- 本の紹介
- 労働契約法の制定で「雇用とは契約」であるという基本原則が確認された。雇用契約が契約理念により再構築される時期に、法理論と実践上の問題解決の道筋を明快に解説する。
目次
労働契約の理論と実務
目次
第1部 多様化する雇用の理論
第1章 法からみた「雇用」の意義
1 契約としての雇用
(1)雇用契約関係の原則と修正
(2)「雇われて働く」ことをめぐる法的意義と実態
(3)雇用契約の基本法理
(4)労働契約と雇用契約
(5)統一的雇用契約法の必要性
(6)労働契約法の概要
2 雇用を規律する法制度の全体像
(1)憲法秩序における雇用関係
(2)労基法等雇用関係法の体系的理
(3)判例労働契約法の役割
3 雇用関係を規律するツール
(1)労使協定
(2)労働協約
(3)就業規則
4 国際化のなかの労働契約
(1)諸外国の労働契約ルール
(2)労働契約と国際労働関係法
(3)具体的問題の解決
第2章 労働契約の法規整採用から解雇までの契約ルール
1 労働契約の基本原理と構造
(1)労働契約の意義
(2)労働契約の基本原理(労契3条)
(3)契約内容の理解促進(労契4条)
(4)労働契約から生ずる権利と義務
2 就業規則と労働契約
(1)就業規則の機能
(2)就業規則の効力
(3)就業規則と労働条件の変更
3 労働契約の成立
(1)採用の自由
(2)採用内定
(3)試用期間
(4)労働条件明示
4 労働契約の継続
(1)人 事
(2)懲 戒
5 労働契約の終了
(1)解 雇
(2)解雇以外の終了事由
第3章 労働実定法による労働契約の規整
1 労働実定法の体系
2 労基法における賃金および労働時間の規整
(1)労基法の目的・特徴
(2)賃金に関する法規整
(3)労働時間に関する法規整
3 労組法による労働契約の規整
(1)労働協約の締結
(2)労働協約の内容と効力
(3)協約自治の限界
(4)労働協約による労働条件の不利益変更
(5)労働協約の一般的拘束力
(6)労働協約の終了とその後の労働条件
4 差別禁止に関する法規整
(1)均等法
(2)労基法4条における男女賃金平等規整
(3)労基法3条における差別的取扱いの禁止
第4章 類型別にみた労働契約の法理
1 はじめに
(1)正社員と非正社員の区別
(2)本章の概要
2 有期労働契約
(1)有期労働契約に関する法規制
(2)有期労働契約の特徴
3 パートタイム労働者
(1)パートタイム労働法の枠組み
(2)パートタイム労働法による規制
(3)パートタイム労働者の労働契約の特徴
4 派遣労働者
(1)労働者派遣とは何か?
(2)労働者派遣法の概要
(3)派遣労働者の労働契約の特徴
5 正社員・非正社員間の処遇差別の問題
(1)賃金に関する「差別」
(2)賃金格差は違法になりうるのか?
(3)同一労働同一賃金原則に関する若干の検討
(4)賃金格差は是正されるべきものか?
(5)賃金差別に対する対応法的なアプローチの可能性
6 小 括
第2部 紛争時の対応と手続
第1章 各種の紛争解決手続
1 総 論
(1)個別労働紛争の増加
(2)各種紛争解決手続の整備
(3)紛争解決手続の選択のポイント
(4)紛争を減らすための仕組み
2 裁判所における手続
(1)労働審判手続
(2)民事訴訟
(3)民事保全手続
(4)少額訴訟・その他
3 行政による紛争解決手続
(1)都道府県労働局による相談・あっせん手続
(2)労働委員会による相談・あっせん手続
第2章 各種の紛争類型と対応
1 解 雇
(1)普通解雇をめぐる紛争事案
(2)整理解雇
(3)懲戒解雇
(4)雇止め
2 賃 金
(1)時間外手当請求の紛争事案
(2)退職金請求の紛争事案
(3)賞与請求の紛争事案
(4)賃金切下げによる紛争事案
3 その他
(1)配転命令による紛争事案
(2)過労死・過労自殺の労災申請および民事損害賠償請求
第3部 最新判例の動向
第1章 はじめに
第2章 就業規則
1 最新判例の動向
2 就業規則の効力発生要件
3 就業規則の不利益変更に対する裁判所の判断枠組み
第3章 賃 金
1 最新判例の動向
2 懲戒解雇と退職金の不支給
3 仮眠時間に対する賃金
4 賞与の発生時期
第4章 成果主義賃金制度
1 最新判例の動向
2 成果主義型賃金体系への変更
3 降格と賃金
4 成果主義賃金制度の運用と人事考課
5 人事考課による降級の可否
第5章 配 転
1 最新判例の動向
2 配転に対する裁判所の判断枠組み
3 配転と育児
4 配転と家族の介護
第6章 安全配慮義務
1 最新判例の動向
2 長時間労働による過労自殺
3 精神疾患に罹患した労働者に対する使用者の対応方法
第7章 セクハラ・いじめ
1 最新判例の動向
2 セクハラに対する使用者の責任
3 セクハラ事案に対する損害賠償の範囲
4 いじめによる自殺
第8章 懲 戒
1 最新判例の動向
2 私的ホームページでの会社批判と出勤停止処分
3 経歴詐称を理由とする懲戒解雇の有効性
第9章 競合会社への転職
1 最新判例の動向
2 競業避止義務と損害賠償請求
3 競業避止義務と差止請求
4 引抜きと損害賠償
第10章 解雇(普通解雇・整理解雇)
1 最新判例の動向
2 普通解雇に対する裁判所の判断
3 整理解雇に対する裁判所の判断枠組み
4 整理解雇法理の適用および「整理解雇の4要件」の
主張・立証責任
事項索引
判例索引
著者プロフィール
〈編者紹介〉
野川 忍(のがわ・しのぶ)
現職:東京学芸大学教授(平成21年4月1日より明治大学大学院法務研究科教授)
東京大学法学部卒業,東京大学大学院法学政治学研究科修了
著書:
『外国人労働者法』(信山社・1993年),
『雇用社会の道しるべ』(信山社・1999年),
『実践・変化する雇用社会と法』(共著・有斐閣・2006年),
『わかりやすい労働契約法』(商事法務・2007年),
『労働法』(商事法務,2007年)
山川 隆一(やまかわ・りゅういち)
現職:慶應義塾大学大学院法務研究科教授
東京大学法学部卒業,ワシントン大学ロー・スクール修士課程修了(LL.M.)
博士(法学)
著書:
『国際労働関係の法理』(信山社・1999年),
『労働審判制度(第2版)』(共著・弘文堂・2007年),
『雇用関係法(第4版)』(新世社・2008年),
『労働契約法入門』(日本経済新聞出版社・2008年),
『詳説労働契約法』(共著・弘文堂・2008年)