体系現代会計学第7巻会計監査と企業統治

  • 電子版あり

千代田 邦夫 責任編集
鳥羽 至英 責任編集

定価(紙 版):4,180円(税込)
価格(電子版):4,180円(税込)

発行日:2011/10/19
A5判 / 442頁
ISBN:978-4-502-44530-9

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【bookend版は、特に断り書きのない限り、固定レイアウト型です。】本書を読むためには、専用の電子書籍リーダー「bookend」アプリを入手する必要があります。下記サイトよりご利用の環境に合わせて各OS 対応のbookend をダウンロードしてください。
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本の紹介
現時点における会計学の研究成果を集大成したシリーズの第7巻。会計専門家が取り組んできた課題と直面する問題を学術的に整理し、今後の新しい監査研究を促す論考を展開。

目次

第Ⅰ部 財務諸表監査と監査機能

第1章 財務諸表監査の目的―財務諸表の適正性に関する意見の表明と財務諸表の重要な虚偽表示の発見との関係
第1節 問題提起
第2節 1930年代―1970年代前半
第3節 コーエン委員会報告書とSAS No.16(1977年)
第4節 監査リスク・アプローチ
第5節 トレッドウェイ委員会報告書とSAS No.53(1988年)
第6節 POBの特別報告書とSAS No.82(1997年)
第7節 監査の有効性に関する専門委員会報告書とSAS No.99(2002年)
第8節 まとめ

第2章 監査の保証機能とその発現形態
第1節 問題の所在
第2節 最終成果としての監査報告書
第3節 監査の追加的機能
第4節 保証業務によって達成される保証水準
第5節 内部統制監査の導入による財務諸表監査の保証水準
第6節 監査が果たす二つの機能

第Ⅱ部 財務諸表監査と監査判断

第3章 監査判断の懐疑主義的基礎の探求
第1節 新たな監査認識方法の萌芽
第2節 監査の失敗と監査判断
第3節 判断をすることの意味
第4節 監査プロセスと監査判断
第5節 学問としての監査が基礎を置く懐疑主義の系譜―新懐疑主義
第6節 監査における懐疑主義の軌跡
第7節 職業的懐疑心を巡るこれまでの監査研究の潮流
第8節 今後の監査上の懐疑主義研究の方向

第4章 監査判断の現代的意義
第1節 本章の分析課題
第2節 監査判断の意味
第3節 財務諸表監査の目的・目標と監査判断
第4節 不正摘発監査としての財務諸表監査と監査判断
第5節 IFRS時代の財務諸表監査と監査判断

第5章 監査人による「関連性」への関与の類型化
第1節 問題提起
第2節 会計の諸領域における関連性
第3節 伝達に関する関連性理論
第4節 関連性理論の会計プロセスへの適用
第5節 監査人による関連性への関与
第6節 今後の課題

第6章 監査上の重要性概念と監査判断
第1節 財務諸表監査における監査人の重要性判断
第2節 重要性概念の展開
第3節 監査プロセスと重要性判断
第4節 監査人の重要性判断に関する実証研究と監査事例
第5節 重要性研究の展望

第7章 公正価値測定の監査と監査証拠
第1節 公正価値測定の増大と監査への影響
第2節 公正価値測定に対する監査の枠組み
第3節 三元的証拠入手法に基づく公正価値の監査証拠
第4節 訴訟リスクの増大と公正価値監査の課題

第8章 ゴーイング・コンサーン問題の本質と課題―開示主義と評価主義
第1節 財務諸表の監査とゴーイング・コンサーン問題
第2節 ゴーイング・コンサーン問題への対応の枠組み
第3節 制度比較
第4節 ゴーイング・コンサーン問題の本質と課題

第Ⅲ部 企業統治と監査

第9章 コーポレート・ガバナンスにおける監査役監査の位置づけ
第1節 問題の所在
第2節 コーポレート・ガバナンスの構造の史的展開
第3節 コーポレート・ガバナンスにおける執行・監督・監査概念の意味
第4節 監査の現代的意味
第5節 監査役監査と監査委員会監査
第6節 新しい監査役監査の枠組み
第7節 結びに代えて

第10章 内部統制監査の課題と展望
第1節 問題提起
第2節 内部統制報告制度の展開
第3節 内部統制報告制度に対する批判の検討
第4節 内部統制監査のレビュー化
第5節 課題と展望

著者紹介

千代田 邦夫(ちよだ くにお)
[プロフィール]
1966年 早稲田大学第一商学部卒業
1968年 早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了
1968年 鹿児島経済大学助手,講師,助教授(~1976年)
1976年 立命館大学経営学部助教授(~1984年)
1984年 立命館大学経営学部教授(~2006年)
2006年 立命館大学大学院経営管理研究科教授(~2009年)
2009年 熊本学園大学大学院会計専門職研究科教授(~2012年)
2012年 早稲田大学大学院会計研究科教授(~2014年)
2013年 公認会計士・監査審査会会長(~2016年)
現 在 立命館アジア太平洋大学(APU)客員教授
    寺崎電気産業株式会社取締役監査等委員
    星和電機株式会社取締役監査等委員
    経営学博士・公認会計士

[主な著作]
単著
『新版会計学入門―会計・監査の基礎を学ぶ』(第8版),中央経済社,2024年
『経営者はどこに行ってしまったのか―東芝 今に続く混迷』中央経済社,2022年
『現場力がUPする課長の会計強化書』中央経済社,2019年
『財務ディスクロージャーと会計士監査の進化』中央経済社,2018年
『闘う公認会計士―アメリカにおける150年の軌跡』中央経済社,2014年
『監査役に何ができるか?』(第2版),中央経済社,2013年
『現代会計監査論』(全面改訂版),税務経理協会,2009年
『会計学入門―会計・税務・監査の基礎を学ぶ』(第9版),中央経済社,2008年
『貸借対照表監査研究』中央経済社,2008年
『日本会计』李敏校閲・李文忠訳,上海財経大学出版社,2006年
『課長の会計道』中央経済社,2004年
『監査論の基礎』税務経理協会,1998年
『アメリカ監査論―マルチディメンショナル・アプローチとリスク・アプローチ』中央経済社,1994年(日経・経済図書文化賞,日本会計研究学会太田賞,日本内部監査協会青木賞)
『公認会計士―あるプロフェッショナル100年の闘い』文理閣,1987年
『アメリカ監査制度発達史』中央経済社,1984年(日本公認会計士協会学術賞)
共編著
『体系現代会計学第7巻 会計監査と企業統治』中央経済社,2011年
共訳
『ウォーレスの監査論―自由市場と規制市場における監査の経済的役割』同文舘出版,1991年

鳥羽 至英(とば よしひで)
[プロフィール]
1946年生まれ
早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学
早稲田大学商学学術院商学部教授
商学博士(早稲田大学)

[主な著作]
「ナナボシ粉飾決算事件訴訟判決の監査上の意義」『月刊監査役』第565号(2010年)
「循環取引による加ト吉粉飾決算事件(上)」『月刊監査役』第580号( 2011年)
「循環取引による加ト吉粉飾決算事件(下)」『月刊監査役』第581号( 2011年) 他

『内部統制の理論と制度』(国元書房,2007年) 
『財務諸表監査 理論と制度(基礎篇)/(発展篇)』(国元書房,2009年)
『会計監査と企業統治』(共編著,中央経済社,2011年) 他

担当編集者コメント
 公認会計士監査を取り巻く環境の変化,監査の改革の根底には,社会が監査人に期待する役割と,監査人が現に引き受けている役割との間のギャップ(期待ギャップ)があるといわれます。そして本書の底流を流れるのは期待ギャップというキーワードです。
 研究者のみならず,実務家も本書を読むことで,このことについて再考してみてはいかがでしょうか。
著者から
 本書は「会計監査と企業統治」という基本テーマのもとに,これまでの会計プロフェッションが取り組んできた主たる活動の軌跡を過去回顧的に,また,現在の会計プロフェッションが直面している問題を未来展望的に捉え,それらを学術的に整理・総括することを目的としている。
 本書には,新しい監査研究を促すような執筆者の記述が,その本人が気づいているかどうかは別として,たくさん埋め込まれているように思われる。是非,監査研究を志す若い研究者は,そのような目で,本書を丁寧に読破していただくことをお勧めしたい。