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- 本の紹介
- 2000年を境に日本の会計基準は個別財務諸表主体から連結財務諸表主体の基準へと大きく変貌を遂げた。本書は連結ベースの日本の会計基準を体系的に詳解している。
目次
第1部 財務会計の基礎
第1章 財務会計の意義と機能
1 会計の意義と領域
2 財務会計の意義と企業を取り巻く利害関係者
3 財務会計の機能
4 財務会計のプロセス
5 財務会計の基礎概念
第2章 利益計算の仕組み
1 発生主義会計の意義
2 発生主義会計の仕組み
3 複式簿記の仕組み
第3章 日本の企業会計制度
1 企業会計をめぐる法規制
2 日本におけるGAAPの変遷
3 会計基準の多様性の背景
4 現行会計基準の一覧
第4章 収益の認識と測定
1 収益の意義と認識
2 収益認識に関する「実現」の考え方
3 企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」
第5章 棚卸資産と売上原価
1 棚卸資産の範囲
2 取得原価
3 原価配分
4 期末評価(評価基準)
5 トレーディング目的で保有する棚卸資産
第6章 有形固定資産と減価償却
1 有形固定資産の範囲
2 取得原価
3 原価配分
第7章 繰延資産と引当金
1 繰延資産・引当金の意義
2 繰延資産の会計処理
3 引当金の会計処理
第8章 資産・負債・純資産
1 資産
2 負債
3 純資産
第9章 基本財務諸表
1 財務諸表の種類
2 損益計算書の表示
3 貸借対照表の表示
第10章 財務会計の概念フレームワーク
1 概念フレームワークの意義
2 ASBJ討議資料「財務会計の概念フレームワーク」
3 資産評価と利益計算
4 企業会計原則の一般原則
第2部 財務会計各論
第11章 連結①
1 連結財務諸表制度の概要と連結基礎概念
2 連結財務諸表作成における一般原則
3 連結財務諸表作成における一般基準
4 連結貸借対照表の作成基準
第12章 連結②
1 連結損益計算書等の基本原則
2 連結会社相互間の取引高の相殺消去
3 未実現損益の消去
4 連結損益計算書の表示方法
5 連結包括利益計算書
第13章 持分法
1 持分法の意義
2 持分法の会計手続
3 開示
第14章 キャッシュ・フロー計算書
1 キャッシュ・フロー計算書の意義
2 資金の範囲
3 キャッシュ・フロー計算書の仕組み
4 キャッシュ・フロー計算書の表示区分
5 連結キャッシュ・フロー計算書の作成方法
第15章 金融商品①
1 金融商品会計の意義
2 金融商品の範囲
3 金融商品の発生の認識と消滅の認識
4 金融資産および金融負債の評価の基本的な考え方
5 金銭債権の会計処理
6 有価証券の会計処理
7 金融商品の表示および開示
8 時価の定義と算定方法
第16章 金融商品②
1 デリバティブ取引
2 ヘッジ会計
3 複合金融商品
第17章 外貨換算
1 外貨換算会計の意義
2 外貨換算会計の論点
3 外貨建取引の会計処理
4 為替予約等の会計処理
5 在外事業体の財務諸表項目の換算
第18章 税効果
1 法人税,住民税および事業税等に関する会計処理
2 課税所得計算と税効果会計
3 個別財務諸表における税効果会計
4 連結財務諸表における税効果会計
第19章 固定資産の減損
1 減損処理の概要
2 会計処理
3 開示
第20章 リース
1 リースの定義と識別
2 リースの会計処理モデル
3 借手の会計処理
4 貸手の会計処理
5 サブリース取引の会計処理
6 セール・アンド・リースバック取引の会計処理
7 開示
第21章 退職給付
1 退職給付と退職給付会計
2 退職給付会計の仕組み
3 退職給付費用
4 確定給付制度の開示
第22章 資産除去債務
1 資産除去債務の概要
2 会計処理
3 開示
第23章 ストック・オプション等
1 新株予約権およびストック・オプションの意義
2 新株予約権の会計処理
3 ストック・オプションの会計処理
4 報酬としての株式交付の会計処理
5 役員賞与に関する会計処理
第24章 企業結合
1 組織再編と企業結合
2 取得の会計処理
3 共同支配企業の形成の会計処理
4 共通支配下の取引等の会計処理
第25章 無形資産とのれん
1 無形固定資産の範囲
2 法律上の権利
3 研究開発費とソフトウェア
4 のれん
5 負ののれん
第26章 事業分離等
1 事業分離と投資の継続性
2 分離元企業の会計処理
3 組織再編に関連するその他の論点
第27章 セグメント情報
1 セグメント情報等の開示の概要
2 セグメント情報
3 関連情報等
第28章 会計方針の開示等
1 会計方針の開示等において用いられる用語
2 会計方針等の開示
3 会計上の変更に関する取扱い
4 過去の誤謬の訂正に関する取扱い
第29章 その他の注記事項
1 関連当事者の開示
2 1株当たり当期純利益
3 潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定
4 賃貸等不動産の時価等の開示
第30章 中間財務諸表
1 中間財務諸表の意義
2 中間財務諸表の範囲と対象期間
3 中間財務諸表の作成方法
4 中間財務諸表の開示
- 担当編集者コメント
- 連結ベースの日本の会計基準を体系的に詳解するテキスト
〇本書のねらい
2000年を境に、日本の会計基準はそれ以前の個別財務諸表主体から連結財務諸表主体の基準へと大きく変貌を遂げています。この流れを受けて、会計基準の策定も、金融庁長官の諮問機関である企業会計審議会から、民間の常設基準設定機関として2001年に設立された企業会計基準委員会(ASBJ)へと移譲され、経済環境の変化と会計基準策定の国際的な流れにより迅速に対応できる体制が整いました。
現在の日本の会計基準は、第2次世界大戦後の日本経済の近代化に大きく寄与した「企業会計原則」の時代とは規模も複雑さも隔世の感があります。では、そのどこが「企業会計原則」を支えていた企業会計の基本原理と異なり、どこが通底しているのか。それは企業活動の変化に対応して不可避の変化・発展なのか、あるいは基準策定の国際化に伴うパワーポリティクス(政治化)の産物なのか。
本書は、上記の問題意識をもとに日本の会計基準を中心とした財務会計の全体像を詳解しています。
(序文より)
〇本書の全体像と特徴
❶第1部は、財務会計の初学者を対象にして、伝統的な利益計算の仕組みと簿記の原理をコンパクトに理解できるように構成されています。さらに第1部では、第1部で学習する「企業会計原則」と第2部で学習する「企業会計基準」の異同について、初学者が混乱しないように配慮して解説されています。初学者はまずは第1部をしっかり理解しましょう。
❷第2部は、ASBJが設立された2001年以降の企業会計基準について、「連結処理」を念頭において詳解されています。おおむね各章が会計基準に該当するので、通読しなくても知りたい会計基準の基本的な考え方を的確に押さえることもできます。
❸共著のテキストは、各パートでバラバラに執筆していて、全体的な体系性やまとまりがないものも見受けられますが、本書は編著者の辻山先生と弟子の3先生により熟慮を重ねて仕上げた内容ですので、単著といってもよい仕上がりになっている点も本書の大きな特徴です。
〇本書の活用法
❶大学生・大学院生、会計士・税理士・簿記検定受験生
本書は通読できるギリギリの分量だと思います。
全体像を体系的に解説しているので、ぜひ通読にチャレンジしていただければと思います。
特に資格試験受験生の方は、ある程度知識があると思いますので、2-3日集中して一気に読みこむのも効果的。
とはいえ、本文で500頁を超えますので難しい場合は、上記「全体像と特徴」にあるように、まずは第1部をしっかり押さえて、第2部は知りたい基準をスポット的に読んでいくこともよいかもしれません。
そして、単に知識を詰め込むのではなく、「なぜそのように考えるのか」を中心に読みこんでいくと理解が深まり、学習効果も高いと思います。
❷実務家の皆様
会計処理などの基本的知識をお持ちの方も多いと思いますが、上記と同様に「なぜそのように考えるのか」を押さえると、理解が深まり、また実務での応用も利くようになると思います。
また、テキストの大きな利点の1つは「体系的」に理解ができることなので、本書で今ある知識を体系的に整理することは今後の実務を行う際にも有益です。
ぜひぜひご活用ください!