当性
3 NFTと著作権その他の権利
4 ブロックチェーンゲームとNFT
5 前払式支払手段としてのトークン
6 メタバースとNFT
7 インフラとしてのブロックチェーンとNFT
―web3が切り拓く「デジタル経済圏」

索  引

著者紹介

増島 雅和(ますじま まさかず)
[プロフィール]
森・濱田松本法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士。2000年東京大学法学部卒業。2001年弁護士登録。2006年コロンビア大学ロースクール卒業,2006年~07年Wilson Sonsini Goodrich & Rosati (Palo Alto)。2010年~12年金融庁監督局保険課,銀行第一課出向。規制改革推進会議専門委員,革新的事業活動評価委員会委員,デジタル競争市場競争会議専門委員,シェアリングエコノミー検討会議委員等の政府委員を歴任。日本ベンチャーキャピタル協会顧問,日本暗号資産ビジネス協会顧問,日本ブロックチェーン協会顧問。

[主な著作]
『FinTechの法律2017-2018』(編著,日経BP,2017年)
『事例で学ぶサイバーセキュリティ』(共著,経団連出版,2020年)
『ルール・チェンジー武器としてのビジネス法』(共著,日経BP,2020年)
『スタートアップ買収の実務』(共著,日本経済新聞社,2023年)

堀 天子(ほり たかね)
[プロフィール]
森・濱田松本法律事務所弁護士パートナー

2002年 弁護士登録
2002年 森・濱田松本法律事務所入所
2008年 金融庁総務企画局企画課調査室出向
2009年 金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室(~2010年3月)
2015年 一般社団法人Fintech協会理事就任(現エグゼクテイプ・アドバイザー)
2021年 規制改革推進会議 経済活性化ワーキング・グループ専門委員就任
2022年 内閣府国家戦略特区ワーキンググループ委員就任(現任)
2023年 経済産業省スタートアップ新市場創出タスクフォース構成員(現任)
2023年 内閣府規制改革推進会議委員就任(スタートアップ•投資WG, 働き方・人への投資WG) (現任)

金融機関や事業者の新規サーピス,DXへのアドバイスを行うほか,スタートアップの支援,法改正・環境整備に向けた活動を行っている。

[主な著作]
『実務解説 資金決済法[第5版]J (商事法務,2022年)
『暗号資産の法律[第2版]』 (中央経済社,2023年) (共著)
『新・逐条解説 資金決済法[第2版]』(きんざい, 2023年) (共著)