日本の中小企業会計制度―歴史的変遷と現行システムの解明

小川 晃司

定価(紙 版):5,720円(税込)

発行日:2023/03/17
A5判 / 308頁
ISBN:978-4-502-45331-1

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本の紹介
日本の中小企業会計制度は日本独自の誇るべき制度であり積極的な活用により中小企業の経営が盤石になる。本書は、明治時代~現代までの歴史的変遷を踏まえ、現行制度を解明。

目次

序 章 研究の意義と内容
第1章 日本における中小企業の会計史
第2章 「企業会計原則」の「正規の簿記の原則」と税法の「正規の簿記の原則」
第3章 確定決算主義の本質とその重要性
第4章 税理士法第1条における「独立性」の概念
第5章 「書面添付制度」の歴史的経緯とその役割
第6章 日本の中小企業金融における課題と展望
第7章 税理士による保証業務である「会計参与制度」活用の課題
結 章 本研究のまとめと課題・展望

著者紹介

小川 晃司(おがわ こうじ)
[プロフィール]
2022年3月愛知工業大学大学院経営情報科学研究科博士後期課程修了、博士(経営情報科学)愛知工業大学。現在、税理士、公認会計士、社会保険労務士。

[主な著作]
「書面添付制度の歴史的経緯とその役割-税理士による税務に関する保証業務」『中小企業会計研究』(中小企業会計学会)第6号、2020年
「わが国の中小企業金融における課題と展望-書面添付制度を活用した決算書の信頼性の確保」『中小企業会計研究』(中小企業会計学会)第7号、2021年
「青色申告制度と正規の簿記の原則」『簿記研究』(日本簿記学会)第4巻第2号、2021年 他多数

担当編集者コメント
日本の中小企業は、企業数の99.7%、従業者数約70%を占めているといわれており、日本経済に大きな影響を及ぼしています。

しかし、会計が企業経営の重要なインフラであるにもかかわらず、これまで日本の会計制度が論じられる際は大企業中心の内容で、中小企業について言及されることは少なかったように感じます。

そのような中、本書は日本における中小企業会計制度の明治時代から現代までの歴史的変遷を踏まえ、現行システムの全体像を解明しています。

〇本書の概要
本書では、中小企業における会計制度の入口である正確な会計帳簿の作成から出口である決算書の作成、そして決算書の開示まで一連の内容を対象として、以下の内容について解明しています。
①正確な会計帳簿の作成から決算書の作成までを要求している「企業会計原則」および税法に導入されている「正規の簿記の原則」
②会計処理として多くの中小企業が参考にしている法人税法に規定されている確定決算主義
③決算書の利害関係者への開示に際し、決算書の信用力の確保に有効な会社法規定の「会計参与制度」
④税理士の職業法規である「税理士法」(「独立性」の概念と書面添付制度)

〇本書の特徴
私が考える本書の特徴と意義は、以下の2点です。
①日本の中小企業会計制度の歴史について明治期から考察している点
多くの会計制度研究・解説については、戦後から始まるものが多い中、本書は明治期から現在までの中小企業の会計制度とその実態を解明した点の意義は大きいと思います。

②現行システムを中小企業会計の視点から体系的に考察している点
本書でとり上げられている各論点のテーマ自体はさまざまな研究が進んでいますが、中小企業会計の視点から、有機一体的に機能する体系的なものであることを解明した点は大きな研究成果だと考えます。

そして、研究の結果、本書で検討されている日本の中小企業会計制度の基盤である「正規の簿記の原則」、「中小会計要領」、「書面添付制度」、「会計参与制度」は、いずれも海外には存在しない日本独自の画期的なものであることも示されています。

〇実践するためのバイブルとして活用ください!
本書により、日本の中小企業会計制度が日本独自の誇るべき会計制度であり、経営者と税理士の連携による積極的な当該制度の活用によって中小企業の経営が盤石になることが明らかになりました。
中小企業の経営者および税理士(会計事務所職員)の皆様には、本書で制度への理解を十分深めていただき、そして実践していただければと思います。
また、中小企業会計制度を研究する際には、必読の書だと思いますので、このテーマに関心のある研究者・大学院生等の方々もぜひご覧ください!

(追伸)
本書は、第32回租税資料館賞・著書の部を受賞されました!