インターネットに自由はあるか―米国ICT政策からの警鐘

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藤野 克

定価(紙 版):4,400円(税込)

発行日:2012/05/15
A5判 / 400頁
ISBN:978-4-502-69700-5

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本の紹介
ブロードバンドで世界の最先端を目指す米国オバマ政権のICT戦略の政策決定過程を丹念に追い、施策を検証することで本質を探り、わが国においても参考となる材料を見出す。

目次


インターネットに自由はあるか
─米国ICT 政策からの警鐘
目次

 はじめに
  ⑴ アメリカと日本の情報通信
  ⑵ オバマ政権の情報通信政策
  ⑶ オバマ政権の三つの方向性 ……ほか

第1章 オバマ政権のブロードバンドアジェンダ
 1 オバマ候補の登場
 2 「テクノロジー・イノベーション」政策
 3 国家戦略策定の提唱 

第2章 ブロードバンド財政支援の意義と限界
 1 米国再生・再投資法
  ⑴ 経済刺激策としての始動 
  ⑵ 苦心の法案化 
  ⑶ 議会審議での攻防
 2 ブロードバンドへの72億ドルの財政支援 
  ⑴ 殺到する人々 
  ⑵ 距離を置く巨大基盤事業者 
  ⑶ プログラムの実行 ……ほか 
 3 日本のブロードバンド展開支援策 

第3章 野心的なブロードバンド国家戦略
 1 国家ブロードバンド計画の策定 
  ⑴ FCCのミッション 
  ⑵ 総力を挙げるFCC 
  ⑶ 周波数再編策の模索 ……ほか
 2 米国のブロードバンド戦略 
  ⑴ 野心的かつ包括的な「国家ブロードバンド計画」 
  ⑵ 周波数改革とインセンティブオークションの提唱 
  ⑶ 1億世帯に100Mbpsのブロードバンドを! ……ほか 
 3 日本のブロードバンド計画 
  ⑴ 最初の目標設定と競争政策の主導(「e-Japan戦略」) 
  ⑵ 市場補完策への傾注
     (「IT新改革戦略」と「デジタル・ディバイド解消戦略」) 
  ⑶ 超高速ブロードバンド普及への視点
     (「新たな情報通信技術戦略」と「光の道」構想) ……ほか

第4章 ワイヤレスブロードバンドの拡大に向けて
 1 「計画」から政府の方針へ 
  ⑴ オバマ大統領から商務省への指示 
  ⑵ 「500メガヘルツ」の特定に向けて 
 2 インセンティブオークション 
  ⑴ 地上テレビジョン放送業界の懸念 
  ⑵ 動けない上院 
  ⑶ 空転するオバマ大統領のリーダーシップ ……ほか
 3 日本のワイヤレスブロードバンドに向けた周波数再編
  ⑴ ブロードバンドのための周波数確保
  ⑵ 周波数利用の円滑な移動のための方策

第5章 すべてのアメリカ人にブロードバンドを!
 1 ユニバーサルサービス基金制度 
 2 ユニバーサルサービス基金制度の改革 
  ⑴ FCCによる制度改革 
  ⑵ 高コスト地域支援プログラム改革 
  ⑶ 低所得者支援プログラム改革 ……ほか
 3 日本のユニバーサルサービス基金制度改革 
  ⑴ 日本の制度の経過、現状と改革 
  ⑵ 日米間の相違 

第6章 ネットワーク競争を巡る論争
 1 オープンアクセスとオープンインターネット 
 2 オープンアクセス政策の導入
  ⑴ 「基本サービス」と「高度サービス」の二分法 149
  ⑵ 「電気通信サービス」と「情報サービス」の二分法 152
  ⑶ アンバンドルの進展 
 3 オープンアクセス政策の退潮 
  ⑴ アンバンドル対象の縮減 
  ⑵ ケーブルモデムサービスの勃興 
  ⑶ RBOCサービスの「情報サービス」への転換 ……ほか
 4 ベル系事業者のFTTHサービスの導入 
 5 国家ブロードバンド計画策定に向けた議論 
  ⑴ バークマンセンターのレビュー 
  ⑵ 国家ブロードバンド計画に記述された二つの課題 
 6 日本のオープンアクセス政策 
  ⑴ アンバンドルの制度的枠組みの成立
  ⑵ 銅線の加入者回線のアンバンドル 
  ⑶ 競争ルールの整備とDSLの拡大 ……ほか
 
第7章 スマートフォン、ビデオ配信をオープンに!
 1 議論の発端 
  ⑴ 党派対立の焦点となった「ネットワーク中立性」 
  ⑵ ブロードバンドの
     「情報サービス」移行と「インターネット政策声明」 
  ⑶ 「インターネット政策声明」の援用と「付随的管轄権」の運用 
 2 ジェナカウスキー委員長の始動 
  ⑴ 追加2原則の提唱 
  ⑵ スマートフォンプラットフォームのオープン性 
  ⑶ 規則案の提案 
 3 相次ぐ難局 
  ⑴ コムキャスト控訴審の衝撃 
  ⑵ 法改正か通信法の解釈変更か 
  ⑶ 解釈変更を模索するジェナカウスキー委員長 ……ほか
 4 オープンインターネット規則の採決 
  ⑴ 最後の提案 
  ⑵ 新規則への反響 
 5 新規則を巡る争い 
  ⑴ 規則の執行力を否定する連邦議会の決議案 
  ⑵ 再度の法廷闘争 
  ⑶ インターネットのオープン性 
 6 日本のオープンインターネット 
  ⑴ 日本の法制におけるインターネット接続サービスの扱い 
  ⑵ 独自ゲートウェイサービスの事業者によるオープン化措置 
  ⑶ ネットワーク管理についての事業者団体のガイドライン
   ……ほか

第8章 中国のグーグルとインターネットフリーダム
 1 理念、原則、そして規範 
 2 「接続の自由」の理念 
  ⑴ 中国のグーグル 
  ⑵ オバマ大統領の中国へのメッセージ 
  ⑶ クリントン国務長官の最初の演説 
 3 理念から原則へ 
  ⑴ 見えてきた当初方針の限界 
  ⑵ クリントン長官の第二の演説 
  ⑶ 「サイバースペースのための国際戦略」 
 4 原則共有の追求 
  ⑴ G8首脳宣言 
  ⑵ インターネットエコノミーに関する日米の5原則 
  ⑶ 「インターネット政策策定のための原則に関するコミュニケ」
   ……ほか
 5 原則から規範へ 
  ⑴ クリントン長官の第三の演説 
  ⑵ 「通商原則」というアプローチ 
  ⑶ 日米通商原則─ネットワークオープン化政策とのタイアップ
   ……ほか

第9章 東日本大震災のインパクト
 1 日本の震災対応に注目する米国政府 
  ⑴ 東日本大震災 
  ⑵ FCCの震災対応フォーラム 
  ⑶ 個人地域警報ネットワークの発表 
 2 全国的警報システムの始まりと経過 
  ⑴ 放送メディアによる警報システム 
  ⑵ 移動端末への警報を! 
  ⑶ CMASの概要 
 3 相次ぐ非常時対応施策 
  ⑴ 個人地域警報ネットワークの実現 
  ⑵ EASの全国試験の実施
  ⑶ 通信停止報告制度の拡大 ……ほか

 おわりに
  ⑴ 2012年大統領選挙キャンペーンの開幕
  ⑵ 問われる評価 
  ⑶ 日米の協調 ……ほか

 あとがき


著者プロフィール 藤野 克(ふじの まさる)
1990年,早稲田大学政治経済学部政治学科卒業,郵政省(現総務省)入省。
1993年,シカゴ大学社会科学修士号(MA)取得。
1998年,郵政省業務課(2001年より総務省料金サービス課)課長補佐(競争政策担当)。
2001年,電気通信事業紛争処理委員会事務局上席調査専門官。
2004年,総務省官房総務課課長補佐(国会,法令等担当)。
2005年,総務省移動通信課ITS推進官(電波法改正担当)。
2006年,早稲田大学政治経済学部政治学科非常勤講師。
2007年,総務省電波政策課企画官(電波法改正担当)。
2008年,在米国日本大使館参事官。

著書:
『電気通信事業法逐条解説』電気通信振興会(2008年,共編著)。






















著者紹介

藤野 克(ふじの まさる)