- 本の紹介
- 規制緩和やICT技術の発展等に伴う業界の激変は、利便性を高める一方で契約者保護のあり方も変えている。業界を概観し、規制当局を含めた保険業界全体へ提言をまとめた。
目次
はしがき
序 章 保険業を取り巻く環境変化と事業革新:
問題意識と考察の視点
1.保険事業革新の現状
2.保険業のイノベーションとは何か?
3.インシュアテック時代の新たな保険規制
4.本著の構成および概要
第1章 保険業におけるイノベーションと契約者利益
1.金融・保険技術革新をめぐる論点
2.貨幣的成長モデルの枠組み
3.金融・保険技術革新の企業価値への影響
4.金融・保険技術革新の経済的帰結
5.金融・保険技術革新への条件整備
補論 貨幣的成長モデルの概要
第2章 個人保険・団体保険の商品性革新
1.自在型(アカウント型)生命保険
2.個人年金保険と変額年金保険・変額保険
3.団体年金保険と分離勘定の運用
4.高齢社会での人的サービス対応商品:第三分野保険・傷害疾病保険
第3章 保険技術革新による顧客価値創造型マーケティング
1.保険技術革新と販売チャネル
2.保険業をめぐるインシュアテックの現況
3.保険販売の技術革新がもたらす新たなCRM
4.デジタルマーケティングが実現する契約者利益
5.LTVに基づく顧客生涯価値の可視化と保険業のCRM
補論 LTVの効果に関する検証
第4章 「製販分離」による保険業の新たなビジネスモデル
1.金融リテール分野における「製販分離」
2.保険業における「製販分離」の現状
3.販売チャネル多様化の現状とその要因
4.「製販分離」事例としての銀行の窓口販売
5.保険業における「製販分離」の課題
6.保険業における「製販分離」の展開
第5章 保険市場の特殊性と契約者利益
1.保険事業における生産概念
2.保険市場における価格差別とサーチ活動
3.保険市場における契約者利益の向上
第6章 保険経営形態と契約者利益
1.経営形態をめぐる議論
2.費用選好仮説の定式化とその含意
3.相互会社の健全性と経営効率化
4.相互会社における組織改革:持株会社の可能性
5.相互会社における制度的監視の重要性
補論 費用選好仮説の検証
第7章 特定保険契約における説明義務と賠償責任のあり方
1.金融消費者保護法制における保険者の説明義務
2.保険における情報格差を埋める施策
3.特定保険契約としての変額保険の商品内容とリスク
4.特定保険契約における立証責任配分の考え方
5.特定保険商品販売のあり方
第8章 金融ADRが保険市場に及ぼす影響
1.保険契約者からみたリスクと情報の不完全性
2.保険契約者保護のための重層的な構造
3.保険をめぐるトラブルの実相とその要因
4.金融ADRの望ましい制度設計への提言
5.これからの金融ADRの課題
第9章 保険トラブルをめぐる訴訟・和解と金融ADR
1.保険商品に付随するリスクと情報格差
2.紛争処理手段の優劣比較
3.予想不一致モデルの展開:ディスカバリー・ルールと過誤への対応
4.これからのトラブル対応のあり方
第10章 保険政策と保険規制
1.保険政策の体系とその概要
2.保険業の特徴と保険規制の根拠
3.戦後の保険政策と保険規制の変遷
4.保険自由化の影響とその評価
5.新たな保険セーフティ・ネットの構築
6.保険自由化後10年間の規制緩和:個別論点
7.保険政策の現代的課題