経済格差の研究―日本の分配構造を読み解く
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- 近年その拡大に関心が高まっている経済格差の実態と政策対応について、所得・税・年金・医療・介護保険などの視点から分析。日本の分配構造のあり方を公的研究会の識者が提言。
目次
経済格差の研究
目次
序 章
1 格差問題の位置づけ
2 経済格差の実態と要因
3 所得再分配政策の効果
4 社会保障制度をめぐる格差の問題と所得再分配
5 税制による所得再分配
6 所得再分配政策の今後
第1章 所得格差の動向とその問題点
1 はじめに
2 所得格差の動向―格差拡大はあったのか
3 格差拡大の要因は何か
4 税・社会保障制度の再分配効果
5 子供の貧困にどう向き合うか
6 まとめと今後の展望
補 論:不平等度指標と要因分解の手法について
第2章 公的年金の世代間格差―現状・原因・対応
1 はじめに
2 世代間・世代内移転の実態
3 なぜ世代間格差が発生するか?
4 世代間格差にどう対処すべきか?
5 まとめ
補 論:厚生年金・国民年金の生涯負担・給付の推計
第3章 今後における望ましい公的年金制度のあり方
1 はじめに
2 所得分配と所得再分配
3 公的年金制度のあり方
4 今後における望ましい公的年金制度のあり方(1)―1階部分
5 現行基礎年金の財源調達方法における問題点
6 今後における望ましい公的年金制度のあり方(2)―2階部分
第4章 医療の特性とその政策対応
1 はじめに
2 健康格差の基本課題
3 医療における需給特性
4 日本の医療制度
5 今後の政策提言
第5章 介護保険と所得格差
1 はじめに
2 介護保険制度に組み込まれている再分配機能
3 介護保険の利用実態からみた再分配機能:杉並区のケース
4 介護保険の改革へ向けて
5 おわりに
第6章 ミニマムの豊かさと就労インセンティブ―公的扶助制度
再考
1 はじめに
2 日本の生活保護制度
3 NITモデルとアメリカの低所得者政策
4 ミニマム福祉保障再考
5 制度の構想
6 就労意欲を支える公共的相互性
7 結びに代えて
補 論
第7章 日本の所得税・住民税負担の実態とその改革について
1 はじめに
2 データと分析手法について
3 2004年改革以前における日本の税・社会保険料負担の実態と日
本の所得税の問題点
4 最近の税制改革が税負担に及ぼす影響について
5 今後の所得税改革について―所得控除の縮小と税額控除の活用
6 おわりに
補 論1:所得税・住民税額の計算方法について
補 論2:データから計算した所得税額(理論値)とデータに示された
所得税額(データ値)の違いについて
第8章 相続税と経済格差
1 はじめに
2 経済格差の世代間継承と相続・贈与
3 相続・贈与と経済格差
4 相続税と経済格差:理論
5 相続税と経済格差:実証
6 相続税の政治経済学
7 結 論
第9章 税制と社会保障制度の一体改革による格差問題への対
応―均等化政策から潜在力支援型底上げ政策へ
1 はじめに
2 基本的な考え方
3 格差問題の分析
4 税制と社会保障制度の一体改革
5 おわりに
第10章 格差問題と税制―勤労税額控除制度の提言
1 はじめに
2 格差の実態とその要因
3 低下する税制の所得再分配機能
4 若年層の格差問題と勤労税額控除
第11章 社会保障と所得再分配
―「持続可能な福祉社会」の視点を踏まえて
1 はじめに
2 日本の社会保障の特徴と課題
3 分配と再分配―ポスト福祉国家論の視点を踏まえて
4 これからの展望―新たな社会モデルの必要性
補 論:「人生前半の社会保障」について
コラム 世代間格差改善のための医療保険制度モデル私案とその
可能性―賦課方式と積立方式の補完的導入
1 医療保険制度を「完全賦課方式」から「修正賦課方式」に改良
2 実証分析の結果―世代間格差改善のためには新モデルの方が
優位
著者プロフィール
貝塚 啓明(かいづか けいめい)
中央大学研究開発機構教授・財務省財務総合政策研究所名誉所長
東京大学名誉教授
財務省 財務総合政策研究所