医療サービス価値企画―診療プロトコル開発による費用対成果の追求
- 本の紹介
- 患者に提供する一連のサービスの質・安全性・採算・在院日数などを同時考慮し、費用対成果としての価値を作り込んでいくことで、医療経営を変革する原価企画のあり方を提示。
目次
医療サービス価値企画
診療プロトコル開発による費用対成果の追求
目次
第1章 アメリカ医療界における診療プロトコルマネジメントの
登場と進展―日本医療界のモデル
1.診療プロトコルマネジメントの登場・拡張・普及とその背景
2.診療プロトコルマネジメントの実態としての目的の変化
3.診療プロトコルの開発・利用
3.1 作成対象の選択
3.2 チーム編成 ……ほか
4.原価及び質の測定を伴わない開発・利用への批判
5.原価モデルを伴う診療プロトコル開発:詳細な原価計算に
支えられた開発
6.医療サービス原価企画としての診療プロトコル開発活動
補論1 アメリカ医療界における価値企画としての診療プロトコル
開発活動登場の背景
―質・原価統合管理の必要性の高まり
1.質と原価の相互関係に関する認識の変化
2.JCAHO等によるTQMの推進
3.質・原価統合管理を求める経営環境の登場
第2章 日本医療界における診療プロトコルマネジメントの展開と
その特質
1.標準化・質向上手法としての導入と普及:90年代半ば
~2000年代半ば
2.コストマネジメントへの進化とその背景
3.文献に見る診療プロトコルコストマネジメントの現状
4.原価企画利用可能性と原価企画的特質の検討
4.1 日本医療界における原価企画の利用可能性
4.2 診療プロトコル開発活動の原価企画的性質
5.医療サービス原価企画の定義
第3章 DPC対象病院における医療サービス価値企画の現状と
課題―インタビュー調査に基づく定性的実態把握
1.インタビュー調査概要
2.諸病院における診療プロトコル原価企画の現状
2.1 診療プロトコル原価企画の先進事例
2.2 諸病院における現状
3.病院間ベンチマークを通じた診療プロトコル原価企画の促進
4.労務費を中心とした固定費に対する原価企画への試み
5.医療サービス原価企画活動の今後の課題
5.1 固定費項目含む原価ベースの取組みの促進
5.2 医療サービス原価企画活動の有効化 ……ほか
補論2 価値向上活動としての活動基準管理
―診療プロトコル開発活動との一体的展開による
労務活動企画の促進
1.病院ABMの登場と実態
2.各種病院ABM手法
3.病院ABMと診療プロトコルマネジメントとの一体的展開の重要性
第4章 済生会熊本病院における診療プロトコル開発活動の展開
―医療サービス価値企画の先進事例
1.済生会熊本病院における診療プロトコル開発活動の目的・性格
2.診療プロトコル原価企画活動促進のための組織的な仕組み
2.1 外部からの学習と浸透のための教育
2.2 診療プロトコル委員会の進化 ……ほか
3.原価情報に基づく医療サービス原価企画
3.1 診療プロトコル別原価計算分析の概要
3.2 診療プロトコル原価の比較分析 ……ほか
第5章 医療サービス価値企画へのDPC別包括払い制度と病院
特性の影響―アンケート調査に基づく定量的評価
1.アンケート調査の概要と分析視点
2.診療プロトコル原価企画の実施状況
3.原価企画策の評価状況
4.診療プロトコル原価企画支援ツールの活用・整備状況
4.1 病院間及び医師間ベンチマーク
4.2 行為別原価データベース及び同効能医薬材料購入価格比較
リスト
5.事務職の積極度と診療プロトコル原価企画
5.1 診療プロトコル開発に対する事務職の積極度
5.2 事務職の積極度と各種の原価企画活動との関係
6.医療サービス原価企画推進への示唆
第6章 DPC対象病院における診療プロトコル価値企画の実践と
認識―アンケート調査に基づく定量的実態把握
1.アンケート調査の概要と分析視点
2.診療プロトコル原価企画実践及び認識の病院属性別実態
2.1 診療プロトコルの包括出来高差把握・ベンチマーク・
原価企画評価
2.2 各種診療プロトコル原価企画策の重要性の認識 ……ほか
3.分析結果の整理
第7章 医療サービス価値企画の病院業績への効果
―費用対成果としての価値の向上
1.研究方法
2.診療プロトコル原価企画の実践状況と病院業績との関係分析
補論3 医療の質と効率性・採算性等との相互関係の検証
1.DPC対象病院アンケート調査データに基づく相関分析
2.医療法人財務諸表データベースに基づく相関分析
第8章 管理会計による診療プロトコル価値企画の本格化
1.分析視点
2.診療プロトコル原価企画の実践及び認識状況と管理会計の
関係分析
2.1 診療プロトコルの包括出来高差把握・ベンチマーク・
原価企画評価
2.2 各種診療プロトコル原価企画策の重要性の認識 ……ほか
3.管理会計による診療プロトコル原価企画本格化への示唆
第9章 医療サービス価値企画を支える組織的仕組みとツールの
現状
1.原価企画支援の組織的仕組み
2.原価企画支援の七つ道具
3.診療プロトコル原価企画支援ツールの普及度
4.管理会計による原価企画支援ツール利用の活発化
第10章 本格的な医療サービス価値企画を支える原価計算の
現状と普及への示唆
1.病院特性別の原価計算実施状況分析:公的病院グループを
対象として
1.1 DPC経験と原価計算との関係
1.2 病床規模と原価計算との関係 ……ほか
2.病院特性別の原価計算実施状況分析:全DPC対象病院を対象
として
2.1 開設主体(公私)と原価計算との関係
2.2 DPC経験と原価計算との関係 ……ほか
3.原価計算の普及への示唆
第11章 医療サービス価値企画に際する価値連鎖考慮範囲拡大
への兆候と示唆
1.アンケート調査の概要と分析視点
2.一貫型診療モデル開発・原価企画の現状
2.1 複合体法人群全体での現状
2.2 法人属性別の現状 ……ほか
3.価値連鎖考慮範囲拡大の兆しと示唆
第12章 医療サービス価値企画の今後の課題
1.個別サービスレベルでの労務活動企画の推進
2.原価企画を支えるツールの整備
3.原価企画を促進する管理会計制度の設計:管理会計による
意識改革
4.考慮する価値連鎖範囲の拡大:一貫型診療モデル原価企画の推進
5.医療管理会計システムの一環としての理解
参考文献
索引
著者プロフィール
荒井 耕(あらい こう)
一橋大学大学院商学研究科准教授
1971年 東京都生まれ
1994年 一橋大学商学部卒業
2001年 富士総合研究所勤務,一橋大学大学院商学研究科修士課程を経て,一橋大学大学院商学研究科博士課程修了 博士(商学)取得
大阪市立大学大学院経営学研究科専任講師,助教授,准教授を経て,
2008年 一橋大学大学院商学研究科准教授,現在に至る
専門分野:管理会計,原価計算,医療管理会計,公会計
主要著書・論文
『医療バランスト・スコアカード:英米の展開と日本の挑戦』中央経済社,2005年5月(日本原価計算研究学会 学会賞受賞).
『医療原価計算:先駆的な英米医療界からの示唆』中央経済社,2007年2月(日本会計研究学会 太田・黒澤賞受賞).
『病院原価計算:医療制度適応への経営改革』中央経済社,2009年1月(日本管理会計学会・文献賞受賞).
Reforming Hospital Costing Practices in Japan: An Implentation Study, Financial
Accountability & Management, Vol. 22, No.4, November 2006.