IASBの基準開発メカニズム―「組織存続の論理」からの究明

小形 健介

定価(紙 版):6,820円(税込)

発行日:2024/01/23
A5判 / 404頁
ISBN:978-4-502-48081-2

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本の紹介
公共政策の一環である会計基準の開発に際し、なぜ基準設定機関は多様な基準開発行動をとるのであろうか。IASBを20年間にわたって詳細に分析し、そのメカニズムを解明。

著者紹介

小形 健介(おがた けんすけ)
[プロフィール]
大阪公立大学大学院経営学研究科准教授,博士(経営学・神戸商科大学)
1993年 大分大学経済学部卒業。
2002年 神戸商科大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得退学,同年長崎県立大学経済学部専任講師。
2005年 長崎県立大学経済学部助教授,2007年同准教授,2013年同教授。
2017年 大阪市立大学大学院経営学研究科准教授,2022年大阪公立大学大学院経営学研究科准教授,現在に至る。

[主な著作]
【論文】
「FASB企業結合会計基準設定における投票行動の分析ーネットワーク分析の観点より」『企業会計』第62巻第8号, 2010年
「国際標準化におけるFASB基準開発活動の規定要因ー2000年代後半におけるFASBの規制 環境・基準化戦略・組織構造」『会計プログレス』第14号,2013年
「IFRSの形成における重層化された社会経済的影響」『企業会計』第74巻第3号,2022年
「会計規制研究における漸進的制度変化の理論の適用可能性」『會計』第203巻第3号,2023年

【書籍】
『IASB/ISO/IEC 国際ルールの形成メカニズム』(単訳,中央経済社,2013年)
「ロイヤルティの経営戦略上の意義と会計・税務問題」『異文化対応の会計課題:グローバルビジネスにおける日本企業の特徴』(分担執筆,同文舘出版,2019年)

担当編集者コメント
会計基準の開発にあたって、当初、基準設定機関は、財務諸表の利用者に有用な基準開発を試みるものの、そうした質や量が充実した財務諸表を作成するには、作成者の負担が増加する傾向にあります。そのため、作成者はそうした基準の開発に反対します。

会計基準の開発に際して、こうした財務諸表作成者との対立が生じる状況において、基準設定機関はどのような行動をとるでしょうか。

本書によると、利用者・作成者双方が納得するような妥協的な基準開発を行うこともあれば、作成者におもねるような基準開発を行うことも、また作成者の反対を押し切って利用者に有用な基準開発を行うこともあるようです。

このように基準設定機関が「多様な」会計基準の開発行動をとるのはなぜでしょうか。

筆者はこの問いを明らかにするために、IFRSの基準開発等を行うIASB(国際会計基準審議会)の20年間における基準開発行動を詳細に検証しています。

組織を存続させるためにIASBはどう行動を変えてきたのか、本書はそのメカニズムの解明を試みた研究書です。

会計学や会計実務に携わる方はもちろん、法律などの制度設計に携わる方にもおすすめです。