パブリック・ガバナンスの視点による地方公会計制度改革
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- 英国自治体の制度を参考にして、わが国における自治体行政運営のあり方を探る。制度インフラとしての「地方公会計制度」が、どう整備・運用されるべきか考察している。
目次
パブリック・ガバナンスの視点による
地方公会計制度改革
目次
序 章 パブリック・ガバナンスの視点による
地方公会計制度研究の意義
1.問題提起
⑴ 研究の視座
⑵ 考察対象
⑶ 研究のアプローチ
2.本書の構成
第1章 パブリック・ガバナンス論とパブリック・ガバナンス原則
1.民間企業に関するコーポレート・ガバナンス論
2.政府に関するパブリック・ガバナンス論
3.英国自治体におけるパブリック・ガバナンス原則の発展
⑴ キャドベリー報告書(Cadbury Report, 1992)・グリーンベリー
報告書(Greenbury Report, 1995)・ハンペル報告書
(Hampel Report, 1998)・
統合規範(the Combined Code, 1998)
⑵ ノーラン報告書(the Nolan Report, 1995)
⑶ CIPFA/SOLACE「自治体におけるコーポレート・ガバナンス−
コミュニティー・ガバナンスのための布石:フレームワーク」
(2001) ……ほか
4.CIPFA/SOLACEによるパブリック・ガバナンス原則
⑴ パブリック・ガバナンスの定義と原則
⑵ 自己評価事項
⑶ パブリック・ガバナンスの課題との関連
第2章 英国自治体に関する行財政改革とガバナンスの諸要素
1.英国における1979年以降の三政権下の主な行財政改革
⑴ サッチャー保守党政権(1979.5〜1990.11)
⑵ メイジャー保守党政権(1990.11〜1997.5)
⑶ ブレア労働党政権(1997.5〜2007.6)
2.英国自治体における公共経営とパブリック・ガバナンスの進展
⑴ 公共経営の進展
⑵ 公共経営とパブリック・ガバナンスの類型化
⑶ 中央政府による業績評価制度
3.英国自治体におけるガバナンスの諸要素
⑴ 制定法に基づくガバナンスの諸要素
⑵ 会計監査規則に基づくガバナンスの諸要素
⑶ 勧告実務書と指針に基づくガバナンスの諸要素
第3章 公的説明責任の確保:財務報告制度
1.英国自治体における財務報告制度
⑴ 財務管理責任者の設置と制定法
⑵ 2003年会計監査規則と適切な会計慣行
⑶ CIPFAの勧告実務書 ……ほか
2.英国における実態分析:会計報告書について
⑴ 分析対象の母集団
⑵ 情報の区分と分析対象
⑶ 会計報告書実態分析の結果
3.わが国の現状と課題
⑴ 現 状
⑵ 課 題
第4章 ビジョンの創造と実践:原価計算制度と予算制度
1.英国自治体における原価計算制度と予算制度
⑴ ベスト・バリュー会計実務規範
⑵ 英国自治体における原価計算制度
⑶ 予算制度
2.英国における実態分析:会計報告書および予算書における
原価情報について
⑴ 財務報告における適用事案
⑵ 財務管理における適用事案
3.わが国の現状と課題
⑴ 現金主義による予算制度と行政評価
⑵ 課 題
第5章 有効な監視とリスク・マネジメント⑴:財務諸表監査制度
1.英国自治体における財務諸表監査制度
⑴ 英国自治体における「公的説明責任」の拡大
⑵ 自治体監査委員会と監査実務規範
⑶ 財務諸表監査における監査人の責任 ……ほか
2.英国における実態分析:財務諸表監査報告書について
⑴ 監査意見の公表時期
⑵ 財務諸表監査における監査意見の分類
⑶ 監査報告書の具体例
3.わが国の現状と課題
⑴ 会計報告に関する監査制度
⑵ 課 題
第6章 有効な監視とリスク・マネジメント⑵:業績監査制度
1.英国自治体における業績監査制度
⑴ 自治体における業績監査の背景要因
⑵ 資源の利用に関する監査人の責任
2.英国における実態分析:VFM監査報告書について
⑴ 監査報告書の具体例
⑵ 監査関連資料の提出状況
⑶ CAAの評価結果とVFM監査の結果
3.わが国の現状と課題
⑴ 行政監査および包括外部監査制度
⑵ 課 題
第7章 有効な監視とリスク・マネジメント⑶:
内部統制制度と内部監査制度
1.英国自治体における内部統制制度と内部監査制度
⑴ 内部統制システム(System of Internal Control)
⑵ 内部監査制度(Internal Audit)
⑶ 会計監査規則における法的要請
2.英国における実態分析:年次ガバナンス報告書について
3.わが国の現状と課題
第8章 わが国における地方公会計制度改革への示唆
1.わが国自治体を取り巻く社会的・経済的環境
2.パブリック・ガバナンスの理論と原則および地方公会計制度の
関係
3.わが国における地方公会計制度の分野別課題とガバナンスの
諸要素に関する提言
⑴ ガバナンス原則1(ビジョンの創造と実践)に関連する課題への
提言
⑵ ガバナンス原則2(議員と職員の役割の明確化)に関連する
課題への提言
⑶ ガバナンス原則3(行動規範の遵守)に関連する課題への提言
……ほか
4.今後の課題
【参考文献】
● 欧 文
● 和 文
索 引
著者プロフィール
遠藤 尚秀(えんどう なおひで)
公認会計士(新日本有限責任監査法人パートナー),
日本公認会計士協会常務理事(公会計委員会担当),
日本公認会計士協会近畿会副会長
1960年12月,神戸市に生まれる。
1984年 関西学院大学商学部卒業
1986年 関西学院大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了
1993年 公認会計士登録
1997年 9年間の他法人の勤務を経て,センチュリー監査法人
(現 新日本有限責任監査法人)入所
2011年 関西学院大学大学院経営戦略研究科博士課程後期課程単位取得満期退学,同大学院にて博士(先端マネジメント)取得
現在,総務省独立行政法人会計基準研究会委員,文部科学省国立大学法人会計基準検討会議委員,大阪府財産評価審査会委員,滋賀県包括外部監査人,国際公会計学会理事等を務める。
[主な研究業績]
田畑要・石原俊彦・遠藤尚秀・藤川義雄著『企業財務の管理と診断技法』,同文舘,2000年4月。
石原俊彦監修,新日本有限責任監査法人訳・編『地方自治体のパブ
リック・ガバナンス』(共訳),中央経済社,2010年6月。
「英国自治体における会計報告書のベスト・プラクティスに関する分析-地方自治体版SORP(2008年度版)をベースとして-」『ビジネス&アカウンティングレビュー』第6号,2011年3月,ほか。
- 担当編集者コメント
- 「地方自治の母国」である英国の地方公会計制度を詳細に分析・究明し、わが国の地方公会計制度改革の方向性を提示している意欲的な研究書。学者、専門家のみならず、地方公共団体で働く職員の方たちにも、是非手に取って頂きたいです。