現地の専門家が教える海外子会社管理実務の基礎と応用―ビジネス・法務・会計・税務の観点から

井上 諒一 編著

定価(紙 版):3,080円(税込)

発行日:2024/08/06
A5判 / 208頁
ISBN:978-4-502-50531-7

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本の紹介
海外進出企業の日本本社・地域拠点担当者を対象に、現地で実務上の制約となる制度や諸事情に配慮しつつ、各分野に横串を通して統一的な管理実務を行うためのポイントを解説。

目次

第1部 基礎編
第1章 海外子会社管理における運営面の対応
1 海外子会社運営におけるポイント
2 仕組みづくりのタイミングとフォローアップ
3 攻めの仕組みづくり
4 守りの仕組みづくり
5 人を動かすためのコミュニケーション
6 コミュニケーションの継続性

第2章 労務
1 海外子会社労務管理における駐在員と本社担当者の姿勢
2 雇用契約・就業規則
3 雇用契約の形態(正社員,契約社員,インターン,派遣労働者等)
4 組合対応・労働協約
5 月々の給与の支払い(社会保険料の支払いや給与に関する源泉徴収)
6 労働時間・残業代の管理
7 現物支給(現物支給に関する税務上の取扱注意)
8 本社からの出張者の取扱い
9 駐在員をめぐる諸問題
10 懲戒処分・解雇
11 退職金
12 取引先からの人権デュー・ディリジェンス

第3章 税務・会計
1 海外現地法人における税務コンプライアンス
2 グローバル税務コンプライアンス

第4章 個人情報保護
1 総論
2 個人情報保護法制の適用範囲(域外適用の有無)
3 「個人情報」の範囲
4 センシティブ個人情報
5 プライバシーポリシー
6 個人情報保護オフィサー
7 データローカライゼーション
8 個人データの国外移転
9 当局へのレポート提出義務等

第5章 贈収賄
1 海外子会社の役職員による外国公務員贈賄のリスク
2 現地法
3 日本の不正競争防止法
4 外国法の域外適用
5 コンプライアンス・プログラム/贈賄防止体制構築の必要性

第6章 独禁法
1 総論
2 水平的拘束
3 垂直的拘束
4 域外適用
5 立ち入り調査・情報提供命令
6 独禁法コンプライアンス体制構築

第7章 ビジネスと人権
1 「ビジネスと人権」への意識の高まり
2 人権の意義と範囲
3 グローバルスタンダードとしての企業の人権尊重責任
4 海外におけるハードロー化の流れ
5 日本におけるソフトローによる規律
6 海外子会社管理における視点

第8章 カーボンプライシング・排出量削減(ESG・SDGs)
1 総論
2 炭素排出量測定・報告義務
3 炭素排出枠
4 リサイクル義務
5 炭素税
6 カーボンクレジット

第2部 応用編
第1章 各種規定類の整備・運用
1 総論
2 贈収賄防止規程
3 個人情報保護規程

第2章 海外における法改正への対応
1 総論
2 情報収集の方法(現地側・本社側)
3 最新法令検討のプロセス
4 本社側でのサポートの方法

第3章 海外子会社向けのコンプライアンス研修

第4章 グローバル内部監査
1 総論
2 グローバル内部監査チーム・体制
3 内部監査を実施する海外現地法人の範囲や頻度の確定
4 グローバル内部監査計画
5 内部監査通知書
6 グローバル内部監査の内容
7 グローバル内部監査結果報告書

第5章 グローバル内部通報制度
1 総論
2 体制構築
3 周知・運用
4 通報がなされた場合の対応

第6章 不正調査と不祥事対応
1 海外子会社における不祥事のリスク
2 海外子会社の不祥事の端緒を発見した場合の対応
3 海外子会社の不正調査
4 海外子会社での不祥事の予防策

第7章 税務調査対応
1 総論
2 対象国の税務調査プロセス・タイムラインの把握
3 税務当局側の主張の把握
4 税務当局側の主張の当否について法令,事実関係,証拠に基づく検討
5 税務調査戦略の検討
6 反論の検討・反論書の作成
7 税務当局との会議・打ち合わせ
8 和解
9 税務調査決定
10 不服申立て・税務裁判

第8章 日本・先進国と比較した新興国特有の留意点
1 はじめに
2 新興国の法制度はなぜ不安定なのか
3 法制度の不安定さの影響として生じる問題点とその対策

著者紹介

井上 諒一(いのうえ りょういち)
[プロフィール]
M&Pアジア株式会社CEO
三浦法律事務所 弁護士(アジアプラクティスヘッドパートナー)

2013年:慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2013年:司法試験合格(全国総合5位)
2014年:弁護士登録(第二東京弁護士会所属)
2015~2020年:森・濱田松本法律事務所
2017年:森・濱田松本法律事務所 北京オフィス
2018~2020年: AKSET Law(森・濱田松本法律事務所ジャカルタデスク)
2020年:三浦法律事務所参画
2021年: Columbia University School of Law (LL.M.)修了
2021年: M&Pアジア創業

英語のほか,インドネシア語,ベトナム語,中国語,スペイン語を得意とする。

[主な著作]
『オムニバス法対応インドネシアビジネス法務ガイド』(中央経済社, 2022年)
Asian Legal Business Japan Law Awards 2022, 2024『Young Lawyer of the Year』ファイナリスト, Best Lawyers in Japan 2024『International Business Transactions』部門選出,およびIFLR1000 (2024年) M&A部門『Rising Star Partner』選出。