

- 本の紹介
- 現在、日本の多くの中小企業は事業承継が大きな課題となっている。本書は事業承継における会計の役割について、理論、アンケート調査、インタビュー調査をもとに解明する。
目次
第1章 中小企業における事業承継の意義と課題
第2章 中小企業に対する実態調査例
第3章 事業承継のフレームワークと理論的課題
第4章 事業承継における会計情報の重心
第5章 中小企業事業承継の5つのステップと戦略的廃業概念
第6章 調査の概要と分析方法
第7章 中小企業における事業承継の実態とその分析―アンケート調査に基づいて
第8章 「経理」と「会計」が会社を強くする―山藤鉄工株式会社の事例
第9章 「事業承継のステップ」に当てはまらない事業承継プロセス―ビッグオート株式会社の事例
第10章 事業承継に向けた企業価値向上―株式会社X社の事例
第11章 事業承継における「経理の承継」の必要性―株式会社Y社の事例
第12章 長崎県内中小企業2社の事業承継に見る経営の承継
第13章 中小企業における事業承継の課題と展望
- 担当編集者コメント
- 「ストックとフローの財務情報の把握」と「経理の承継」の視点から事業承継における会計の役立ちを解明する研究
○本書のねらい
日本の企業数の99.7%,雇用者数で69.7%が中小企業です。
中小企業は日本の地域経済,ひいては日本経済全体を支える存在であり,活力ある中小企業の存在が日本経済の発展にも直結します。
現在その中小企業の多くが「事業承継」について大きな課題をかかえています。
経営者の多くが高齢化し,経営から退きたいと考えていても,後継者がいないという状態が多くの中小企業で発生しており,中小企業の経営者にとって切実な問題です。
本書は,中小企業の事業承継について,アンケート調査とインタビュー調査に基づき,その実態を明らかにし,会計がどのように役立つかについて考察しています。
○事業承継における会計の役立ち
本書では,とりわけ「ストックとフローの財務情報の把握」と「経理の承継」の2つの軸から事業承継における会計の役立ちについて明らかにしています。
中小企業の経営者が自社の財政状態や経営状況を把握するためには、経営者自身が貸借対照表と損益計算書を正確に理解できることが不可欠であり,そのための環境をどのように整備するかは重要な課題です。
また,事業承継によって経営権が承継される一方で,経理担当者の間で経理の承継が適切に行われることは,ストックとフローの財務情報を適切に把握できる環境を整えるためにもきわめて重要です。
本書は,中小企業会計学会・課題研究委員会「中小企業事業承継における課題と展望」(委員長:成川正晃、研究期間:2018年11月~2021年9月)の研究成果をまとめたものです。
事業承継について会計の視点から切り込んだこれまでにない研究成果は,学術的にも実務的にも大きな貢献があります。
ぜひご活用ください!
<編著者・著者(執筆順・肩書は刊行時)>
成川正晃(元東京経済大学教授)
大槻晴海(明治大学教授)
中島洋行(明星大学教授)
木下貴博(松本大学松商短期大学部教授)
加藤恵一郎(公認会計士・税理士)
古川忠彦(アルパーコンサルティング株式会社代表取締役)
増山英和(税理士)
久田英詞(公認会計士・税理士)
山浦佑太(税理士)
宮地晃輔(長崎県立大学教授)