インターネットに自由はあるか―米国ICT政策からの警鐘
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- ブロードバンドで世界の最先端を目指す米国オバマ政権のICT戦略の政策決定過程を丹念に追い、施策を検証することで本質を探り、わが国においても参考となる材料を見出す。
目次
インターネットに自由はあるか
─米国ICT 政策からの警鐘
目次
はじめに
⑴ アメリカと日本の情報通信
⑵ オバマ政権の情報通信政策
⑶ オバマ政権の三つの方向性 ……ほか
第1章 オバマ政権のブロードバンドアジェンダ
1 オバマ候補の登場
2 「テクノロジー・イノベーション」政策
3 国家戦略策定の提唱
第2章 ブロードバンド財政支援の意義と限界
1 米国再生・再投資法
⑴ 経済刺激策としての始動
⑵ 苦心の法案化
⑶ 議会審議での攻防
2 ブロードバンドへの72億ドルの財政支援
⑴ 殺到する人々
⑵ 距離を置く巨大基盤事業者
⑶ プログラムの実行 ……ほか
3 日本のブロードバンド展開支援策
第3章 野心的なブロードバンド国家戦略
1 国家ブロードバンド計画の策定
⑴ FCCのミッション
⑵ 総力を挙げるFCC
⑶ 周波数再編策の模索 ……ほか
2 米国のブロードバンド戦略
⑴ 野心的かつ包括的な「国家ブロードバンド計画」
⑵ 周波数改革とインセンティブオークションの提唱
⑶ 1億世帯に100Mbpsのブロードバンドを! ……ほか
3 日本のブロードバンド計画
⑴ 最初の目標設定と競争政策の主導(「e-Japan戦略」)
⑵ 市場補完策への傾注
(「IT新改革戦略」と「デジタル・ディバイド解消戦略」)
⑶ 超高速ブロードバンド普及への視点
(「新たな情報通信技術戦略」と「光の道」構想) ……ほか
第4章 ワイヤレスブロードバンドの拡大に向けて
1 「計画」から政府の方針へ
⑴ オバマ大統領から商務省への指示
⑵ 「500メガヘルツ」の特定に向けて
2 インセンティブオークション
⑴ 地上テレビジョン放送業界の懸念
⑵ 動けない上院
⑶ 空転するオバマ大統領のリーダーシップ ……ほか
3 日本のワイヤレスブロードバンドに向けた周波数再編
⑴ ブロードバンドのための周波数確保
⑵ 周波数利用の円滑な移動のための方策
第5章 すべてのアメリカ人にブロードバンドを!
1 ユニバーサルサービス基金制度
2 ユニバーサルサービス基金制度の改革
⑴ FCCによる制度改革
⑵ 高コスト地域支援プログラム改革
⑶ 低所得者支援プログラム改革 ……ほか
3 日本のユニバーサルサービス基金制度改革
⑴ 日本の制度の経過、現状と改革
⑵ 日米間の相違
第6章 ネットワーク競争を巡る論争
1 オープンアクセスとオープンインターネット
2 オープンアクセス政策の導入
⑴ 「基本サービス」と「高度サービス」の二分法 149
⑵ 「電気通信サービス」と「情報サービス」の二分法 152
⑶ アンバンドルの進展
3 オープンアクセス政策の退潮
⑴ アンバンドル対象の縮減
⑵ ケーブルモデムサービスの勃興
⑶ RBOCサービスの「情報サービス」への転換 ……ほか
4 ベル系事業者のFTTHサービスの導入
5 国家ブロードバンド計画策定に向けた議論
⑴ バークマンセンターのレビュー
⑵ 国家ブロードバンド計画に記述された二つの課題
6 日本のオープンアクセス政策
⑴ アンバンドルの制度的枠組みの成立
⑵ 銅線の加入者回線のアンバンドル
⑶ 競争ルールの整備とDSLの拡大 ……ほか
第7章 スマートフォン、ビデオ配信をオープンに!
1 議論の発端
⑴ 党派対立の焦点となった「ネットワーク中立性」
⑵ ブロードバンドの
「情報サービス」移行と「インターネット政策声明」
⑶ 「インターネット政策声明」の援用と「付随的管轄権」の運用
2 ジェナカウスキー委員長の始動
⑴ 追加2原則の提唱
⑵ スマートフォンプラットフォームのオープン性
⑶ 規則案の提案
3 相次ぐ難局
⑴ コムキャスト控訴審の衝撃
⑵ 法改正か通信法の解釈変更か
⑶ 解釈変更を模索するジェナカウスキー委員長 ……ほか
4 オープンインターネット規則の採決
⑴ 最後の提案
⑵ 新規則への反響
5 新規則を巡る争い
⑴ 規則の執行力を否定する連邦議会の決議案
⑵ 再度の法廷闘争
⑶ インターネットのオープン性
6 日本のオープンインターネット
⑴ 日本の法制におけるインターネット接続サービスの扱い
⑵ 独自ゲートウェイサービスの事業者によるオープン化措置
⑶ ネットワーク管理についての事業者団体のガイドライン
……ほか
第8章 中国のグーグルとインターネットフリーダム
1 理念、原則、そして規範
2 「接続の自由」の理念
⑴ 中国のグーグル
⑵ オバマ大統領の中国へのメッセージ
⑶ クリントン国務長官の最初の演説
3 理念から原則へ
⑴ 見えてきた当初方針の限界
⑵ クリントン長官の第二の演説
⑶ 「サイバースペースのための国際戦略」
4 原則共有の追求
⑴ G8首脳宣言
⑵ インターネットエコノミーに関する日米の5原則
⑶ 「インターネット政策策定のための原則に関するコミュニケ」
……ほか
5 原則から規範へ
⑴ クリントン長官の第三の演説
⑵ 「通商原則」というアプローチ
⑶ 日米通商原則─ネットワークオープン化政策とのタイアップ
……ほか
第9章 東日本大震災のインパクト
1 日本の震災対応に注目する米国政府
⑴ 東日本大震災
⑵ FCCの震災対応フォーラム
⑶ 個人地域警報ネットワークの発表
2 全国的警報システムの始まりと経過
⑴ 放送メディアによる警報システム
⑵ 移動端末への警報を!
⑶ CMASの概要
3 相次ぐ非常時対応施策
⑴ 個人地域警報ネットワークの実現
⑵ EASの全国試験の実施
⑶ 通信停止報告制度の拡大 ……ほか
おわりに
⑴ 2012年大統領選挙キャンペーンの開幕
⑵ 問われる評価
⑶ 日米の協調 ……ほか
あとがき
著者プロフィール
藤野 克(ふじの まさる)
1990年,早稲田大学政治経済学部政治学科卒業,郵政省(現総務省)入省。
1993年,シカゴ大学社会科学修士号(MA)取得。
1998年,郵政省業務課(2001年より総務省料金サービス課)課長補佐(競争政策担当)。
2001年,電気通信事業紛争処理委員会事務局上席調査専門官。
2004年,総務省官房総務課課長補佐(国会,法令等担当)。
2005年,総務省移動通信課ITS推進官(電波法改正担当)。
2006年,早稲田大学政治経済学部政治学科非常勤講師。
2007年,総務省電波政策課企画官(電波法改正担当)。
2008年,在米国日本大使館参事官。
著書:
『電気通信事業法逐条解説』電気通信振興会(2008年,共編著)。