現地法人社長・財務責任者が知っておきたい海外で銀行を使いこなす技術
- 本の紹介
- 銀行員として中国で働いた後、メーカーの中国法人経理担当副社長として活躍した著者が海外進出した日本企業の財務責任者や現地トップが気をつけたいポイントを整理して解説。
目次
現地法人社長・財務責任者が知っておきたい
海外で銀行を使いこなす技術
目次
はじめに
第1章 基本的考え方
1 日本以上に海外では銀行との付き合いが大事
2 1行取引は危険,複数行取引が基本
3 邦銀と地場銀行の強み・弱み
4 海外でのメインバンクは邦銀が望ましい
5 人間関係・信頼関係の構築
6 優秀な通訳を介した地場銀行とのコミュニケーション
7 借入枠は設定しても極力借入しなくてすむように利益を出す
8 銀行借入以外にもこれだけある資金調達手段(平時)
9 銀行借入以外にもこれだけある資金調達手段(非常時)
第2章 経営分析で経営課題を見つけ体質を強化する
1 まず4期分の決算書を読み込む
2 4期分の比較貸借対照表と比較損益計算書を作る
3 銀行が重視する現在の支払能力(貸借対照表の分析)
4 銀行が重視する将来の支払能力(収益性)
5 効率性・生産性・成長性に関する経営指標
第3章 運転資金を理解しよう
1 過大な投資と過大な運転資金が黒字倒産の2大元凶
2 運転資金を理解して資金について銀行員と語ろう
3 掛売りより現金売りのほうが運転資金は小さい
4 売上が伸びると運転資金が増える傾向がある
5 自社の過去3年間の運転資金回転期間を計算し,診断してみよう
6 月次業績管理に運転資金関連の指標を取り入れよう
7 CCCを経営のモノサシとして使いこなす
8 米国アップル社のCCCはマイナス20日
第4章 借入条件の基本を学ぼう
1 借入の形態
2 借入枠と通貨(Facility amount and Currency)
3 資金使途(Purpose of the loan)
4 期間(Period, Loan period)
5 金利(Interest rate)―市場金利のドルと円
6 金利(Interest rate)―規制金利の人民元
7 返済方法(Repayment)
8 保証担保(Guarantee/security)
9 財務制限条項(Covenant)
第5章 銀行にとっておいしい取引
1 1行取引
2 預金貸金両建て取引
3 流動性預金
4 デリバティブ商品
5 人民元融資
6 決済業務はおいしい
7 地場銀行にとっては給与振込業務がおいしい
第6章 為替リスク対策の基本
1 為替リスクとは
2 知識と意識
3 まず外貨建資産・負債を圧縮せよ,次はリーズ・アンド・ラグズ
4 通貨マリー
5 為替予約
6 為替予約制度がない新興国ではどうするか
第7章 各国の銀行取引・為替・財務全般の留意点
1 中国で会社設立・増資時「総投資額」を最大で申請しよう
2 インドではECB規制とSick Company法に注意
3 タイで新会社を立ち上げた元銀行員Kさんのアドバイス
4 ベトナムでは為替と資金調達に留意せよ
5 インドネシアでは為替リスク対策と税務監査に留意しよう
第8章 海外進出企業からよく受ける質問
Q1 地銀,信金と取引しているが,中国進出検討にあたり銀行取引
はどうすれば良いか
Q2 海外現地法人を設立する場合の資本金と借入(親子ローン等)の
考え方を教えて下さい
Q3 現地での銀行借入と親子ローンのメリットとデメリットを教えて
下さい
Q4 現地通貨での借入と外貨借入のメリットとデメリットを教えて
下さい
Q5 親会社との間の取引の決済通貨の考え方を教えて下さい
Q6 海外現地法人から日本の親会社への資金還流方法について
教えて下さい
Q7 赤字が続いている海外子会社を支援するために商品の
価格調整等を行いたいのですが
参考文献
索 引
著者プロフィール
深川 忠志(ふかがわ ただし)
深川国際経営事務所 所長
1976年九州大学工学部情報工学科卒業。
外資系コンピュータメーカー,コンサルタント会社(台湾。3年駐在)を経て1987年三井銀行(現・三井住友銀行)入行。
海外進出コンサルティング,M&A,法人営業,北京駐在後企業情報部(関西)部長,業務監査部上席考査役を歴任。
2004年5月㈱ジーエス・ユアサコーポレーション出向,10月より湯浅蓄電池(順徳)有限公司,広東湯浅蓄電池有限公司2社の副総経理,2009年4月湯浅(天津)実業有限公司副総経理。
2010年5月㈱ジーエス・ユアサコーポレーション監査室部長として海外拠点監査を担当。
2013年8月末退職。2014年3月深川国際経営事務所を開業,現在に至る。
経営コンサルタントとして台湾に3年,銀行員として中国に2年,メーカーの副社長として中国に5年半,通算10年半中国語圏に駐在。中国語と中国の実務に精通。二十数ヵ国に出張。
著書:
『日本的「M&A」実践講座』(共著,講談社,1990年)