- 本の紹介
- 組織変革を推進すればするほどかえって組織が硬直化し、経営成果が頭打ちになる、という組織変革の逆説的(パラドックス)な現象を解明するとともにその打開策を究明する。
目次
変革とパラドックスの組織論
目次
はしがき
序 章 組織変革とパラドックス
Ⅰ 組織における経営課題
1.組織マネジメントの課題とは
2.組織変革の対象
Ⅱ 組織の存続と変革
Ⅲ 本書の問題意識
1.内部統合におけるジレンマ
2.外部適応におけるジレンマ
3.組織変革におけるパラドックス
Ⅳ 本書の構成
第1章 組織における内部統合と変革
Ⅰ 組織の捉え方
1.組織の成立条件
2.動態的な組織のマネジメント
Ⅱ 組織変革の捉え方
1.「活動内容の変革」としての組織変革
2.「活動の束ね方の変革」としての組織変革
第2章 組織における共通目的の体系化
Ⅰ 共通目的の特質と役割
1.組織アイデンティティとしての共通目的
2.経営戦略としての共通目的
3.制度としての共通目的
Ⅱ 共通目的の分化と体系化
1.共通目的の階層性
2.共通目的と活動の分化
3.組織における共通目的の体系化プロセス ……ほか
第3章 組織変革としての「共通目的の再定義」
Ⅰ 組織における共通目的の体系化とジレンマ
1.共通目的の再定義の必要性
2.共通目的群の体系化プロセス
Ⅱ 上位組織における共通目的の再定義の難しさ
1.組織における価値的要因と技術的要因
2.上位組織における共通目的の再定義とジレンマ
3.組織の吸収能力と組織革新のジレンマ
Ⅲ 「組織変革」を変革する必要性
1.組織変革と外部環境
2.変革不全のパターン類型
3.変革不全をもたらす諸要因
第4章 外部環境の不確実性と組織設計
Ⅰ 組織設計におけるジレンマ
1.組織における分化と統合
2.分化と統合のジレンマ
3.コンフリクトと組織の健全さ
Ⅱ 外部環境の不確実性と組織の情報処理能力
1.外部環境と組織の不確実性
2.情報処理システムとしての組織
Ⅲ 不確実性の増大と組織設計
1.組織の情報処理量を削減する
2.組織の情報処理能力を高める
第5章 組織変革におけるリーダーシップと学習
Ⅰ 組織変革プロセスの類型
1.計画的プロセスか創発的プロセスか
2.受動的プロセスか主体的プロセスか
Ⅱ 計画的・受動的な組織変革の限界
1.外部環境の認識と分析の担い手
2.組織変革の対象の絞り込み
3.外部環境と組織の構成要素との適合性の追求 ……ほか
Ⅲ 組織変革におけるリーダーシップの役割
1.変えることのリスク
2.組織のカタチを変革することの限界
3.意味創造の主体としての変革型リーダー
Ⅳ 変革におけるビジョンと組織学習
1.変革と将来ビジョン
2.変革における組織学習の重要性
第6章 組織学習のパラドックス
Ⅰ 将来ビジョンの戦略的な位置づけ
1.組織の何を変革するのか
2.なぜ変革の対象が異なるのか
Ⅱ 組織における学習と適合性のパラドックス
1.「将来ビジョン」への固執
2.組織における適合性の概念
3.過剰な内部適合性と変革ジレンマの構図 ……ほか
第7章 組織能力のパラドックスと両利き組織
Ⅰ 能力構築のパラドックス
1.組織における能力構築の必要性
2.組織における探索と活用のパラドックス
3.「能力の罠」の概念 ……ほか
Ⅱ 「両利き」組織の概念
1.「両利き」組織モデルの考え方
2.「両利き」能力の類型化
第8章 変革プロセス推進の阻害要因
Ⅰ 変革プロセス・マネジメントとは
1.変革プロセス・マネジメントの重要性
2.変革プロセスの導入とコミュニケーション
Ⅱ 変革プロセスを阻害する諸要因
1.組織成員の心理と認知
2.組織の複雑さとしがらみ
3.外部環境の複雑さと組織の認識枠組み
第9章 変革モメンタムと動態的な組織均衡
Ⅰ 代表的な変革プロセス論の概要
1.Lewinの変革プロセス論
2.Kotterの変革プロセス論の批判的検討
Ⅱ 変革プロセスモデルの包括的な課題
1.単線的な一方通行の変革プロセス
2.過剰な内部適合性の追求
3.外部環境の軽視
Ⅲ 変革プロセスにおける組織のモメンタムとモード転換
1.静態的な組織慣性と動態的な組織慣性
2.変革プロスセスにおける「オーバーラン現象」
3.変革オーバーラン現象を促進する心理および認知的要因
Ⅳ 意図的な不適合状態を生み出すための組織変革
1.将来ビジョンの有効期限
2.組織の動態と環境適応プロセス
第10章 組織における矛盾の創造的マネジメント
Ⅰ 矛盾と変革を媒介とする組織成長プロセス
1.外部環境の変化
2.組織の成長と自己革新
Ⅱ 組織設計における適合性をめぐる矛盾
1.組織における適合性と組織パフォーマンス
2.適合性を追求する組織設計の困難さ
3.適合性をめぐる組織編成の矛盾とジレンマ
Ⅲ 組織設計における動態的な適合プロセス
1.適合性追求型の組織設計と変革プロセス
2.適合性破壊型の組織設計と変革プロセス
3.適合性追求型の組織設計と変革プロセスへの回帰
参考文献
索 引
著者プロフィール
山岡 徹(やまおか・とおる)
1971年生まれ
1995年 京都大学経済学部卒業
1995年 東海旅客鉄道株式会社(JR東海)入社
2000年 京都大学大学院経済学研究科修士課程(組織経営分析専攻)修了
2003年 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程(組織経営分析専攻)単位取得
2003年 横浜国立大学経営学部専任講師
2007年 京都大学 博士(経済学)
現 在 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院(経営学部)教授
◆主な著作
・「パワー理論の限定合理性の視点からの論点整理」,田尾雅夫編著『非合理組織論の系譜』所収(文眞堂,2003年).
・「組織変革マネジメントと人事制度改革」,若林直樹・松山一紀編著『企業変革の人材マネジメント』所収(ナカニシヤ出版,2008年).
・「組織マネジメント」,山倉健嗣編著『ガイダンス現代経営学』所収(中央経済社,2015年).