日本のコレクティブ・インパクト―協働から次のステップへ

佐々木 利廣 編著
横山 恵子 編著
後藤 祐一 編著

定価(紙 版):3,300円(税込)

発行日:2022/01/25
A5判 / 276頁
ISBN:978-4-502-39721-9

送料について
本の紹介
企業、NPO、行政が協力して社会課題に取り組む「協働」の次の形態として注目を浴びる「コレクティブ・インパクト」を日本独自の事例を用いながら解説する。

目次

はしがき

第1章 コレクティブ・インパクトへの注目
 1 社会課題の解決とコレクティブ・インパクト  
 2 コレクティブ・インパクトの代表的ケース  
 3 米国でのコレクティブ・インパクトの広がり  
 4 米国でのコレクティブ・インパクトの評価と進化  
 5 おわりに  

第2章 コレクティブ・インパクトの成立と進化
 1 はじめに  
 2 コレクティブ・インパクトとは何か  
 3 コレクティブ・インパクトに関する議論の発展  
 4 おわりに  

第3章 日本でのコレクティブ・インパクトの普及定着に向けて
 1 はじめに  
 2 日本でのコレクティブ・インパクト推進論と消極論  
 3 コレクティブ・インパクト普及定着の罠  
 4 日本における萌芽的コレクティブ・インパクト  
Column ① 企業側からのコレクティブ・インパクトへの期待

第4章 企業の社会的課題解決に向けたコレクティブ・インパクト
  ㈱アーバンリサーチのブランド開発
 1 コレクティブ・インパクトの概要  
 2 コレクティブ・インパクトの目的とプロセス  
 3 コレクティブ・インパクトへの想い  
 4 コレクティブ・インパクトでの学び  
 5 コレクティブ・インパクトの成果  
 6 コレクティブ・インパクトとしての特徴  

第5章 創発を取り込んだコレクティブ・インパクトの発展
  ビューティキャラバン事業からりびボラ事業への展開
 1 はじめに  
 2 事例分析のポイント  
 3 第1のコレクティブ・インパクト・イニシアチブ:
   ビューティーキャラバン事業  
 4 第2のコレクティブ・インパクト・イニシアチブ:
   りびボラ事業  
 5 分析:第1から第2のコレクティブ・インパクト・イニシアチブへ  
 6 最後に:
   第3・第4のコレクティブ・インパクト・イニシアチブに向けて  

第6章 ソーシャル・ビジネスによるコレクティブ・インパクト
  「再犯のない社会実現」を目指す㈱ヒューマンハーバー
 1 はじめに  
 2 再犯の現状と社会課題の所在  
 3 ㈱ヒューマンハーバーの設立  
 4 三位一体の支援事業  
 5 九州大学との協働と「ユヌス・ソーシャル・ビジネス」としての経営  
 6 コレクティブ・インパクトに照らした特徴と課題  

第7章 コレクティブ・インパクトの創出とバックボーン組織の形成過程
  第3セクターを中心とした池田町の取り組み
 1 はじめに  
 2 事例分析:福井県今立郡池田町の概要と課題  
 3 民間組織の発生過程と経緯の検証  
 4 ソーシャル・イノベーション理論にもとづく分析  
 5 おわりに  

第8章 社会的課題解決の展開とコレクティブ・インパクト形成
  若者UPプロジェクト
 1 若者UPプロジェクトとは  
 2 若者UPプロジェクト立ち上げの契機  
 3 若者UPプロジェクトの目的  
 4 若者UPプロジェクトの事業プロセス  
 5 若者UPプロジェクトの成果  
 6 コレクティブ・インパクト型の取り組みとしての特徴  

第9章 企業によるコレクティブ・インパクトの実践
  一般社団法人住むーぶ全国協議会
 1 高齢者向け引越サービスの誕生  
 2 全国の中小運送事業者にサービス拡がる  
 3 行政との関係の構築と壁  
 4 政府の施策を理解し誕生したサービス  
 5 一般社団法人住むーぶ全国協議会の誕生  
 6 今後の期待  
 7 協議会として活動をしていくうえで理解している外部環境
 8 大阪への波及効果  
 9 コレクティブ・インパクトの5要素からみた住むーぶ全国協議会の課題  

第10章 NPOによるコレクティブ・インパクトの実践
  「ゆりかごタクシー」母から娘たちへの贈り物
 1 はじめに  
 2 救いたいと思う人がいつもそこにいるから  
 3 事業遂行に必要な主要組織とメンバーの集結をめざして  
 4 運行開始から拡大に向けて  
 5 社会に認知された仕組みをめざして  
 6 未来へ向けて「滋賀三方良し」のモデルとして発展を  
 7 おわりに  

第11章 企業の社会貢献によるコレクティブ・インパクトの実践
  南大阪子育て支援ネットワーク
 1 はじめに  
 2 南大阪子育て支援ネットワークの概要  
 3 コレクティブ・インパクトで共同子育てを進める社会的背景  
 4 南大阪子育て支援ネットワークの設立と活動のプロセス   
 5 コレクティブ・インパクトをなぜ目指していくのか  
 6 おわりに  
Column ② NPO側からのコレクティブ・インパクトへの期待

第12章 コレクティブ・インパクトにおける評価
 1 各ステイクホルダーの活動動機の多様性  
 2 日本におけるコレクティブ・インパクト  
 3 何のために評価するか  
 4 どんな評価指標が必要か  
 5 まとめ  

第13章 コレクティブ・インパクトのための組織
 1 はじめに  
 2 多様な主体の集合の動態  
 3 アドボカシー,フレーミング  
 4 イシュー・ネットワークと政策コミュニティ  
 5 集合的活動の先行分野  
 6 組織間連携の変動とバックボーン組織  
 7 バックボーン組織の性質  
 8 バックボーン組織の発生パターン  
 9 今後のコレクティブ・インパクトとバックボーン組織 

第14章 コレクティブ・インパクトを支える人材の育成
 1 はじめに  
 2 バックボーン組織を支える人材の特性  
 3 バックボーン組織における人材育成  
 4 バックボーン組織の人材育成への示唆と今後の課題  
 5 バックボーン組織の発展に向けて  
Column ③ 行政側からのコレクティブ・インパクトへの期待

第15章 コレクティブ・インパクトの可能性
 1 コレクティブ・インパクトの事例の解釈  
 2 コレクティブ・インパクトの本質と可能性  
 3 社会の縮図としてのコレクティブ・インパクト  

著者紹介

佐々木 利廣(ささき としひろ)
[プロフィール]
京都産業大学名誉教授。
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得退学。京都産業大学経営学部専任講師、助教授を経て、1991年から京都産業大学経営学部教授、その間ノースカロライナ大学チャペルヒル校社会科学研究所(IRSS)で客員研究員を歴任。

[主な著作]
『地域協働のマネジメント』(中央経済社,2018年)など多数。

横山 恵子(よこやま けいこ)
[プロフィール]
関西大学商学部教授。
北海道大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。東海大学政治経済学部専任講師・准教授・教授、神戸学院大学経営学部教授を経て、2013年から関西大学商学部でソーシャル・アントレプレナーシップをテーマに教育研究活動を続けている。

[主な著作]
『エシカル・アントレプレナーシップ』(中央経済社、2018年)など多数。

後藤 祐一(ごとう ゆういち)
[プロフィール]
尾道市立大学経済情報学部准教授。
北海道大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経営学)。長崎大学経済学部准教授を経て、2017年4月から尾道市立大学経済情報学部准教授。

[主な著作]
『戦略的協働の経営』(白桃書房、2013年)

担当編集者コメント
日本ベンチャー学会2022年第10回「日本ベンチャー学会清成忠男賞」(書籍部門)を受賞いたしました。