- 本の紹介
- M&Aから企業再生時の再編さらにはアウトソーシングなど、多様な事業の再編の局面における労働者保護の現状と課題を法的側面から検討する。欧州の最新動向も紹介する。
目次
事業再構築における労働法の役割
目次
はじめに
第1編 事業の再構築をめぐる法的問題
序 章 課題設定―検討の概要と特色
1 事業の再構築をめぐる労働法の課題
2 企業組織の再編をめぐる法的問題
3 解散・倒産をめぐる法的問題
4 解雇・労働条件変更法理と事業の再構築
5 第三者労働力の利用をめぐる法的問題
―最高裁法理をどう超えるか
6 公務部門の事業再編―その特性を踏まえた対応方法を求めて
7 事業移転に関する立法論―欧州法モデルを超えられるか
第1章 組織再編をめぐる法的問題
1 問題の所在
2 会社法と労働者
3 組織再編の労働法上の課題
第2章 事業譲渡における労働契約の承継をめぐる法的問題
1 問題の所在
2 事業譲渡の目的・類型と労働契約の承継パターン
3 事業譲渡における労働契約の承継に関する判例・学説の展開
4 「労働契約承継法類推適用説」
5 結語
第3章 解散・倒産をめぐる法的問題
1 解散をめぐる労働法上の問題
2 倒産をめぐる労働法上の問題
第4章 現代における整理解雇法理のあり方
1 整理解雇をめぐる日本の雇用社会の変貌とその特徴
2 従来の解雇をめぐる法的な規定,整理解雇法理とその限界
3 現代の整理解雇の法的問題と整理解雇法理の新たな視点
4 新たな整理解雇法理のために
第5章 賃金処遇制度の見直しをめぐる法的問題
1 本章の検討対象
2 就業規則・労働契約による賃金処遇制度の見直し
3 組織変動と賃金処遇制度の見直し
4 むすびにかえて
第6章 第三者労働力利用と集団的労使関係
―派遣先の団交応諾義務
1 問題の所在
2 裁判例・命令例の状況
3 理論的検討
第7章 公務部門の法的問題
1 公共サービス部門における問題の現状
2 問題点と解決への提案
第8章 事業再編における労働者保護に関する立法論的検討:
欧州法モデルを超えて
1 序―本稿の目的と立法的議論の特色
2 事業組織再編における労働者保護に関する法律の目的
3 事業組織の再編にかかる諸概念
4 事業の移転における労働者の保護
5 業務の移転における労働者の保護
6 労働協約の承継
7 労働者代表との協議
8 倒産時の事業譲渡
9 グループ企業内の事業の移転
10 公務への適用
第2編 比較法の視点からの検討
第1章 EU法
1 はじめに
2 事業移転の定義
3 保護される労働条件
4 労働者の異議申立権(承継拒否権)および擬制解雇
5 倒産時の特例
6 従業員代表の権限の承継
7 むすび
第2章 ドイツ法
1 はじめに
2 ドイツにおける事業の移転と労働者保護
3 合併・会社分割と労働関係―組織変更法の内容
4 企業結合法制―コンツェルンに対する法規整
5 ドイツにおける企業再編と従業員代表組織の参加制度
6 倒産法と実務における労働者の保護
―再建型(事業承継)を含めて
7 ドイツにおける民営化と民法613a条による労働者保護
第3章 イギリス法
1 事業の再構築におけるイギリスの労働者保護制度
2 公務におけるTUPEの適用と公務に関する一考察
事項索引
判例索引
著者プロフィール
〈編者紹介〉
毛塚 勝利(けづか・かつとし)
中央大学法学部教授
1945年栃木県生まれ。
1976年一橋大学大学院法学研究科経済法博士課程単位取得退学。静岡大学,専修大学教授を経て現職。
近年の主な著作
「労働契約法における労働条件変更法理の規範構造」法学新報119巻5・6号(2012年),
「労働法7条2号にいう『使用者が雇用する労働者』をめぐる議論の混乱をどう回避するか」労働法律旬報1742号(2011年),
「労働法における差別禁止と平等取扱」石井保雄・山田省三編『労働者人格権の研究・下』(信山社,2011年),
『企業組織再編における労働者保護』(編著)(中央経済社,2010年),
「公務労使関係システムの構築に関する議論の現在と問題点」(季刊労働法230号,2010年),
Corporate Governance and Industrial Relations in :Dieterich/Friant/Nogler/Kezuka/Pfarr(Hrsg.):
Individualle und Kollektive Freiheit im Arbeitsrecht, Nomos 2010等。