プログレッシブ税務会計論Ⅳ―会計処理要件(経理要件・帳簿要件)
- 本の紹介
- 租税法の課税要件において、経理要件や帳簿要件を採用するのはなぜか? 会計処理要件の意味と重要性をひもとく。知識の整理、体系的な理解に役立つ最良のテキスト。
目次
プログレッシブ税務会計論Ⅳ
─会計処理要件(経理要件・帳簿要件)─
目次
序 章 損金経理
1 損金経理とは
2 損金経理を要求する事項
3 損金経理要件の部分的崩壊
4 近時の論点
第1部 損金経理要件
第1章 損金経理要件の意義
1 はじめに
2 損金経理要件概論
1 外 観
2 損金経理要件が問題となる場面
3 確定申告の法的性質論
1 意思表示説と通知行為説
2 損金経理要件と意思表示説
4 損金経理要件の弾力的運用
1 損金経理要件と確定決算主義
2 損金経理要件の弾力的対応
5 小 括
第2章 通達上の損金経理の要請
1 はじめに
2 問題関心
1 法人税基本通達9-2-28
2 素材とする事案(退職慰労金事件)…他
3 公正処理基準に影響を与える通達の外部性
1 通達の外部効果─逆基準性
2 企業会計準拠主義・三層構造 …他
4 租税法律主義と損金経理要件を求める通達
1 損金経理要件自体を通達が求めることの問題
2 他の領域における類似事例 …他
5 通達による損金経理の要請と公正処理基準形成の可能性
1 法人税法22条4項の文理解釈
2 租税法律主義と手続的保障
6 小 括
第3章 収益認識基準の影響
1 はじめに
2 債務発生の合理的見積り
1 引当金計上に対する制限的規範たる債務確定基準
2 資産除去債務に関する租税法の態度
3 租税法上の「確定」概念
1 「確定」概念に頼る法的構造
2 債務確定基準と権利確定主義にみる「確定」…他
4 ポイント引当金と収益認識基準
1 収益認識基準が法人税法に及ぼした影響
2 キャッシュバック等の処理 …他
5 小 括
第4章 損金経理要件と株式評価
1 はじめに
2 議論の前提と問題関心
1 相続税法上における「時価」
2 問題関心 77
3 財産評価に影響を及ぼすべきすべての事情
1 取引相場のない株式評価と相続税法14条
2 類似事例の検討
4 客観的交換価値
1 具体的な価格決定方法
2 想定し得る個別事情の評価への影響
5 小 括
第2部 帳簿要件[記帳・保存]
第5章 損金経理要件と正規の簿記の原則
1 はじめに
2 素材とする事案
1 事案の概要
2 争 点 …他
3 判決の要旨
1 長崎地裁平成12年1月25日判決
2 福岡高裁平成12年12月15日判決
4 検 討
1 重要性の原則と公正処理基準
2 重要性の原則について論じられた事例 …他
5 小 括
1 法人税法内における重要性の原則の射程
2 問題の本質
第6章 総額主義による記帳
1 はじめに
2 素材とする事案
1 事案の概要
2 事実関係 …他
3 判決の要旨
4 検 討
1 検討の対象(争点1について)
2 会計学上の総額主義 …他
5 小括─実態に応じた契約解釈
第7章 法人税法上の「帳簿書類」と消費税法上の「帳簿」
1 はじめに
2 法人税法上の「帳簿書類」
1 青色申告制度における「帳簿書類」
2 青色申告制度にみる「保存」 …他
3 消費税法上の「帳簿」
1 消費税法30条8項
2 東京地裁平成9年8月28日判決 …他
4 小さく生んで大きく育てる式の消費税法
1 日本版インボイス方式
2 所得課税法をベースにした日本版インボイス方式
5 小括─所得課税の課税資料に基づく消費税課税
第8章 電子帳簿保存法の「明瞭性」
1 はじめに
2 電子帳簿保存法上の「国税関係帳簿書類」
3 e-文書法
4 要請される明瞭性
1 3つの明瞭性
2 目的論的解釈の視角 …他
5 小 括
第9章 青色申告制度のあり方
1 はじめに
2 青色申告制度の概要
1 概 要
2 青色申告の承認 …他
3 積極的不記帳者
4 帳簿なければ経費の証明なし
1 申告納税制度における帳簿提示の意義
2 消費税法における帳簿提示問題
5 一般に公正妥当と認められる会計処理の基準
1 企業会計準拠主義
2 営業所得と人的役務提供所得
6 青色申告制度廃止論
7 小 括
第10章 帳簿不備と重加算税
1 はじめに
2 問題点の所在
1 記帳義務等の遵守と不遵守との比較考量
2 国税通則法68条の「基づき」 …他
3 2つの最高裁判決
1 最高裁平成6年11月22日第三小法廷判決
2 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決
4 解釈論上の試行錯誤
1 総合関係説の検討
2 納税者の「故意」論に対する疑問
5 主観的要素による構成の限界
1 確定的な意図
2 多額の脱漏を前提とした故意認定 …他
6 主観的要素による構成の問題点
1 文理解釈上の不安
2 文理解釈との整合性 …他
7 小 括
著者プロフィール
酒井 克彦(さかい かつひこ)
1963年2月東京都生まれ。中央大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士(中央大学)。中央大学法科大学院教授。㈳アコード租税総合研究所(At-I)所長。㈳ファルクラム代表理事。
著書に,『レクチャー租税法解釈入門』(弘文堂・2015年),『租税正義と国税通則法総則』(信山社・2018年〔共編〕),『キャッチアップ デジタル情報社会の税務』(2020年〔編著〕),『キャッチアップ保険の税務』(2019年〔編著〕),『キャッチアップ外国人労働者の税務』(2019年〔編著〕),『キャッチアップ改正相続法と税務』(2019年〔編著〕),『キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2018年〔編著〕),『新しい加算税の実務』(2016年〔編著〕),『附帯税の理論と実務』(2010年)(以上,ぎょうせい),『通達のチェックポイント─相続税裁判事例精選20─』(2019年〔編著〕),『同─所得税裁判事例精選20─』(2018年〔編著〕),『同─法人税裁判事例精選20─』(2017年〔編著〕),『アクセス税務通達の読み方』(2016年)(以上,第一法規),『「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈』(2015年),『「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈』(2013年)(以上,清文社),『スタートアップ租税法〔第₄版〕』(2020年),『ステップアップ租税法の概念論』(2020年),『ステップアップ租税法と私法』(2019年),『クローズアップ事業承継税制』(2019年〔編著〕),『クローズアップ保険税務』(2017年〔編著〕),『クローズアップ租税行政法〔第2版〕』(2016年),『クローズアップ課税要件事実論〔第4版改訂増補版〕』(2017年),『所得税法の論点研究』(2011年),『ブラッシュアップ租税法』(2011年),『ステップアップ租税法』(2010年),『フォローアップ租税法』(2010年)(以上,財経詳報社),『裁判例からみる税務調査』(2020年),『裁判例からみる法人税法〔3訂版〕』(2019年),『裁判例からみる所得税法』(2016年),『裁判例からみる相続税・贈与税〔3訂版〕』(2013年〔共著〕),『行政事件訴訟法と租税争訟』(2010年)(以上,大蔵財務協会),『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕』(2018年),『プログレッシブ税務会計論Ⅱ〔第2版〕』(2018年),『プログレッシブ税務会計論Ⅲ』(2019年)(以上,中央経済社)などがある。その他,論文多
数。
HP「㈳アコード租税総合研究所」(http://accordtax.net/),「㈳ファルクラム」(http://fulcrumtax.
net/)