会計測定の再評価

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福井 義高

定価(紙 版):4,180円(税込)

発行日:2008/12/09
A5判 / 292頁
ISBN:978-4-502-29000-8

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本の紹介
会計測定の目的を投資意思決定有用性に置く時価志向の流れと、株価と会計数値の連関を探る実証志向の会計研究に対し、問題点を指摘するとともに市場社会における会計の重要性を論究。

目次


会計測定の再評価
目次

序章 本書の目的と構成
 1 本書の問題意識
 2 本書の構成
 3 本書の読み方

第1部 企業・資産評価と会計
 第1章 企業価値評価における会計測定の相対性
  1 無益で有害な会計数値?
  2 会計データは有用な情報(の1 つ)にとどまるのか
  3 残余利益概念の再発見
  4 配当は利益に優越するか
  5 残余利益モデル:簡単な数値例
  6 資本コスト一定の場合の残余利益モデル
  7 資本コストが変動する場合の残余利益モデル
  8 割引因子合計を用いた残余利益モデル
  9 残余利益モデルの一種としてのEVA
  10 会計数値「意見」の配当・キャッシュフロー「事実」に対する
     優位性
  11 座標としての複式簿記会計
  12 企業価値推計と会計測定の相対性

 第2章 株価倍率とファンダメンタル・バリュー
  1 株価倍率
  2 サステナブル成長率
  3 資本コスト・純利益成長率一定の場合の株価倍率
  4 ROE・純利益成長率一定の場合の株価倍率
  5 変動する資本コストの意味
  6 変動する資本コストの下でのPER
  7 変動する資本コストの下でのPBR
  8 資本コスト一定の場合との比較
  9 残余利益とファンダメンタル・バリュー
  10 残余利益とPER・PBR
  11 資本コスト変動と株価倍率
  12 株価倍率の理論的妥当性と会計に求められるもの

 第3章 会計情報を用いた資産評価モデル
  1 残余利益概念を用いた資産評価モデル構築
  2 経済・会計データ対数線形化の必要性
  3 対数線形残余ROE モデルの導出
  4 対数線形残余ROE モデルの定常性
  5 逐次代入による対数線形残余ROE モデル書き換え
  6 投資家の予測(期待)値としての企業価値
  7 資産評価モデルとしての残余ROE モデル
  8 対数線形残余ROE モデルにおけるリターン決定三要素
  9 CAPMの復習
  10 CAPMのパフォーマンス
  11 資産評価理論と矛盾する会計モデル
  12 ファーマ・フレンチ・モデル
  13 投資の最終目的と資産評価理論
  14 ベータ・モデルとの同値性
  15 残余ROE モデルとベータの分解
  16 分解されたベータの推計
  17 グッド・ベータとバッド・ベータ
  18 資産評価理論における会計情報の重要性

 第4章 会計データの時系列特性とオルソン・モデル
  1 実証研究と統計的枠組み
  2 確率的要約アプローチ
  3 統計モデルへの制約としての理論モデル
  4 オリジナルのオルソン・モデル
  5 オルソン・モデルの統計的問題点
  6 データ適合的なオルソン・モデル
  7 資産評価モデルとの整合性
  8 理論が測定の先を行く可能性

 第5章 効率的市場と会計基準
  1 会計規制強化は時代に逆行?
  2 「正しい」会計数値は存在するか
  3 利益に近いのは学力か身長か
  4 最適会計基準不可能性定理
  5 会計情報の内生性と処理コスト
  6 規範研究から実証研究へ
  7 会計基準と価値関連性研究
  8 会計基準とイベント研究
  9 効率的市場での会計基準改善
  10 合理的期待形成と政策の不存在
  11 市場から学ぶことの可能性
  12 会計情報の(非)重要性
  13 コップは半分空(あるいは半分残っている)
  14 業績評価における発想の転換
  15 会計測定へのレクイエム?

第2部 市場社会と会計
 第6章 根拠なき会計危機論と社会的事実としての会計
  1 会計制度の危機?
  2 涅槃のセカンド・ベストは浮世のファースト・ベスト
  3 決算操作の効用
  4 不良債権論の怪
  5 不透明な米国の株式持ち合い
  6 サブプライム問題と企業の社会的責任論の責任
  7 パングロス的最適論の呪縛
  8 社会的事実としての会計現象
  9 存在論的主観・客観と認識論的主観・客観
  10 共同志向性・機能付与・構成的ルール
  11 制度的事実と言語の必要性
  12 制度的事実としての言語の自己言及性
  13 制度的事実とバックグラウンド
  14 社会的事実論の会計への適用に向けて

 第7章 経済実体を作り出す言語としての会計
  1 制度的事実としての会計とエージェンシー理論
  2 会計数値を媒介とする制度的事実
  3 制度的事実としての会計と計算可能性
  4 制度的事実としての会計の原理的必然性
  5 制度的事実概念による実現主義再検討
  6 制度的事実概念・一般均衡理論・実証研究にもとづくフローの
    優位
  7 資本コスト変動と会計測定
  8 物価水準の変動と相対価格の変化
  9 繰延資産の排除と暖簾
  10 会計基準設定への示唆

 第8章 市場社会のバックグラウンド
  1 実測と予測——二種類の会計数値
  2 会計基準統一は歴史の必然?
  3 欧米に劣る日本基準?
  4 ネットワーク効果と基準間競争
  5 弾力的基準としての会計基準
  6 バックグラウンドとしての会計
  7 規則主義と原則主義
  8 投資家は大人である
  9 市場競争と予算制約
  10 市場競争と自然淘汰
  11 「たかが」会計
  12 最大化に対する予算制約の優位性
  13 実現主義という不死鳥

 終章 会計——自由を運命づけられた存在

  参照文献

  索引


著者プロフィール 福井義高(ふくいよしたか)
【経歴】
1962 年京都府生まれ
1985 年東京大学法学部卒業
1988 年カーネギー・メロン大学大学院博士課程修了(Ph.D.)
日本国有鉄道,東日本旅客鉄道株式会社,
東北大学大学院経済学研究科を経て,
現在,青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授


























著者紹介

福井 義高(ふくい よしたか)
[プロフィール]
1962年 京都府生まれ
1985年 東京大学法学部卒業
1998年 カーネギーメロン大学大学院博士課程修了(Ph.D.)
日本国有鉄道、東日本旅客鉄道株式会社、東北大学大学院経済学研究科を経て、現在、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授、CFA
専門は会計情報・制度の経済分析
著書に『会計測定の再評価』、『鉄道は生き残れるか』『たかが会計』(以上、中央経済社)、『日本人が知らない最先端の「世界史」』、『同2』(以上、祥伝社)、『教科書に書けないグローバリストに抗したヒトラーの真実』(ビジネス社)など