- 本の紹介
- 中小企業金融における会計の役割について、金融政策における位置づけと歴史的な経緯を示したうえで、融資(貸出)、決算書の信頼性および経営改善の視点から体系的に検討。
- 担当編集者コメント
- 本書は、2015-2016年の中小企業会計学会・課題別委員会の成果をさらにブラッシュアップして出版したものです。
本書の構成は、次のとおり。
序 章 中小企業金融における会計の役割
第Ⅰ部 中小企業金融における会計の位置づけ
第1章 会計情報の役割
第2章 金融政策における会計の位置づけ
第Ⅱ部 中小企業金融における融資(貸出)
第3章 金融検査マニュアルと金融機関の自己査定
第4章 金融機関の貸出審査
第5章 経営者保証に関するガイドライン
第6章 事業性評価
第Ⅲ部 中小企業金融における決算書の信頼性
第7章 中小企業会計基準
第8章 会計システム
第9章 税理士の役割
第10章 決算書の信頼性
第Ⅳ部 中小企業金融における経営改善
第11章 経営改善計画
第12章 モニタリング
各章の内容を掘り下げている点はもちろんのこと、序章にて各論点を「中小企業金融」という視点から体系的に整理・提示している点に大きな意義があるように思います。
また、第3章・第4章では、金融機関で実際に使用されている書面のサンプル(信用格付表、修正財務確認表、定性情報一覧表etc)を掲載しており、中小企業のサポート役である税理士・公認会計士の方々には必見です。
さらに、巻末資料で中小会計要領にもとづき作成された決算書および法人税申告書サンプルを掲載しています。中小企業にはまともな決算書など存在しないのではないかという認識の方々も多い中、この水準までのものを作成していることを示す貴重な資料になっています。
中小企業金融と会計の関係性については、その重要性は認識されているものの、実務的なアプローチのものがほとんどであり、十分な研究の蓄積がなされていません。
本書は先駆的なものとなっており、ここからさらに研究がすすんで、日本企業の99%以上を占める中小企業の活性化につながればと思っています。