国際的マネーフローの研究―世界金融危機をもたらした構造的課題
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- 頻発・深刻化する金融危機の要因として国際的な資金フローに焦点をあて、現状や金融規制・政策・通貨体制のありかた等を第一線で活躍する研究者と実務家が分析・解説した。
目次
国際的マネーフローの研究
世界金融危機をもたらした構造的課題
目次
はじめに
第1章 過剰なマネーと国際金融危機
1.はじめに
2.国際的なマネーフローの変化:マネーの国際間移動の
飛躍的拡大
3.国際的なマネーフローに関する分析:2000年代の米国とアジア
におけるマネーフロー
4.国際的な資金フローに関する今後の政策のあり方
5.結びにかえて
第1部 国際的なマネーフローの現状:
過剰なマネーの動きとその変化
第2章 過剰流動性とリスクマネー
1.本報告が取り上げる論点
2.「リスク・オフ」が国際金融市場を覆った2011年後半
3.浮き彫りとなった米国一極集中の経済構造
4.政治的混迷下にあった2011年後半の米国経済
5.機能しない金融緩和
6.ブーム・アンド・バーストと大統領選挙サイクル
7.長期的投資家が生み出す高いボラティリティ
8.バブルのテーマとしての「資源」
9.潜在的リスクとしての中国
10.日本がデフレから抜けられない理由
11.おわりに
第3章 国際的なマネーフローの構造変化
1.過去20年間の国際的な資金フロー
2.1990年以降の世界各国における対外資産・負債の動向
3.資金運用主体の投資行動
4.G20主要国における不均衡の分析
5.主要地域における国際的な資金フローの状況
5-1.米国経済と米国をめぐる国際的な資金フロー
5-2.欧州経済と欧州をめぐる国際的な資金フロー
5-3.アジア経済とアジアをめぐる国際的な資金フロー
6.おわりに
第2部 国際的なマネーフローに関する分析:
過剰なマネーの動きの背景
第4章 対外不均衡と国際的なマネーフロー:
グローバル・インバランス論を超えて
1.はじめに
2.世界の対外不均衡の変化
3.グローバル・インバランスの理論的枠組み
4.グローバル・インバランスの発生
5.国際資金フローのダイナミズム
6.おわりに
第5章 対外インバランスと富の移転:
日米における評価効果の非対称性
1.はじめに
2.国際投資ポジションと評価効果に関する日米比較
3.対外収益率に関する考察
4.日米における評価効果の非対称性
5.おわりに
第6章 アジアにおけるマネーフローと通貨選択
1.はじめに
2.アジア域内の資本フローの特徴
3.日本企業の貿易建値通貨(インボイス通貨)選択
4.円の産業別実効為替相場の動向
5.おわりに
第3部 国際的なマネーフローに関する政策のあり方
第7章 世界金融危機後の金融規制:
マクロ・プルーデンス政策の展望
1.世界金融・経済危機とマクロ・プルーデンス政策
2.マクロ・プルーデンスとは何か?
3.マクロ・プルーデンス政策としての金融政策
4.金融政策以外のマクロ・プルーデンス政策・規制
5.マクロ・プルーデンス政策・規制にともなう政治経済学的困難
6.まとめ
第8章 「ユーロ」がもたらしたもの:資金のミスアロケーション促進
1. はじめに
2.金融危機後の国際的な資金フローの動向・見通しに関する考察
3.金融セクターと金融市場の質の向上についての考察
4.マクロ・プルーデンス規制と財政規律に関する考察
5.国際通貨システムに関する考察
第9章 通貨体制の選択と経済安定
1.はじめに
2.単一通貨と欧州経済の安定
3.欧州における合理化・構造改革促進の試み
4.ユーロエリア内の非対称性
5.通貨統合と経常収支
6.硬直性と成長率,財政収支
7.なぜガバナンス改革が必要なのか
8.日本及びアジアに対する示唆
著者プロフィール
■編著者紹介
貝塚 啓明(かいづか けいめい)
東京大学名誉教授
日本学士院会員
財務省財務総合政策研究所顧問
日本銀行参与
財務省財務総合政策研究所