会社法の解明

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稲葉 威雄

定価(紙 版):7,150円(税込)

発行日:2010/12/21
A5判 / 800頁
ISBN:978-4-502-99780-8

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本の紹介
かつて商法改正の立案担当者として、長年にわたり理念と現実の相克を経験した著者が、現行会社法の成立経過と構成、内容について条文に則し克明に検討。会社法制の問題点を分析した渾身の大作。

目次


会社法の解明
目次

序章 会社法解明のための分析―論点の交錯
  一 会社法の問題点
  二 分かりやすさの要請
  三 根源を踏まえたルール設定の要請
  四 総論と各論との交錯・関連

第1章 会社法の理念と体系―現代化
 Ⅰ 現代化の意味
  一 社会生活を規律する道具としての会社法
  二 法の体系化と理念の整理
  三 規制緩和の意味
 Ⅱ 会社法における制度・条文の整理
  一 会社制度の構成
  二 会社法の条文整理の特色
  三 便宜主義への傾斜とリアリズムの欠如

第2章 会社法と関係政省令
 Ⅰ 会社法の編別(整理と配列)
  一 会社法の編成
  二 1編総則と2編株式会社の編別
  三 3編持分会社という編別
  四 4編社債の編別
  五 5編という編別
  六 6編外国会社・7編雑則・8編罰則の編別
  七 総括―会社の種類の意味
 Ⅱ 会社法と関係政省令
  一 会社法施行令
  二 関係法務省令の根拠
  三 法務省令への委任
  四 法務省令制定の委任に関する検討
  五 省令制定の手続

第3章  法律(条文)としての分かりやすさ・分かりにくさ
 Ⅰ 条文の内容
  一 分かりにくさの根源
  二 対応ニーズの不明確
  三 平仄(バランス)の問題
  四 合理性・論理性(説明論理)の不在
  五 定めの過剰と不足
  六 法制の不連続
 Ⅱ 条文の表現・文言
  一 その分かりにくさ
  二 定義(用語)の分かりにくさ

第4章 会社法制の整理・会社総則
 Ⅰ 会社法制の意義
 Ⅱ 会社法1編総則の整理
  一 会社法と商法との関係
  二 定義規定(2条)
  三 社団性・営利性
  四 商行為と商人性
  五 会社法の規定と商法総則規定との異同
 Ⅲ 株式会社への有限会社の統合
  一 その意味
  二 株式会社の特質
  三 有限会社を統合した株式会社法制のあり方
 Ⅳ 持分会社という区分
  一 持分会社とされる会社の種類
  二 合同会社
  三 持分会社という整理
 Ⅴ 持分会社法制
  一 設立の定め
  二 社員
  三 管理
  四 社員の加入及び退社
  五 計算等
  六 定款変更
  七 合同会社における社員有限責任

第5章 株式会社法制の整理
 Ⅰ 株式会社の実態と特質
  一 株式会社の特質に関する整理
  二 株主の有限責任のための条件
  三 株式の自由譲渡性(投下資金の回収)
  四 所有と経営の分離
 Ⅱ 株式会社の類型化の問題点
  一 典型と標準型
  二 会社法制定前と会社法の考え方
  三 会社法の定義による株式会社の類型化
 Ⅲ 株主の地位に関する整理
 Ⅳ 株式会社に関する各制度の意味と本書での扱い
  一 主な対象
  二 株式会社の設立

第6章 株主有限責任を支えるもの
 Ⅰ 問題の所在
  一 有限責任の機能および株主の権能・負担の均衡
  二 社員無限責任の会社の場合
  三 社員有限責任の会社の場合―その効果と責任(負担)
  四 所有と経営の分離
 Ⅱ 自己資本の確保
  一 資本金の意味―自己資本確保の中核
  二 会社法における資本金に関する処理の論点
  三 剰余金払戻規制
  四 剰余金の配当等の決定
  五 剰余金払戻規制違反
 Ⅲ 計算の適正とその開示
 Ⅳ 企業統治体制の確立
 Ⅴ 合同会社

第7章 株式・株主
 Ⅰ 株式と株主
  一 株式の帰属者としての株主―株式会社の基本要素
  二 会社の利益と株主の利益
 Ⅱ 会社法における株主平等原則
  一 会社法制定前の基本的な考え方と会社法
  二  会社法109条がもつ意味―平等原則の意味をどう把握するか
  三 種類株式と株式の単位
  四 株主平等と関連するいくつかの問題
  五 株主平等原則の意味づけ
 Ⅲ 株主の権利行使
  一 共有株式
  二 基準日後に株式を取得した者の議決権
  三 株主名簿への記載
  四 単元株式
  五 株主の株式買取請求権
  六 社債等振替法における少数株主権等の行使
 Ⅳ 株式の譲渡等
  一 株式の譲渡制限の意義等
  二 株式譲渡制限の範囲と承認の方法
  三 株式譲渡制限の代償
  四 自己株式の取得
  五 子会社による親会社株式の取得制限
 Ⅴ 募集株式の発行等
  一 募集
  二 新株発行に関する責任

第8章 新株予約権
 Ⅰ 新株予約権の肥大化と整理の欠如
  一 新株予約権の本質
  二 新株予約権の価値算定
  三 新株予約権の一般化
 Ⅱ 新株予約権制度の構造
  一  新株予約権の発行
  二 行使の際の出資
  三 新株予約権原簿・譲渡等
  四 新株予約権と株主平等―企業買収防衛策との関係

第9章 株式会社の機関
 Ⅰ 株主総会・種類株主総会
  一 権限
  二 招集
  三 招集通知
  四 参考書類の交付と書面または電磁的方法による議決権行使
  五 提案権
  六 総会検査役
  七 株式相互保有規制
  八 決議の定足数・要件
  九 議決権の不統一行使
  十 説明義務・議長
  一一  資料または会社の業務および財産の状況の調査・総会の
       延期または続行
  一二 議事録等
  一三 種類株主総会
 Ⅱ 役員等の選任・解任
  一 補欠役員の選任
  二 取締役等の資格等
  三 取締役等の任期
  四 会社役員の解任
  五 監査役・会計参与・会計監査人の独立性保障
  六 役員等欠員の場合
 Ⅲ 取締役・取締役会
  一 取締役
  二 取締役会
 Ⅳ 会計参与
  一 会計参与の意味
  二 会計参与の権限等
  三  会計参与報告・会計参与による会計書類等の開示(備置き等)
 Ⅴ 監査役・監査役会
  一 監査報告
  二 監査役の権限・義務
  三 監査役会
 Ⅵ 会計監査人
 Ⅶ 委員会・執行役
  一 委員会設置会社
  二 取締役会(取締役)・委員会(委員)・執行役
 Ⅷ 役員等の責任
  一 会社に対する責任(423条等)
  二 第三者に対する責任(429条)
  三 会計監査人の責任
  四 責任免除(限定)
  五 責任追及の方法
  六 会社による責任追及
  七 株主代表訴訟

第10章 会社の計算等
 Ⅰ 総説
  一 会社の計算と会計
  二 会社法における計算規定の整理―会社の種類との関係
  三 株式会社における計算
 Ⅱ 株式会社の計算に関する規定
  一 会計に関する原則規定
  二 会計帳簿
  三 計算書類等
  四 資本金の額等・剰余金の配当等
 Ⅲ 持分会社の計算
 Ⅳ 法務省令(計算規則)への委任
  一 会社法と会社計算規則
  二 計算規則中1編から3編までの定め
  三 計算関係書類の監査
  四 計算書類等の株主への提供・承認の特則に関する要件
  五 計算規則6編から8編までの定め

第11章 株式会社の情報開示
 Ⅰ 株式会社の情報開示の意味と方法
  一 情報開示の意味
  二 開示の相手と方法
 Ⅱ 情報開示の体系と内容
  一 開示の目的と体系
  二 公衆に対する開示
  三 会社の利害関係者に対する開示
  四 開示の後退・不明確化
  五 株式会社の類型と情報開示―取締役会非設置会社
  六 定款等の開示―親会社社員への開示
  七 株主名簿等の開示
  八 総会議事録等の開示
  九 取締役会議事録等の開示
  十 計算関係書類・会計帳簿等の開示
  一一 その他の開示
 Ⅲ 総会参考書類による開示
  一 総会参考書類の意味
  二 参考書類記載事項(参考事項)
 Ⅳ 事業報告およびその監査報告
  一 事業報告―会社の年次報告
  二 事業報告の監査
  三 事業報告の内容
  四 監査報告による情報開示
  五 事業報告等の株主への提供

第12章 社債・組織再編等・雑則等
 Ⅰ 外国会社・罰則
  一 外国会社
  二 罰則
 Ⅱ 社債
  一 社債法制について会社法で定める意味
  二 会社法の定め
 Ⅲ 組織再編等
  一 総説
  二 持分会社の扱い
  三 組織再編行為の実体規定
  四 組織再編の手続
  五 組織再編手続における情報開示
 Ⅳ 雑則
  一 総説
  二 訴訟
  三 非訟(7編3章)
  四 登記(7編4章)
  五 公告(7編5章)

終章 会社法が残した課題
 Ⅰ 会社法の枠組み
 Ⅱ 公開会社法制
  一 会社法と金融商品取引法
  二 会社法と金融商品取引法との調整
  三 支配株主の移動(企業買収)・公開買付け等
 Ⅲ 企業結合法制
 Ⅳ 会社法における規律確保

 条文索引
  会社法索引
  会社法施行規則索引
  会社計算規則索引


著者プロフィール 稲葉 威雄(いなば・たけお)
昭和13年(1938年)生まれ
京都大学法学部卒業
弁護士
法務省大臣官房審議官,広島高等裁判所長官,早稲田大学大学院法務研究科教授等を歴任。

〔主要著作〕
『改正会社法』(1982年,金融財政事情研究会)
『会社法の基本を問う』(2006年,中央経済社)
「会社法の論点解明(1)〜(11)」民事法情報245号〜257号(2007年・2008年)






















著者紹介

稲葉 威雄(いなば たけお)

担当編集者コメント
長きにわたり立法実務に携わり、会社法の理論・実務を検討しつくした著者による大作。粘り強い思索をバックボーンとする鋭い指摘は、他では期待できない。