- 本の紹介
- 金融資産・金融負債を全て公正価値測定するか否かは長年にわたる最大の関心事である。本書では、どういう取引が公正価値測定に適しているのか、論理的に検証していく。
目次
公正価値測定とオフバランス化
目次
序 章 本書の目的と概要
1 本書の趣旨と構成
2 本書の概要
第1章 デリバティブ取引の認識と測定
―トレーディング取引における公正価値評価
1 はじめに
2 デリバティブの定義
3 金融資産または金融負債の認識時点と認識対象
4 通常の受渡期間の約定日基準
5 デリバティブ取引の時価評価の導入およびその根拠 ……ほか
第2章 デリバティブの公正価値評価:試論
1 はじめに
2 デリバティブ取引の目的
3 デリバティブの会計処理
4 デリバティブがオフバランスであった時代の損益操作・管理
5 財の契約会計の要件とデリバティブの性質との比較 ……ほか
第3章 ヘッジ会計の要件を満たさないデリバティブ
―包括的長期為替予約
1 はじめに
2 包括的長期為替予約とはどういうものか
3 ヘッジ会計における予定取引の妥当性
4 包括的長期為替予約の会計処理についての検討
5 結 論
補章3−1 包括的長期為替予約の事例分析
1 青山商事の事例
2 サイゼリヤの事例
3 駒澤大学の事例 ……ほか
第4章 トレーディング目的で保有する現物商品の会計処理の
含意と示唆
1 はじめに
2 わが国におけるトレーダー=ディーラーの棚卸資産の評価の経緯
3 わが国におけるトレーダー=ディーラーの実際の金取引
4 IAS2「棚卸資産」における棚卸資産の時価評価とIAS39
「金融商品:認識と測定」の対象となる非金融項目の売買契約
5 米国における会計処理 ……ほか
補章4−1 米国における穀物会計の実態
1 1985年の調査
2 SFAS133の適用による穀物会計の変容
補章4−2 トレーディング目的で保有する棚卸資産の事例
1 トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価方法を
開示している会社
2 トレーディング目的のデリバティブ取引およびリスク管理方針
第5章 企業にとっての温室効果ガス排出クレジット取引のある
べき会計処理
1 はじめに
2 京都議定書および自主行動計画の概要と現状
3 環境省の自主参加型国内排出量取引制度
4 国際財務報告解釈委員会(IFRIC)解釈指針第3号「排出権」の
会計処理
5 キャップ・アンド・トレードの会計処理 ……ほか
補章5−1 排出量取引の国内統合市場の試行的実施とASBJ実務
対応報告第15号の改正
1 はじめに
2 排出クレジットの性質
3 排出量取引の国内統合市場の試行的実施 ……ほか
第6章 金融負債の信用リスク
1 はじめに
2 当初認識後の現在測定で信用リスクを織り込むことに賛成の意見
と反対の意見の論拠
3 コメントレター回答の分析
4 負債に固有の信用リスクの価格に起因する市場金利の変動の
金額の決定方法
5 Merton(1974)の検討 ……ほか
第7章 金融資産負債のオフバランス化について(2008年)
1 はじめに
2 金融資産の譲渡による消滅の認識
3 金融負債の消滅の認識
4 連結の範囲
5 米国基準におけるSPEとQSPEおよび変動持分事業体 ……ほか
第8章 SFAS166(「債権譲渡の会計処理」の改訂)および
SFAS167(「変動持分事業体の連結」の改訂)の影響
(2010年)
1 はじめに
2 SFAS166「債権譲渡の会計処理―SFAS140の改訂」の影響
3 SFAS167「FIN 46R「変動持分事業体の連結(2003年12月改訂)」
の改訂」の改訂内容
4 事例分析―会計基準改訂による米国銀行主要3行への影響
補章8−1 IFRS10「連結財務諸表」の連結対象の範囲
1 IFRS10における連結対象となる投資先に対する「支配」の定義
2 SFAS167の主たる受益者か否かと,IFRS 10の支配しているか
否かの比較
3 IFRS10「連結財務諸表」の改訂
―連結免除の対象となる「投資企業」
第9章 金融資産の譲渡に伴う回収サービス業務資産および
負債の性質と会計処理
1 はじめに
2 サービサーの回収サービス業務の性質と内容
3 債権譲渡におけるサービス資産とサービス負債の会計処理
4 サービス資産の性質と発生原因
5 米国基準におけるサービス資産等の内容に関する検討
……ほか
第10章 サービス資産に関する会計処理
―2006年以降の米国基準の改訂と事例
1 はじめに
2 SFAS156の改訂内容
3 SFAS156の改訂の根拠とその妥当性
4 SFAS166によるSFAS 140改訂のサービス資産等に対する
その他の影響
5 事例―米国主要銀行3行のサービス資産の分析 ……ほか
第11章 株式交換と借株と親会社株式売却益―ライブドア事件
1 はじめに
2 株式交換,借株から生じた親会社株式売却益に関する
一連の取引の事実関係
3 借り入れた親会社株式の売却と買い取った親会社株式の
会計処理の論点
4 ライブドア事件における取引を分析した場合の借株の具体的な
会計処理
5 おわりに
補章11−1 親会社株式売却益の発生原因
1 百分割等によるライブドア(旧エッジ)株価の変動
2 2004年3月以降のライブドア株式売却益
3 クラサワ株式交換比率決定の経緯 ……ほか
■引用文献
■索 引
著者プロフィール
伊藤 眞(いとう まこと)
1969年 早稲田大学第一政治経済学部卒業
1972年 ピート・マーウィック・ミッチェル会計士事務所 東京事務所(1975年,公認会計士開業登録)
1978年 監査法人サンワ東京丸の内事務所(監査法人トーマツ)(1992年,代表社員就任)
2003年 慶應義塾大学商学部教授
2011年 国士舘大学経営学部教授,現在に至る。
1987年~2003年,日本公認会計士協会 会計制度委員会の専門研究員・委員・委員長として「外貨建取引等の会計処理基準に関する実務指針」(1996年),「持分法会計に関する実務指針」(1998年),「金融商品会計に関する実務指針」(2000年)等の指針作成および改正に関与。1993年,財団法人企業財務制度研究会
外貨建取引等会計処理基準研究委員会委員。1994年より大蔵省 企業会計審議会幹事として「外貨建取引等会計処理基準」改正(1995年)に関与。
2005年より「中小企業の会計」の統合に向けた検討委員会専門委員会委員,および「中小企業の会計に関する指針」作成検討専門委員会委員として同指針の作成・改正に関与。
[主な著作]
『外貨換算会計の実務』(中央経済社,1990年,第2版1992年),
『連結財務諸表作成の実務』(共著,財経詳報社,1999年),
『金融商品会計の完全解説』(共編著,財経詳報社,2000年,改訂8版 2009年),
『外貨建取引・通貨関連デリバティブの会計実務』(中央経済社,2002年,第2版2005年),
『事例で解る会計基準と税務』(共編著,第一法規出版,2003年,改訂版2012年)。