- 本の紹介
- 金融機関や投資家が自らの行動に環境配慮を組み込むための制度・理論を考察するとともに、わが国の先進事例により実践面での動向にも言及。環境金融と責任投資のあるべき姿を提言。
目次
環境経営イノベーション3
環境と金融・投資の潮流
目次
「環境経営イノベーション」シリーズの発刊に寄せて
はしがき
序章 環境金融と責任投資への招待
第Ⅰ部 理論・制度編
第1章 責任投資のファイナンス論的側面
1 はじめに
2 企業価値分析におけるESG要因
⑴ 企業を取り巻くステイクホルダー
⑵ ESG要因とステイクホルダー ……ほか
3 ESG要因と企業パフォーマンス
⑴ ESGとパフォーマンスの関係
⑵ ESG要因のパフォーマンスへの影響に関する分析例
……ほか
4 投資プロセスにおけるESG要因の導入
⑴ 年金資産運用の投資プロセス
⑵ ESG要因のインテグレーション ……ほか
5 今後の課題
第2章 責任投資のための開示制度
1 本章の目的と構成
⑴ 本章の目的
⑵ 環境情報開示の類型と本章の構成
2 自主的開示の動向
⑴ SRIが求めた環境情報開示
⑵ SRIからマルチ・ステイクホルダーへ ……ほか
3 財務会計における環境問題
⑴ 投資家向け開示制度の概要
⑵ 資産除去債務の会計処理 ……ほか
4 非財務情報の開示
⑴ 非財務情報開示の規程
⑵ IASBの動向 ……ほか
5 気候変動リスクに関わる情報開示
⑴ 気候変動リスクとは何か
⑵ カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト ……ほか
6 意思決定有用性の視点から見た環境情報開示
⑴ 検討の枠組み
⑵ 意思決定有用性とは何か ……ほか
7 アカウンタビリティと環境情報開示
⑴ アカウンタビリティとは何か
⑵ 環境アカウンタビリティ ……ほか
8 情報開示の社会政策的意義
⑴ 自主的開示と制度開示
⑵ 社会政策的観点からみた開示
第Ⅱ部 実践編
第3章 環境格付融資
1 実践の背景
⑴ 背景としての環境金融へのフォーカス
⑵ 環境金融の本質─経営への動機付け ……ほか
2 実践の内容
⑴ DBJ環境格付とは
⑵ 特 徴 ……ほか
3 課題と提言
⑴ 不断のレベルアップ
⑵ より高度な評価に向けて ……ほか
4 今後の展望
第4章 環境対応型金融商品・サービスの提供
1 実践の3つの背景
⑴ 環境保全のシンボル“琵琶湖”を有する地域性
⑵ CSR経営の原点は「三方よし」にあり ……ほか
2 実践の内容
⑴ 「エコプラス定期」~預金をしながら“環境学習”をサポート
⑵ 預金と融資を地球環境保全で結ぶ~「未来の種」から
「未来の芽」へ ……ほか
3 今後の展望 ~金融ソリューションで地球環境保全に貢献
第5章 プロジェクトファイナンスとエクエーター原則
1 実践の背景
2 実践の内容
⑴ エクエーター原則の要求事項
⑵ エクエーター原則適用の実務 ……ほか
3 課題と提言
⑴ エクエーター原則採択銀行グループの組織運営について
⑵ 環境NGOとの意見交換 ……ほか
4 今後の展望
⑴ 適用範囲拡大への取り組み
⑵ 中国およびインドの銀行による採択
第6章 責任投資向け企業調査
1 実践の背景
⑴ イントロダクション
⑵ SRIの歴史的動向 ……ほか
2 実践の内容
⑴ 調査方法
⑵ 評価の視点
3 課題と提言
⑴ SRI調査会社・アナリストの課題
⑵ 機関投資家の課題
4 今後の展望
第7章 社会的責任投資(SRI)ファンドの運用
1 実践の背景 ~日本におけるSRIファンドの歴史と現状
⑴ 投資信託におけるSRIファンド
⑵ 大和投資信託のSRIファンドへの取り組み
2 実践の内容
⑴ SRIファンドの投資戦略
⑵ SRIファンドの運用プロセス
3 環境経営評価の論点
⑴ 環境経営の評価視点
⑵ 非財務データの評価
4 課題と展望
⑴ 日本におけるSRIファンドの課題と展望
⑵ 環境とSRIファンド
第8章 年金向けSRIの運用
1 実践の背景
⑴ SRIと受託者責任
⑵ 投資家がSRIに注目する理由 ……ほか
2 実践の内容
3 SRIの課題
4 今後の展望
第9章 多様な資産クラスでの責任投資運用
1 実践の背景
⑴ PRI署名以前からの取り組み~企業との対話の重視と
議決権行使
⑵ コーポレート・ガバナンス委員会 ……ほか
2 実践の内容
⑴ 多様な資産クラス・多様な手法での展開
⑵ 株 式 ……ほか
3 説明責任と透明性確保に向けて
⑴ 信頼される責任投資への課題
⑵ ESGアドバイザーの設置
4 課題と展望
⑴ 運用手法としての継続的な改善
⑵ 責任投資の普及に向けて
第10章 日本の株式市場における株主行動
1 株主行動に着目する背景
2 株主行動とは何か
3 株主提案の動向
⑴ 経済利益追求型の株主提案の動向
⑵ 社会的課題に関わる株主提案の動向
4 議決権行使の現状
⑴ 2009年6月株主総会における議決権行使の概況
⑵ 経済的利益追求型の株主提案に対する議決権行使
……ほか
5 今後の展望
終章 環境と金融・投資の未来
付録1◆責任投資原則(日本語訳)
付録2◆エクエーター原則(日本語訳)
参考文献
索 引
著者プロフィール
《編著者紹介》
水口 剛(みずぐち たけし)
1962年生まれ。
ニチメン(株),英和監査法人等をへて,
現在,高崎経済大学経済学部教授。
日本公認会計士協会サステナビリティ情報開示専門部会長,
中央環境審議会「環境と金融」専門委員会委員,
NPO法人社会的責任投資フォーラム理事などを歴任。
おもな著書
『ソーシャル・インベストメントとは何か』(共著,日本経済評論社),
『企業評価のための環境会計』(中央経済社),
『社会を変える会計と投資』(岩波書店),
『社会的責任投資(SRI)の基礎知識』(日本規格協会),
『環境経営・会計』(共著,有斐閣),
『NPO法人会計基準に対応したここからはじめるNPO会計・税務』(共著,ぎょうせい)など。