日本・税務会計形成史―法人税・企業会計・商法の関連性
- 本の紹介
- 法人税創設から現在まで、強い発言力を持つメインプレイヤーの考え方を基に形成の軌跡を解明。企業会計・商法とも密接に関連することからこれらの研究にも有益である。
目次
日本・税務会計形成史
―法人税・企業会計・商法の関連性
目次
第1章 分析視角
1 時代区分に基づく分析方法
2 歴代内閣と税務関連事象一覧
3 人的側面からの分析
4 国税関係者
5 資料分析のルール
第2章 戦後混乱期の税制~財産税・富裕税~
1 問題の所在
2 財産税等が再度注目される理由
3 相続税を取り巻く状況
4 財産に課される税の概要
5 財産税導入の背景
6 財産税の概要とその影響
7 富裕税概説
8 欧州富裕税の特徴
9 税制調査会における検討
10 シャウプ税制からの教訓
11 租税政策としての富裕税
12 1988年OECDによる個人の富裕税等に係る報告書
13 欧州における富裕税の概観
14 日本における富裕税導入に対する課題
(資料)各国の富裕税の導入状況
第3章 企業会計論前史
1 本章の対象となる時期
2 第1期において検討対象となる事項
3 創設所得税法と創設法人税の関連
4 法人税の導入が遅れた理由
5 創設法人税はどの国の法人税の影響を受けたのか
6 商法の影響
7 総益金,総損金の由来
8 総益金,総損金に基づく所得計算
9 創設法人税以降の分析視角
第4章 米英における税法と企業会計の関連
1 米国における税法と企業会計の関連
2 英国における税法と企業会計の関連
3 小 括
第5章 賦課課税制度時代の法人税法と企業会計の関連
1 第1期の特徴
2 所得税法の規定
3 商法の影響
4 賦課課税制度
第6章 シャウプ勧告における法人税法と企業会計の関連
1 第2次世界大戦後の税制改正
2 賦課課税制度
3 1945年の「法人各税の取扱い」
4 申告納税制度の導入
5 賦課課税制度から申告納税制度への移行
6 シャウプ勧告に対する評価
第7章 「税法と企業会計原則との調整に関する意見書」
1 「税法と企業会計原則との調整に関する意見書」の背景
2 企業会計原則の制定
3 「商法と企業会計原則との調整に関する意見書」
4 第1次調整意見書
5 第1次調整意見書を巡る忠・黒澤論争
第8章 1965(昭和40)年法人税法全文改正
1 関連事項の年表
2 第1次調整意見書
3 税制調査会の動向
第9章 企業会計,商法の動向
1 1966(昭和41)年「税法と企業会計との調整に関する意見書」
2 商法改正の動向
第10章 1967(昭和42)年「公正処理基準」創設
1 斟酌規定及び公正処理基準の意義
2 1967(昭和42)年「公正処理基準」創設までの経緯
3 1966年12月の税制簡素化についての第1次答申
4 公正処理基準までの変遷
5 公正処理基準の解釈
第11章 会計基準の創設と税効果会計の導入
1 1962年以降2018年までの時代区分
2 1962年以降2018年までの分析視角
3 企業会計審議会から企業会計基準委員会へ
4 会計基準等と法人税法改正との関連
5 会計ビッグバン
6 国際会計基準の動向
7 米国における税効果会計の出現
8 引当金を巡る法人税法・企業会計・商法の動向
9 2001年商法改正に伴う税制改正
10 1996年度税制改正によるストックオプション税制の創設
11 自己株式の取得・保有等の規制緩和に係る税務
12 法定準備金制度の緩和に係る税務
第12章 2018(平成30)年法人税法第22条の2の創設
1 国際会計基準の動向
2 法人税法と企業会計との関連
3 29号基準の位置づけ
4 22条の2の解釈
5 実現主義の背景
6 29号基準の5つのステップ
7 国税庁の「収益認識に関する会計基準」への対応について
8 収益の額として益金の額に算入する金額
9 収益の額を益金の額に算入する時期
10 公正処理基準と別段の定めとの関係
第13章 連結納税制度の創設
1 連結財務諸表と連結納税制度
2 連結納税制度導入の背景
3 2002年連結納税制度導入までの経緯
4 連結納税制度の実施状況
5 連結納税制度の諸外国における類型
6 連結納税制度の長所と短所
7 連結納税制度と連結財務諸表との類似点と相違点
8 日本型連結納税制度の特徴
9 連結納税制度における個別問題
10 連結納税制度導入後の変遷
著者プロフィール
矢内 一好
- 担当編集者コメント
- 本書は、日本の税務会計に関連する事項を基準に時代を区分して、それぞれの時代の事象を検討することで、最終的には、現在における法人税法と企業会計等の関係を分析することを目的としています。
そのために、これまでの税務会計の沿革を次のように区分して、その時代のメインプレイヤー(その分野における強い発言力を持つ者。国税関係者、会計専門家、税法研究者、税制調査会、GHQなど)とその考え方を膨大な資料に基づき明らかにしています。
(1)第1期(所得税創設から第二次世界大戦終戦まで)
(2)第2期(終戦からシャウプ勧告後)
(3)第3期(法人税の全文改正前後)
(4)第4期(平成における改正動向)
本研究は、法人税の基礎研究に大きく寄与するのみならず、実務家にとっても問題に直面した際に現在の規定はどのような変遷を経たものであるかを知ることができる貴重な文献といえるでしょう。まさに研究・実務に活きる歴史を解明したものです。また、企業会計・商法の研究に対しても深い関連性のあるだけに、両分野の研究の発展にも貢献するものといえます。
<目次>
第1章 分析視角
第2章 戦後混乱期の税制~財産税・富裕税~
第3章 企業会計論前史
第4章 米英における税法と企業会計の関連
第5章 賦課課税制度時代の法人税法と企業会計の関連
第6章 シャウプ勧告における法人税法と企業会計の関連
第7章 「税法と企業会計原則との調整に関する意見書」
第8章 1965(昭和40)年法人税法全文改正
第9章 企業会計、商法の動向
第10章 1962(昭和42)年「公正処理基準」創設
第11章 会計基準の創設と税効果会計の導入
第12章 2018(平成30)年法人税法第22条の2の創設
第13章 連結納税制度の創設
なお、昨年9月に刊行した『日本・国際税務発展史』もあわせてご覧ください!
https://www.biz-book.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%BB%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%A8%8E%E5%8B%99%E7%99%BA%E5%B1%95%E5%8F%B2/isbn/978-4-502-27991-1