知的資本の会計学―コア・コンテンツ会計と現代ビジネス
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- 現代ビジネスでは、情報の流れを通しておカネの流れを読み取ることが重要となる。このビジネスを動かす核となる情報の中身がコア・コンテンツであり、会計の視点から論究する。
目次
知的資本の会計学
―コア・コンテンツ会計と現代ビジネス
目次
はじめに
複式簿記と財務諸表の関係
プロローグ
本書の狙い
コンテンツの重要性
多様化するステークホルダー
会計の役割
会計の学び方
記録と報告をつなぐ残高試算表
残された課題
第1章 企業会計を再考する
1 複式簿記の話
‘Going Concern’になるコツ
コンテンツの会計
裏方としての会計
実務か理論か
5つの色 ……ほか
2 損益計算書の役割
努力と成果
損益系列の勘定の特徴
収益と費用
複式簿記のエレガンス
3 資本とは何か
資本勘定の登場
資本勘定の勘定としての特殊性
損益勘定と資本金勘定の関係
アイデアだけで企業を設立!?
管理能力(執行権)と統治能力(支配権) ……ほか
4 裏方が表に出る時代
自主管理の原則
市場経済における企業会計の役割
企業会計の歴史
日本の企業会計の現状
会計理論の役割 ……ほか
第2章 「記録と報告の統合システム」としての会計
1 会計における「記録」の意味
会計の定義
会計の問題領域
内部/外部とその間の境界膜
財務報告と証券情報
相互牽制のための報告制度 ……ほか
2 会計における「報告」の意味
ステークホルダーたちへの報告の制度化
能力評価に関する外部報告制度
自主的な報告制度の問題点
第3章 経営者能力の評価と3つのサイクル
1 キャッシュ・サイクルと現金主義
記録と報告の間の視点のゆらぎ
キャッシュ・サイクル
経過報告の位置づけ
2 マテリアル・サイクルと発生主義
マテリアル・サイクルと財・サービスの提供
マテリアル・サイクルと期間損益計算
3 インフォメーション・サイクルと情報アクセス主義
情報アクセスの管理
3つの接点
インフォメーション・サイクルとネットワークの構築
未来志向のバランスシート
4 「記録」と「報告」の新たなる統合
共通の利害
環境問題と共通の利害
グリーンな意思決定の連鎖
社会的不祥事への対応
第4章 会計の基礎的前提
1 継続企業の考え方
設計変更の見取り図
継続企業の考え方と企業の存続リスク
事業の継続を前提にしたやり直し
2 ビジネスナビの必要性
ビジネスナビの可能性
3 リセットという考え方
階層構造的なモジュール思考によるシステム設計
4 企業システムへの応用
リセット会計の考え方
第5章 貨幣的測定の意味
1 知的資産と貨幣的測定
合鴨農法の話
知識資本主義時代の資本維持
2 会計における貨幣的測定の公準
原単位と評価係数
会計における貨幣的測定の意味
3 二種類の機能通貨
価格戦略の意味内容
4 現場主義の会計
2つの現場
コア・コンテンツ経営の概念
5 原価主義の見直し
資本取引と損益取引
リセット会計と追跡可能性
リセット会計におれる原価データの引き継ぎ
アカウンタビリティと歴史的原価主義
「意図」と「現実」の食い違い ……ほか
第6章 企業実体の構造
1 企業における経営執行権と経営支配権
「企業実体」の考え方
企業組織の「内部」と「外部」
企業実体とは?
「企業実体」の多様な姿
2 資産と持分の対応関係
情報ネットワークによる管理
顧客持分という考え方
事業用資産の評価問題
3 ネットワーク資産としてのブランド
ブランド資産の構築
第7章 モジュール思考と会計システムの再設計
1 企業会計のバージョンアップの必要性
企業会計のIT 化と「複式簿記」
企業組織の成長を支える企業会計
2 アカウンタビリティからトレーサビリティへ
記録に基づく報告の信頼性
アカウンタビリティに基づく外部報告の限界
トレーサビリティ・システム導入のメリット
3 モジュール化のパワー
「モジュール」とは?
企業会計の設計図
財務報告の5つの構成要素
支配力モジュール
負債モジュール ……ほか
第8章 知識資本主義時代の会計
1 知的資本維持に基づくモジュールの再統合
企業会計の「変えるべきではない部分」
企業会計の「変えるべき部分」
2 市場取引のリスクと会計情報
会計記録としてのトレーサビリティの仕組み
実現原則の取扱い
市場取引に関わる金融的なリスク
3 コア・コンテンツの経営と会計
名目貨幣資本維持とファンドの動き
R&D と顧客関係資産
知的資本維持の考え方
根源的な無形資産としてのコア・コンテンツ
ブランド資産と顧客持分 ……ほか
4 コア・コンテンツの周辺にある事業用知的資産
ソリューション・タイプの事業用知的資産
ニーズ・タイプの知的資産
SIとNIの対応のズレ
減価償却の意味
顧客関係資産固有の問題点
5 金融商品に関わる知的資産
残高試算表?の意味
エピローグ
資本維持の概念を再考する
知識時代のリセット会計
あとがき
著者プロフィール
大 野 俊 雄(おおの としお)
1946年生まれ
一橋大学経済学部卒業,神戸大学大学院経営学研究科(博士課程)修了
現在,神戸学院大学経営学部教授(社会環境会計・財務会計論担当)
著書:
『会計と情報処理』(日本評論社,1991年)
その他,共著及び論文多数