財務諸表監査の基礎概念

林 隆敏 編著

定価(紙 版):7,150円(税込)

発行日:2024/12/19
A5判 / 500頁
ISBN:978-4-502-51741-9

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本の紹介
監査の領域で研究成果がもっとも蓄積されている財務諸表監査に限定し、様々な課題を解決するための参照枠を提示。基礎的概念を適切に定義し、今後の研究・教育の発展に寄与。

目次

序章 本書の目的,方法および構成

第Ⅰ部 総論
第1章 財務諸表監査の定義と目的

第2章 監査公準

第3章 監査の機能

第4章 二重責任の原則

第5章 会計基準

第6章 監査基準

第7章 合理的な保証

第Ⅱ部 監査の主体
第8章 独 立 性

第9章 正当な注意

第10章 職業的懐疑心

第Ⅲ部 監査意見の形成
第11章 監査命題の立証プロセスと監査アプローチ

第12章 監査命題

第13章 監査証拠

第14章 監査技術と監査手続

第15章 監査調書

第16章 監査リスク

第17章 監査上の重要性

第Ⅳ部 監査結果の報告
第18章 監査報告書の機能

第19章 監査意見

第20章 監査意見の種類

第21章 監査意見以外の記載事項

第Ⅴ部 意識調査
第22章 財務諸表監査の基礎概念に関する意識調査結果

著者紹介

林 隆敏(はやし たかとし)
[プロフィール]
関西学院大学商学部教授
1989年関西学院大学商学部卒業,1994年関西学院大学大学院商学研究科単位取得満期退学。
同年甲子園大学経営情報学部専任講師,1999年関西学院大学商学部助教授,2005年4月より現職。博士(商学)。
現在,日本監査研究学会理事,国際会計研究学会理事,日本経済会計学会理事,金融庁企業会計審議会委員。

[主な著作]
『継続企業監査論』中央経済社,2005年
『国際監査基準の完全解説』(共編著)中央経済社,2010年
『わが国監査報酬の実態と課題』(共著)日本公認会計協会出版局,2012年
『監査報告の変革―欧州企業のKAM事例分析―』(編著)中央経済社,2019年
『ベーシック監査論(9訂版)』(共著)同文舘出版,2022年

担当編集者コメント
これまでの研究成果の蓄積を検討・整理して諸概念を明確化・体系化し,監査研究と監査実践の「橋渡し」を志向する研究書!

〇本書のねらい
本書は,財務諸表監査の理論研究(方法論は問わない),監査基準をはじめとする監査規範の形成,社会制度としての財務諸表監査の制度設計等にあたって参照枠組みとなりうる財務諸表監査の理論的枠組みを構築するための概念研究を目的としています。
そのために,財務諸表監査理論の基礎を形成する諸概念を洗い出し,それらの意味内容,理論上の位置づけ,概念間の関係などをこれまでの議論に基づいて総合的に考察し,概念の曖昧さや不明確さを解消し,学界として共有すべき理解を示すとともに,解明すべき残された課題がある場合には,それを指摘しています。
本書の内容は,新しい研究領域を独自に切り開くものではなく,これまでに蓄積された研究成果を整理し,今後の監査研究・実務・教育に資することを目指しています。

〇本書の基本方針
①主たる読者として研究者を志す大学院生および監査規範(特に実務指針)の設定に携わる公認会計士を想定した,監査基礎概念に関する注釈書(コンメンタール)とする。すなわち,執筆者自身の興味・関心や問題意識に基づく独自の研究論文ではない。
②必要な範囲で基礎概念に関連する監査規範・制度に言及するが,企業会計審議会「監査基準」,日本公認会計士協会の各種実務指針などの存在や記述内容を前提とした議論を展開するのではなく,基準や指針の記述内容の基礎にある理論や歴史的経緯を明らかにするように努める。
③(懐古趣味に陥らないように留意しながら)これまでの研究の蓄積を踏まえて現在の視点で概念を考察するというアプローチを採る。

〇具体的な検討内容
①概念の定義の明確化,当該概念を示す用語の整理
②概念の意味合いの変遷およびその理論的・制度的背景の考察
③関係する文献の棚卸し
④用語の表記(日本語・英語)の揺らぎ,翻訳上の問題,日本独自の用語法の整理
⑤監査理論における概念の位置づけおよび関連する概念への言及
⑥残された課題(研究機会)の提示

第一線で研究されている学者の方々による考察は,研究・実務・教育のいずれにも資する内容。
ぜひご活用ください!