- 本の紹介
- 「高い労働所得税は勤労意欲を削ぐ」といった税制にかかわる一見もっともらしい言説が、根拠を持つものであるのかを、経済学的な研究をレビューしながら検討する。
目次
第1章 「年収の壁」と配偶者控除―配偶者控除は就業調整を引き起こすのか―
1.1 配偶者控除バッシング
1.2 既婚女性の年収分布
1.3 制度の確認
1.4 何が100万円での集群を発生させているのか
1.5 配偶者控除による就業調整の規模
1.6 結局,何が問題なのか
第2章 課税と労働供給―労働所得税は勤労意欲を削ぐのか―
2.1 税制と活力
2.2 税率と労働供給の反応
2.3 課税所得を用いた評価
2.4 最高税率引上げと税収
2.5 最高税率の上昇は高所得者の流出を招くのか
2.6 低所得者への課税と給付
第3章 課税と再分配―税は格差の縮小に貢献できるのか―
3.1 税制の再分配効果は減少しているのか
3.2 課税による再分配を阻むもの
3.3 資産の世代間伝達
3.4 資産関連課税
第4章 企業課税と経済活力―企業減税は経済成長を促進するのか―
4.1 企業税制と民間投資
4.2 譲渡所得課税と事業活動
4.3 相続税と事業承継
第5章 消費税と今後の税制―軽減税率は役に立っているのか―
5.1 消費税のしくみ
5.2 軽減税率(複数税率)を巡って
5.3 消費課税と所得課税
5.4 消費課税と社会保険料
終章 「きちんと考える」ということ