財務諸表監査の基礎理論

イアン・デニス
井上 善弘

定価(紙 版):4,620円(税込)

発行日:2022/10/12
A5判 / 248頁
ISBN:978-4-502-43831-8

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本の紹介
原著者イアン・デニスは、オックスフォード大学ブルックス校の財務報告論と監査論の上級講師。監査は制度的実践であり、監査理論は基準設定者に意思決定の根拠を与えると説く。

目次

第1章 監査理論と監査における概念フレームワークの性質
実践/概念フレームワーク/概念とは何か/概念探究/Mautz and Sharafの哲学に対する考え方/「会計理論」に対する記述的概念探究/理論形成という活動/要求されるべき事項に関する合意/概念フレームワークあるいは規範的理論の構築における学者の役割/規範的理論の形成という活動/本書における「監査理論」が意味すること/要約

第2章 監査の目的
ISA200における監査の目的/期待ギャップ/監査の目的を認識すること/目的(purpose)の背後に何が存在するのか/監査公準/前向きの論証/職業会計士の倫理規定/理論と規定/要約

第3章 監査意見
「真実かつ公正」と「適正に表示している」の意味/「真実かつ公正」に関する3つの概念に対する評価的概念探究/第1のタイプの対応/第2のタイプの対応/第3の対応?/規範的概念探究:概念フレームワーク原則の観点からの「真実かつ公正」の解釈/「真実かつ公正」の意味/「真実かつ公正」の消滅?/要約

第4章 監査証拠
証拠の重要性/IAASBによる証拠の概念/意見の表明を可能にする証拠/規準となる証拠/IAASBによる意見に係る規準となる証拠/財務諸表上のアサーション/証拠に関する説明/演繹的および帰納的推理/蓋然性と監査証拠/法におけるストーリーと一般則/監査におけるストーリーと一般則/他の種類の証拠/監査証拠とは何か/懐疑心/要約

第5章 重要性
監査人にとっての重要性に関する判断の大切さ/「重要な虚偽表示」に対する記述的概念探究/事実に反する言明/一般則から事実に反する言明に向かう推理/事実に反する事柄に向けた他のタイプの推理/帰納的-統計的な推理/重要性の判断の基礎にある一般則を定式化すること/基準設定者と規制当局はどのような指針を提供すべきなのか/それゆえに重要性とは…/要約

第6章 監査における専門的判断
専門的判断に対する記述的概念探究/意思決定/適切さの論理/財務諸表に関する判断/証拠の探求における判断/重要性に関連した判断/それでは,判断とは何か/専門的であるということについて/提案された「専門的判断」の定義の実践的な意味/要約

第7章 結論

著者紹介

イアン・デニス(いあん でにす)
[プロフィール]
1989年よりOxford Brooks Universityの上級講師(senior lecturer)の地位にあり,財務会計と報告,監査を教授する。また,London School of EconomicsにおいてPh.D.(Accounting and Finance)を取得している。

井上 善弘(いのうえ よしひろ)
[プロフィール]
香川大学経済学部教授。博士(経営学) 。
1991年神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了。1995年香川大学経済学部助教授,2004年より現職。2008年ー2012年度公認会計士試験委員。

[主な著作]
『内部統制監査の論理と課題』(単著,創成社,2021年)
『監査の原理と原則』(翻訳書,創成社,2018年)
『監査報告書の新展開J(編著,同文舘出版,2014年)