- 本の紹介
- 高齢化社会の現状を把握し、高齢者対策の具体的取組みを紹介した上で、限定的とはいえ、希望の持てる、日本再生のカギとなる可能性を秘めた超高齢社会のカタチを具体的に示す。
目次
超高齢社会
目次
序 章 超高齢社会の到来
1 長 寿
2 超高齢社会の到来
3 超高齢社会における諸現象
4 高齢社会の課題と方向
第Ⅰ部 高齢者社会の現状
第1章 わが国経済社会の構造変化と高齢社会の課題
1 わが国における社会構造の変化
2 超高齢社会の問題の背景
3 超高齢社会の訪れと国家的課題
第2章 超高齢社会の鳥瞰
1 日本の高齢化の進行
2 高齢者の寿命と死亡
3 災害と高齢者
4 おわりに
第3章 国土の長期展望と高齢化問題
1 日本人口の長期的動向からみた歴史的転換期
2 長期展望の前提
3 地域別の人口動向と高齢化
4 国土における高齢化の影響
5 超高齢社会に向けて ……ほか
第Ⅱ部 高齢者対策への具体的取組み
第4章 超高齢社会への行政の対応:世田谷区の取組み
1 世田谷区の概況
2 在宅での24時間365日の安心な生活
3 世田谷区高齢者施策の他の先駆的取組み
4 おわりに
第5章 地域包括ケアシステムを機能化した介護保険事業計画:
和光市の取組み
1 自立支援とは
2 和光市の概況
3 和光市の政策と体制
4 和光市長寿あんしんグランドデザイン
5 地域包括支援センターの体制 ……ほか
第6章 地域医療連携を重視した医師会の事業計画と理論の整備:
尾道市医師会の取組み
1 尾道市医師会の18年間の試み
2 システム理論としてのCGAと尾道市医師会方式
ケアカンファレンスの考察
3 超高齢社会に必要なend of life careの考え方
4 超高齢社会に対応可能な地域医療連携
5 超高齢社会における認知症治療とケアの総合化の必要性
……ほか
第7章 公的ホームと有料老人ホーム
1 高齢期を過ごすことができる住まい,施設
2 有料老人ホームの供給量の推移
3 有料老人ホームのスキーム
4 有料老人ホームの課題
第8章 高齢者住宅への対応Ⅰ:㈱福祉の街の取組み
1 全国初の在宅介護専門会社の歴史と事業概要
2 当社の取組みと課題〜高齢化問題のいくつかの視点から
3 「 地域包括ケアシステム」に向けた民間事業者としての挑戦
第9章 高齢者住宅への対応Ⅱ:㈱学研ココファンの取組み
1 サービス付き高齢者向け住宅について
2 ココファンコンセプト
3 ココファンシリーズの事例
4 今後のココファンシリーズ
第10章 「ご当地体操」による健康寿命の延伸
1 廃用症候群ってご存知ですか
2 全国に広がる“ご当地体操”運動
3 どんな体操がよいのか
4 体操により期待される身体的効果
5 経済効果 ……ほか
第Ⅲ部 超高齢社会の方向
第11章 フランスの高齢者問題
1 高齢者の生活
2 高齢者政策
3 高齢者問題の課題
第12章 高齢者医療の現状と課題
1 超高齢社会における老年医学・高齢者医療の目標
2 前期高齢者と後期高齢者の医学的特徴
3 高齢者における全人的医療の担い手としての老年科医
4 高齢者医療の特徴
5 高齢者の災害医療 ……ほか
第13章 老人保健問題の現状と今後
1 老人問題のとらえ方
2 老人保健問題の今後の方向―疾病予防と介護予防―
第14章 超高齢化問題におけるまちづくり
1 はじめに
2 超高齢社会への認識
3 高齢社会へのインフラ整備の遅れ
4 高齢社会のインフラ整備のあり方
5 高齢社会のまちづくり:千葉県柏市豊四季台周辺地域のケース
……ほか
第15章 超高齢社会における公共投資の効果
1 まえがき
2 社会資本の現状と強靱化の必要性
3 国土計画の役割
4 マクロ計量経済モデル(DEMIOS)と公共投資:“自然増収”の
役割
5 公共投資のメガ乗数効果:自然増収効果 ……ほか
終 章 超高齢社会に向けた社会設計
1 高齢化社会政策の経緯
2 高齢者政策の方向
3 おわりに
著者プロフィール
[監修者]
高橋 元(たかはし げん)
1949年 東京大学法学部政治学科卒業
1981年 大蔵省事務次官
1982年 公正取引委員会委員長
1987年 日本開発銀行総裁
1993年 財団法人資本市場振興財団理事長
2001年 同退任
[編 者]
光多長温(みつた ながはる)
1967年 東京大学経済学部経済学科卒業
1993年 日本開発銀行名古屋支店長
1995年 株式会社富士通総研常務取締役兼研究理事
1999年 鳥取大学教育地域学部教授
2001年 財団法人都市化研究公室理事長(現在に至る)
2009年 鳥取大学特任教授(同)
- 担当編集者コメント
- 「超高齢社会」とはどういう社会かというと、高齢化率(65歳以上の総人口に占める割合)が21%超の社会をいいます(高齢化率7% - 14%が高齢化社会、同14% - 21%が高齢社会)。因みに2010年9月時点で高齢化率が23.1%になった日本は、立派な「超高齢社会」です。
超高齢社会ともなると、人口分布は逆ピラミッドで、さて大変となります。その大変となる理由は、65歳以上が仕事をせずに、彼らを65歳未満で養おうと考えるからです。
チョット高齢化ではないのです。既成概念を改めて、新しい発想で立ち向かいましょう。
高齢者対策に、日本再生のカギをみつけましょう。
- 著者から
- 本来、長生きはおめでたい話であるはずですが、超高齢社会の到来において、これまでになかった新たな問題が起こりつつあることも事実です。この膨大な高齢者が幸せに過ごしているか、また、高齢者が住みやすい社会になっているのか、高齢になることが不幸になることになっていないか、そもそも超高齢社会におけるわが国社会の“カタチ”はどうあるべきかこれらを考えてみようと、本書を企画しました。
高齢社会の制度変更や各方面における取組みのスピードはますます加速していますが、その大きな方向は本書で提示したものとそう違ったものではないとの感をますます強くしています。政策は国民には分かりにくいものです。今後、例えば、北欧にように、わが国の高齢者政策の明確な“カタチ”が国民共有のものとなることを望みます。