- 本の紹介
- 企業活動において、知識はいかに活用され、役割を果たしているのか。組織の経済学、進化経済学、資源ベース論、マーケティングなどの各分野から認識論・方法論的に検討。
目次
企業の知識理論
■組織・戦略の研究
目次
はしがき
chapter1 企業における知識問題
1 知識をめぐる諸問題
2 知識に対する認識論的考察
⑴ ア・プリオリな知識とア・ポステオリな知識
⑵ 3つの世界と知識 ……ほか
3 企業における知識
⑴ 企業における知識と3つの世界
⑵ ルーティン,ケイパビリティ,ダイナミック・ケイパビリティ
4 企業の知識理論
⑴ 知識ベース論と資源ベース論
⑵ 補完性に関する論理的分析 ……ほか
Part1 理論の変遷からみた知識の問題
chapter2 資源ベース論における知識
1 資源ベース論の進化と知識の問題
2 個々の技能・ノウハウから組織ケイパビリティとしての知識へ
⑴ 初期の資源ベース論における知識
⑵ 知識ベース論における知識
3 ケイパビリティ概念の変化と個人的な暗黙的知識への着目
⑴ ケイパビリティ概念の変化
⑵ 個人的な暗黙的知識への着目
4 資源ベース論における知識概念の変遷とその意義
⑴ 資源ベース論における知識概念の変遷
⑵ 戦略論的性質への影響
chapter3 知識論から見るダイナミック・ケイパビリティ
1 なぜダイナミック・ケイパビリティ論が重要か
⑴ 現代社会とダイナミック・ケイパビリティ論
⑵ Teeceの研究に見られる知識の問題
2 Polanyi の知識論と企業
⑴ Polanyiの知識論
⑵ 組織における知識の問題と実践
3 ダイナミック・ケイパビリティ論と知識の問題
⑴ Teece理論における構成概念
⑵ 組織ルーティンの逆機能と3つのダイナミック・
ケイパビリティ ……ほか
4 Teeceのダイナミック・ケイパビリティ論の貢献
chapter4 企業と知識創造
1 組織的知識創造論への注目
2 個人と知識変換
⑴ 野中らの問題状況
⑵ 知 識 ……ほか
3 知識変換と組織のイノベーション
⑴ 組織的知識創造論に対する批判
⑵ 社会的実践としての組織 ……ほか
4 組織的知識創造論の進化
chapter5 進化経済学における知識
1 知識に関する進化経済学における問題状況
2 NelsonとWinterにおける知識
⑴ ルーティン概念と企業の知識
⑵ 経済変化と企業の知識
3 HodgsonとKnudsenにおける知識
⑴ NelsonとWinterにおけるルーティン概念の問題性
⑵ 企業と企業のルーティン,そして企業の知識
4 進化経済学における2つの進化理論と知識
Part2 企業を取り巻く知識の問題
chapter6 企業における市場知識の統合
1 本研究の目的と構成
2 市場志向論と企業の知識ベース論
⑴ 市場志向論
⑵ 企業の知識ベース論 ……ほか
3 市場知識が知識学習メカニズムを介して新製品の創造性と
成果に及ぼす影響
⑴ 仮 説
⑵ 実証分析
4 分析結果のまとめ
chapter7 M&Aにおける知識の移転
1 組織の知的資産,ケイパビリティと組織的知識
2 ケイパビリティ論から見た企業の統合
⑴ 組織ケイパビリティの補完性と統合のインセンティブ要因
⑵ 組織ケイパビリティの暗黙な側面とその移転
3 M&Aにおける知的資産の移転に関する事例分析
─ LenovoによるIBMのPC 事業部の買収
⑴ LenovoとIBM PC事業部におけるケイパビリティの相互補完性
⑵ ブランド価値と技術力を支える「組織的知識」 ……ほか
4 組織ケイパビリティ論から見た知的資産の移転と創発
chapter8 暗黙的知識の利用と企業におけるリーダーシップ
1 自律性か,命令か
2 階層組織と暗黙的知識
⑴ 階層組織
⑵ 暗黙的知識
3 情報の集中化は暗黙的知識を破壊する
⑴ 暗黙的知識の伝達のための諸条件
⑵ 暗黙的なものと明示的なものの関係 ……ほか
4 諸個人の暗黙的知識を生かすリーダーシップ
⑴ 抽象的なルールのシステムとしての心
⑵ 一個人の心の限界を超えるための自生的秩序
(または市場秩序) ……ほか
補 論 情報システムと知識
1 情報技術の発展と経営
2 情報システムの活用事例
⑴ ソーシャルコンピューティング
⑵ ビッグデータ
3 情報システムは知識を創造するのか
主要参考文献
索 引
著者プロフィール
《編著者紹介》
渡部 直樹(わたなべ なおき)
1949年 神奈川県生まれ
1977年 慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了
1975年 慶應義塾大学商学部助手
1982年 慶應義塾大学商学部助教授
1992年 慶應義塾大学商学部教授
現 在 慶應義塾大学名誉教授
慶應義塾常任理事
主要著作:
『ケイパビリティの組織論・戦略論』(編著,2010年,中央経済社),
「戦略と構造,そしてケイパビリティ─進化論の観点からの再構成」
『三田商学研究』第49巻第4号,2006年など。