配当政策とコーポレート・ガバナンス―株主所有権の限界

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宮川 壽夫

定価(紙 版):3,740円(税込)

発行日:2013/01/21
A5判 / 224頁
ISBN:978-4-502-46660-1

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本の紹介
株主と経営者は、本来どういう関係であるべきなのか? 実証研究をもとに、企業統治の手段たる配当政策の意味を考察し、従来のエージェンシー理論への課題をも提起する。

目次


配当政策とコーポレート・ガバナンス
株主所有権の限界
目次

 はじめに

第1章 問題提起と仮説の概要
 1−1 本書の視点
   配当に対する視点
   コーポレート・ガバナンスに対する視点 ……ほか
 1−2 本書が取り組むテーマと仮説の概要
   本書が取り組むテーマ
   問題の発端―資本依存から経営者依存へ ……ほか
 1−3 本書の意義と構成
   本書の意義
   本書の構成

第2章 ファイナンス理論からのアプローチ
 2−1 依拠する理論の所在
 2−2 企業価値最大化理論の背景
   企業とステークホルダーからの出発
   完全競争メカニズムの前提 ……ほか
 2−3 株主の利益かステークホルダーの利益か
   株主所有権とステークホルダー理論
   株主利益と厚生経済の関係 ……ほか
 2−4 組織の経済学とコーポレート・ガバナンス
   限定合理性から効用最大化へ
   組織の経済学への発展
 2−5 エージェンシー理論
   エージェンシー関係とステークホルダー
   エージェンシーコストの要素 ……ほか
 2−6 所有権理論
   所有権の定義
   株主が所有しているもの ……ほか
 2−7 取引費用理論
   取引費用理論における企業の役割
   取引費用節約のためのガバナンス

第3章 外部株主モデルと固定的配当政策の合理性
 3−1 配当政策と組織構造の関係
 3−2 外部株主モデルによるガバナンス構造の考え方
   外部株主モデルとは
   経営者の自由裁量が達成する経営効率性 ……ほか
 3−3 「人的資産」概念に対する今後の課題

第4章 配当政策研究の系譜
 4−1 経営者の意思と配当政策
 4−2 配当割引モデルから配当無関連命題へ
   ゴードンモデルと企業価値
   MM理論の登場と配当のパズル
 4−3 税金と配当
   無配が最適な配当政策
   配当の顧客効果モデル ……ほか
 4−4 株式の取引コストと配当
   インカムゲインかキャピタルゲインか
   主な実証的研究
 4−5 市場の規制と配当
 4−6 情報の非対称性と配当
   配当のシグナリングモデル
   ペッキングオーダー理論と配当政策 ……ほか
 4−7 不完備契約と配当
   フリーキャッシュフロー仮説
   成熟性仮説 ……ほか
 4−8 配当のパズル

補章 日本の配当政策とコーポレート・ガバナンスの歴史
 補−1 数値で見る日本企業の配当政策
   日本企業のこだわり
   有配企業と無配企業 ……ほか
 補−2 第二次世界大戦に影響を受けた日本の企業理念
   硬直的と言われた日本の配当政策
   株主主権が実現していた1900年代初頭の日本企業 ……ほか
 補−3 日本型配当政策の実態と背景
   戦中戦後を通して実施された配当規制
   なぜ一割配当だったのか ……ほか

第5章 経営者自己抑制仮説の実証
 5−1 問題意識―利口な経営者はどのように振る舞うのか
   実証の目的
   問題の所在 ……ほか
 5−2 仮説の設定と理論的フレームワーク
   仮説が依拠する理論―情報の非対称性とエージェンシーコスト
   自己抑制的配当政策の類型
 5−3 リサーチデザイン
   分析対象とデータセット
   被説明変数:配当変化率の定義 ……ほか
 5−4 分析結果・119
   基本統計量
   2001年から2005年の5年年率分析 ……ほか
 5−5 まとめ

第6章 経営能力評価仮説の実証
 6−1 問題意識―利口な株主はどのように振る舞うのか
 6−2 仮説の設定と理論的フレームワーク
   仮説が依拠する理論―外部株主モデル
   経営能力評価仮説の考え方
 6−3 リサーチデザイン
   外部株主とベンチマーク株主の特定
   実証方法の考え方 ……ほか
 6−4 分析結果
   基本統計量
   モデル式の推定結果と考察
 6−5 まとめ

第7章 特殊性資産評価仮説の実証
 7−1 問題意識―利口な株主は何を評価するのか
 7−2 仮説の設定と理論的フレームワーク
   仮説が依拠する理論―特殊性資産に対する株主所有権
   特殊性資産評価仮説の考え方
 7−3 リサーチデザイン
   変数の決定
   定式化 ……ほか
 7−4 分析結果
   基本統計量
   モデル式の推定結果と考察
 7−5 サンプルの拡大(ロバストネスチェック)
  全上場企業を対象とした分析
  人件費に着目したパラメータの導入
 7−6 まとめ

第8章 まとめと今後の展望
 8−1 発見事項の要約
 8−2 本書の主張
 8−3 今後の展望
   本書の課題と展望
   日本企業のコーポレート・ガバナンス―新たな展望に向けて

 索 引


著者プロフィール 宮川 壽夫(みやがわ ひさお)
大阪市立大学大学院経営学研究科・商学部准教授
1960年 愛媛県生まれ。
筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士後期課程修了。
博士(経営学)。
野村證券株式会社,米国トムソンファイナンシャル・コンサルティンググループ,野村證券株式会社IBコンサルティング部(現IBビジネス開発部)を経て,
2010年4月に大阪市立大学大学院経営学研究科・商学部専任講師として着任。
同年10月准教授,現在に至る。

〈主要論文〉
「投資家のパワーと経営者裁量とのコンフリクト」『會計』,2011年5月
「株主による経営能力評価と配当政策」(共著)ICS Working Paper Series,2011年3月
「粘着的配当政策の合理的背景とその実証」『証券経済研究』,2010年6月
「日本における安定配当政策の意義と歴史的背景」『資本市場』,2010年5月
「企業の経営能力と配当政策」『経営研究』,2010年5月






















著者紹介

宮川 壽夫(みやがわ ひさお)