- 本の紹介
- 「システム」概念は社会学的に応用しやすく、経営学分野でもやや無批判に参照されてきた。本書ではドイツのシステム論的経営経済学の展開を学説的に明示し、問題点を考えた。
目次
ドイツ・システム論的経営経済学の研究
香川大学経済研究叢書24
目次
はじめに
第1章 企業経営における複合性問題とシステム理論:
本書の目的と構成
1.1 問題の所在
1.2 本書の研究方法:「世界3」と「進化論的問題移動」から見た
経営学史研究5
1.3 本書の構成
第2章 戦後ドイツ経営経済学の管理論的展開とシステム論的
経営経済学
2.1 ドイツ経営経済学の特質と管理問題:はじめに
2.2 第二次大戦以降の西ドイツ経済とドイツ経営経済学の管理論的
展開
2.2.1 復興期の西ドイツ経済とグーテンベルク経営経済学の管理
論的展開
2.2.2 グーテンベルク以降のドイツ経営経済学の多様化:
経営経済学の管理論化
2.3 応用科学・管理論としての経営経済学:ウルリッヒとキルシュの
方法論的見解
2.3.1 ウルリッヒの主張
2.3.2 キルシュの主張
第3章 一般システム理論とサイバネティクスの展開
3.1 一般システム理論とサイバネティクス登場の背景:はじめに
3.2 システムの特性
3.3 動態的システムのサイバネティクス的理解
3.4 一般システム理論とサイバネティクス登場の特質と問題点:
おわりに
第4章 初期システム論的経営経済学の展開:
ウルリッヒとキルシュの学説を中心として
4.1 ウルリッヒとキルシュの問題状況:はじめに
4.2 ウルリッヒのサイバネティクス的企業管理論
4.2.1 ウルリッヒ学説の問題状況
4.2.2 開放的な生産システムとしての企業
4.3 キルシュ学説におけるシステム理論とサイバネティクス
4.3.1 企業システムの制御と規制
4.3.2 情報システムと意思決定システム
4.3.3 情報システムと意思決定システムのサブ・システム
4.4 初期システム論的経営経済学への疑念:シャンツの批判
4.5 初期システム論的経営経済学の問題点:おわりに
第5章 システム理論の新しい展開:自己組織性,
オートポイエーシス,ルーマン社会システム理論
5.1 自己組織性
5.1.1 自己組織モデルの展開
5.1.2 自己組織的システムの特性
5.2 オートポイエーシス理論
5.3 ルーマンの社会システム理論
5.4 新しいシステム理論の特質:おわりに
第6章 自己組織的管理論の展開:2つの「進化的マネジメント」
6.1 2つの「進化的マネジメント」論の問題状況:はじめに
6.2 ザンクト・ガレン学派の「進化的マネジメント」
6.2.1 「進化的マネジメント」の基本的主張
6.2.2 プロープストの自己組織的マネジメント論
6.2.3 ザンクト・ガレン学派の進化的マネジメント論に対する批判
6.2.4 ザンクト・ガレン学派の進化的マネジメントの特質:まとめ
6.3 ミュンヘン学派の「進化的マネジメント」
6.3.1 ミュンヘン学派の進化的マネジメント論における「管理哲学」
6.3.2 進化的マネジメント論の展開
6.4 2つの「進化的マネジメント」の分岐点:おわりに
第7章 オートポイエーシス理論やルーマン社会システム理論の
経営管理論
7.1 オートポイエーシス理論やルーマン社会システム理論の経営学
における可能性:はじめに
7.2 ザンクト・ガレン学派の主張:リュエッグ・シュテュルムの
オートポイエティックな企業組織論
7.2.1 リュエッグ・シュテュルム学説の問題状況
7.2.2 リュエッグ・シュテュルム学説の基本的主張
7.3 ミュンヘン学派の主張:キルシュとクニュプハウゼンの主張
第8章 システム論的経営経済学の特質・意義・限界:結論
8.1 システム論的経営経済学におけるマネジメント観の変遷
8.2 ザンクト・ガレン学派の主張の問題点と解決策
8.2.1 ザンクト・ガレン学派の主張の問題点
8.2.2 「漸次的工学」から見たザンクト・ガレン・アプローチ
8.3 ミュンヘン学派の進化的マネジメント論の批判的検討
結語:本書の主張のまとめ
参考文献
初出一覧
索 引
著者プロフィール
柴田 明(しばた あきら)
1978年9月 愛知県名古屋市生まれ
2001年3月 名古屋市立大学人文社会学部卒業
2003年3月 名古屋市立大学大学院人間文化研究科修士課程修了
2009年3月 慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学
2009年4月 香川大学経済学部講師
2010年5月 香川大学経済学部准教授(現在に至る)
2011年1月 博士(商学)[慶應義塾大学]