アイデンティティ業績管理会計―組織コントロール理論の拡張と応用
- 本の紹介
- 本書は、業績管理会計の理論にアイデンティティ(帰属意識)の視点を加え、業績管理会計の機能や役割についての拡張的な理論について、数理モデルを用いて構築する研究書。
目次
序 章 組織をいかにコントロールするか
第Ⅰ部 分析の準備と予備的考察
第1章 先行研究の整理-本書の研究手法と研究対象の明確化-
第2章 組織コントロールにおける業績評価の役割
第Ⅱ部 伝統的マネジメント・コントロール理論の拡張
第3章 マネジメント・コントロールの拡張可能性
第4章 アイデンティティとマネジメント・コントロール・パッケージ
第Ⅲ部 拡張されたマネジメント・コントロールのもとでの組織設計
第5章 マルチタスクと複数業績指標
第6章 目標決定権の分権化
第7章 固定給か業績連動給か
*
終 章 業績管理会計理論の再構築-人が主役の管理会計-
- 担当編集者コメント
- 組織をコントロールするためにアイデンティティが果たす役割とは?
テレワーク等の新しい働き方および人的資本経営に対する注目の高まりといった短期的なショック、ならびに成果主義の導入やM&Aを通じて日本企業が経営のスピードを速めている長期的なトレンドをうけて、「組織をいかにコントロールするか」は現在大きな経営課題といえるでしょう。
本書は、組織コントロールのためには、企業は業績情報を利用するだけではなく行動目標の設定も重要であり、その成否には「心の痛み」を生じさせる組織に対する個人のアイデンティティが触媒としての役割を果たしているかもしれないという問題意識から、業績管理会計の理論に「組織に対する個人のアイデンティティ(帰属意識)」の視点を加え、業績管理会計の機能や役割についての拡張的な理論を構築しています。
なお、本書は数理モデルを用いた研究のため、一見難しい印象を持たれる方も多いかもしれません。
この点、若林先生は分析結果の背景や含意の説明は可能な限り平易な言葉を用いるとともに、数式を追う場合も補遺でその展開を丁寧に説明しています。
会計研究者・大学院生はもちろんのこと、経営組織論、人的資源管理論等の隣接分野の研究者の皆様にも有益な内容と思われます。
さらに、実務家の方々は、数式が登場しない序章、第1章および終章を読むだけで本書の大要と成果を理解できるように書かれています。
多くの示唆を与える気鋭の若手研究者による研究書。
ぜひぜひご覧・ご活用ください!